米ウィーワークが支援策受け入れ、ソフトバンク経営権取得へ……投資ファンドならあり得ない蟻地獄へ自ら足を踏み込む。

ロイターやブルームバーグの記事である。ビジョンファンドで出資していたWeWorkをソフトバンクが救済する。まるで良い話のように見えるが、これは既に投資ファンドの流れをぶった切っている。どちらかというと産業再生機構ような再生ファンド(政府系や銀行系ファンド)のような方法を取るのは、損失を広げる可能性もあり、投資ファンドなら好ましくない話だが……内情が刻一刻と悪化している可能性がある。



<損切りが出来ない投資は蟻地獄であり、底なし沼>

本来新興投資ファンドなら、損切りも比較的速やかに行われる。投資金額を大きくする場合は、それなりの経営状況の把握が行われて投資されるが、ビジョンファンドはそれをやっていたのかが怪しい。もし、やっていたなら今WeWorkの買収(経営権取得)などしないだろう。ただ、投資規模を下げるか、資産を引き上げて、WeWorkが破綻するならそれは仕方がない(もちろん投資を決めた人物はそれなりの報いを受ける)と考えるのが妥当だ。

しかし、ここまで傷が深くなって引き上げるのも大手の投資ファンドだとあり得ない話である。ファンドは預かったお金を元に利益を出すために、運用される。新興セクター専用のファンドでも、新興セクターの中で利益が出る企業に投資するわけだ。しかし、WeWorkのこの問題を見る限り、たった数ヶ月でこの状況だ。それをやっていなかった可能性が極めて高い。いくつかの魅力的と孫正義が思う会社にただ投資して、じゃあ頑張ってね……という感じだろう。それだと、もうファンドじゃ無い。

これは、投資ファンドというよりは、個人投資家の信用投資(社員持ち株制度みたいなもの)と変わらない。そして、投資先のファンドとしての短期~中期での流動性や先見性(入れ替えのタイミングを計る力)がない恐れがあるなら、WeWork以外でもこのような地雷や機雷がいくつも埋まり、沈んでいる可能性が出てくると同時に、これでは業績が悪化した企業は皆ソフトバンクグループで面倒みるのかという話になる。

ファンドの資金を溶かして結果的に自社グループ化しているとなると……評価は下がるだろう。出資者としての口出しの範囲と経営者として責任をもつという役割は、産業再生ファンド(銀行や官庁が行う更正ファンド)であれば出資者に示しも付くが、成長投資を売りにしていたならもう詐欺と言われても(実際にそういう評価をしている人も出てきている)仕方がない。損切りもままならないのだから、ファンドの弱さを見せたも同然だ。


<成功者はアダム・ニューマン>

だろう。その一方で、ソフトバンクグループはもう破綻する可能性が高いと一部ではみられている。実際にこれでそうなる可能性に一歩近づいたのは間違いない。信者だとたぶん理解出来ないだろうが、投資はある会社に固執すると、損失が膨らむ。特に、損失が致命傷を与えるほど大きなものの場合は、後に引けなくなるが、現状を見るとそれが起きていると思っている人もきっと多いだろう。現状でババを引いているのはソフトバンクグループの方だ。

何故、WeWorkのアダム・ニューマンは成功者になるのかというと、株をソフトバンクに売却して事実上手を引けるからだ。Yahoo!JAPANがZOZOTOWNを買収して、前澤友作氏が株を譲渡(売却)したのと似ているが、違うのはそこに会社として利益があるかどうかだ。前者は、WeWorkを取っても何のメリットもない。単にsprint Nextel(現sprint)を買収して立て直せなかった流れと同じようなお荷物を自分で喰らうようなものなのだから。
後者は、Yahooのショッピングサイトなどとの連携を強めるためのノウハウの吸収が目的だ。会社そのものにメリットがあるのだ。だから、買収した後にYahoo側が同社のショッピングサイトなどで成長し、成功すれば前社長とWin-Winの取引になる。

今のWeWorkにそれはない。
本来なら強気で撤退し別の市場に多少なり資金を移すべきだった。


<悪い話は続く>

尚、弱った企業や動物にはハイエナが集る。インテルがソフトバンクグループの投資会社を提訴するというのは、その一つだろう。
ここにARMの成長の鈍化も出はじめている。Huawei問題などからライセンスビジネスが低調に留まっているのだ。既にスマホにしても、先端技術のArmプロセッサーの売れ行きは鈍ってきている。そこまで先端である必要などないのだ。
これまで、成長して大きな利益を出し関係性が必要だから許していた関連企業(資本関係より取引関係のある他社)は、今後不満点に対して、行動を起こすようになるだろう。


<次の不景気における震源地となる恐れも……>

まあ、ソフトバンクグループが破綻する可能性は以前からあったことで、実はそれほど問題では無い。ただ、もしもそれが破綻するとどこまで被害が広がるかは予想できない。何せ、この会社は凄まじい額の社債が発行されている上に、関連会社も多い。sprint、Uberのような会社から、日本ではYahoo!Japan、ソフトバンク(通信会社:旧ソフトバンクモバイル)などもある。英Arm Holdingsもそうだ。

ソフトバンクがもし破綻すればビジョンファンドや子会社への投資資金の一部は債権者に引っ張られる可能性もあり、連鎖倒産もいくつか出てくるだろう。
ゴールドマンサックスのようにWeWorkで一部資金が回収不能になる恐れが出てくるかもしれない。

そう考えると、景気後退が取り沙汰される中で、ソフトバンクグループという日本企業が、次の不景気の震源地になる恐れはある。
しかし、それでもWeWorkの経営権を取るということは……考えたくは無いが、結構芋ずる式に引っ張られかねない企業があるのかも知れない。


これらは、あくまで個人の推測で憶測であるが、潰せない企業はどう考えても悪手と分かっていても、誰も止めないものだ。止めないのではない止められないのである。止めた瞬間が既に損失(破綻)を意味するケースがあるからだ。

その先に、地獄が待っていても、孫正義氏のようにカリスマ性を持って成長してきた企業は、それが社会市場の通常の原理なら、失敗に繋がると分かっていても、もしかしたら何とかしてくれるのではと思ってしまうこともある。そこが、実は一番怖い。

ソフトバンクグループ社内で果たして、孫正義氏に意義を申し立てこれは絶対にすべきでは無いとか、言えた人がいたかどうか?

今のままだと、この会社を救うのはきっとトランプ氏と習近平氏の電撃的な交渉成立など外的要因かもしれない。
内情は分からないので、そこまで切羽詰まってはいないのかもしれないが……。間違いなく世間がソフトバンクグループをみる目がこれまでとは大きく変わっていると言えるだろう。







"米ウィーワークが支援策受け入れ、ソフトバンク経営権取得へ……投資ファンドならあり得ない蟻地獄へ自ら足を踏み込む。" へのコメントを書く

お名前[必須入力]
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント[必須入力]
認証コード:[必須入力]

※画像の中の文字を半角で入力してください。