クールジャパン機構が崖っぷち 政府肝いりファンド、巨額の累積赤字…… Cool responseに向かう事業の問題点を書く。

2022年11月22日の朝日新聞デジタルの記事である。


クールジャパン機構(CJ-F)のHPは以下である。

多くの人はこれを読んで、無駄だとか無駄じゃないとか単純に読んだ感想を述べるに留まるだろう。これ調べて見るとCJ-Fの事業の中に、CJ-Fの本来の趣旨から外れている可能性があるものが多いことが分かってくる。また、当初は75%が財務省(財務大臣)で残りが民間の官民ファンドだったはずが、出資比率が財務省(政府)に偏ってきていることも……分かった。

昔の産業再生機構のようなものなら、赤字でも政府がCJ-Fに出す金額比率を上げても問題はないのだが、これは成長促進ファンドであることを考えると、民間も距離を置き始めているということになるわけで、ファンドとしての事業選定がおかしいと言うことを意味している。さすが電通と組んだだけある。

ちなみに以下が昨年度の損益計算書である。


事業報告書は以下である。9ページ目が損益状況になる。大事なのは損益と持ち株比率だ。財務大臣が2,132,000 株 90.88 %を持っている。
株主は25である。

以下は第3期事業報告である。上記と同じものが4ページ目、5頁目にある。財務大臣の所有する株式は832,000 株 79.54 %である。
株主は25である。

尚、最初の最初である第1期の時は以下だった。600,000 株 77.92 %。株主は19である。

感じ的にみると第3期までがいわゆる官民ファンドとして機能してきた期間だったのだろう。その先は、政府だけが金を垂れ流し続けた感じだ。

では、具体的に投資先というのを見ていく。実は投資先にはいくつかパターンがあるのだが……CJ-Fの趣旨として問題がありそうなものをいくつか上げていく。

例えば以下の事業は、ファンドの成長事業として見るなら稼げる可能性があるため、悪くない事業だ。だが、CJ(Cool Japan)の趣旨に沿っているかというと、はっきり言って分からない。何で、政府系の官民ファンドが金を出さねばならないのかが不明だ。日本への貢献度が分からないからだ。

具体的に説明すると、この会社日本人が経営するベトナムの会社だ。ESG投資を実践し、アジア地域におけるSDGsの浸透と書かれているが、それはCool Japanではないのだ。あくまで、日本の経営者が作ったベトナムの産業に貢献するイタリアン系の企業に金を出したというだけで……中身はベトナム企業だからだ。強いて言えば、食材の5割以上が日本からの調達なら日本にも利益をもたらすだろうが、そういう肝心な部分は書かれていない。最後はESGの話になっており、Cool JapanではなくただのESG投資案件の1つになっている。

これは、日本で起業したフランス人オーナーの中華料理店はフランスに貢献しているのか?というのと同じだ。これをみてフランス人の店は素晴らしいとは思わないのである。あくまで、この中華料理店は素晴らしいぐらいだろう。オーナーがフランス人かどうかなどみせに来る人は知りゃしない。

ファンドの投資案件としては成長性があると言えるが、少なくとも説明書きに必要なのは、食材が日本のものならどれだけ日本から食材を買っているかなどを示すことや、商品を販売するさいに日本の食材を使っている事をどれだけ示しているかなどが大事になる。Cool Japan投資ならそれが大事になる。それを示せれば良い事業である。

これはまだマシな事業である。ここからが本番で殆どが以下2つに該当する。


以下の事業は、ファンドがやるには最悪の事業の一つである。既に原資まで行われているようだ。

この事業がファンドとして不適切なのは、多分この事業はただのインバウンド目当ての事業としてしかも、五輪や万博などで来る人を狙って作られた箱型の事業だからだ。いわゆるテーマパークの一種になるわけだが、そのテーマパークの中でも、舞台型のイベントを主体にしているため、普通の企業ファンドだとこの趣旨なら金は出さないだろう。もし、金を出すなら、今後の成長(出店計画、事業の拡大計画)があり、それが相応しい成長をもたらすと考えた場合にやっと金が下りる。何故かというと、この手のある一つの地域に固執した事業は、確かに当たれば最初は成長するが、時間が経過するにつれて客が減るからだ。客が減り始めると、再投資して建替やイベントの種類、アトラクションのスタイルを変えていかねばならない。だが、そういう内容では無い。即ち、投資してもしもファンドの資金を回収または成長させて独立させるなら、一気に跳ね上げた瞬間に、上場させるか、または関連事業会社に売却することになる。

そもそもファンドは最終的に独立させるために存在するのだから。ちなみに、もしこの事業が上手く行っていないなら、他の同系統の事業と統合して、資本体力を上げた上で、相乗効果を狙うしかないだろう。そういう判断を出来る人材が優秀なファンドだといるはずだが……。いないから、こんな出資をしたと考えられる。

3つ目はもっと酷い。もうCool Japanでも何でも無い。ただの企業の設備投資資金だ。

これは一見、日本の企業が成長するためのものに見えるが、対象として行われるのは日系企業の工場(日本企業ではなく、日本法人の子会社や合弁会社を含む、日本系の資本が入った企業)を台湾に作るためのファンドであり、しかも、日本食の加工とも書かれてはいないし、日本の食材とも書かれていない。要は、銀行の代わりに金を出した感じだ。実際に会社のHPを見ると、現地で肥育農業(酪農)なども展開しているようで、これはCJ-Fが投資すべき案件なのかは良く分からない。多分出さなくても、コロナなどの問題がなければいけたのではないかと思われる。


<Cool Japanの本質が不明瞭なのも影響>

上記のように見ると、Cool Japanというファンドが一体どういう基準で、投資先を選定しているのかも不明瞭で、結果的に弱い理由で投資して、投資しっぱなしにして終わっているというのがこのファンドの特徴であると感じる。本来の成長ファンドは、投資したからには成長することを確約させるわけで、成長しないとか、成長しても当初のCool Japanの趣旨に沿っていなければ、出資したからにはそれに沿うように求めるのが趣旨だ。物言う株主ということだ。アクティブに成長するファンドはそういうものである。

尚、CJの趣旨は、政府が広報しているが以下である。


<輸出拡大や外国人に売ることが目的の成長ならば>

そもそも論なのだが、岸田が輸出企業などにおいて、中小企業の品物が海外に直接出て行ける後押しをするとかいうなら、これこそCJが支えるべき企業群になるはずだ。ただし、本当にこれがファンドでアクティブ性(成長性に基づく目的)を求めたファンドなのであれば、ファンドマネージャーに当たる人も損益分岐をちゃんと認識して、それを支える人材を機構内に労働者として入れておくか、そういう判断が出来る外部人材を必要に応じて養成できる体制を整えておく必要がある。

最悪の場合、株主としてその会社に最後通告を出して、清算や他の会社との統合を求めることも視野に入れたり、それが嫌なら資本を引き上げることも警告する必要があるからだ。例え政府系でもアクティブファンドがやるのは、ただ金を出すことじゃない。成長させることと、目的意義を果たすことである。

この機構はそれが出来ていないことが見て取れる。そして、出来ていないから下手をするとただの大手企業や与党の議員と繋がりがある実業家の財布として使われていたり、クールジャパンという名の、ハコモノ公共事業に使われている。下手すればデジタル化という名称で、一部の企業から不要な社員をスピンアウト(分社)する為に機能しているようにも見える。

別に新興の産業である必要など無いのに、何故か実績もなにもない事業に金が出ていたりするのはそれだろう。

本来求められるのは、例えば日本で作られた食材を売るなら、ある農業法人が海外に販売支店を作りたいという場合に、それをファンドから出して支えるとか、アニメーションなどを売るなら、中小のアニメーション製作会社の直営ショップや支社を海外に出すための支援をするとか……そういう事業になるだろう。また、日本の映像コンテンツをネット配信する事業などであれば、既に存在するAbemaやniconicoなどにその気があるなら、支えるぐらいしかない。

それで、もしも上手く行かない事業があるなら、似たような関連のファンド事業と結びつけるか、または成功している会社に仲介していくしかないのだ。そういうことが出来ないなら、もう撤退した方がよい。


<これが日の目を見た頃に同僚と話したCool>

タイトルにもかいたが、同僚とこれが話題になる頃にCool responseになるじゃねという話をしたことがある。
Cool responseというのは、冷めた対応など冷遇を意味する。そもそもCoolには心地よい程度の冷たさから、格好いいという言い回しもあるが、必ずしもそれだけではなく、冷たい(Cold)という言い回しにも出来るのだ。
それが、Cool responseである。

実は当時は結構否定的な人もいたが、ネットではアニメなどのオタクが発信する傾向が強いので、そこまで問題視する人はいなかった。そして、電通などがこれに支援を行ったことで、民放は好意的で、さらに肝心のNHKは今でも放送しているそのタイトルを介した番組を作って仕舞ったことで、批判する人の方がおかしな人へと変わっていった。

そうなると、興味も失うわけで、失っていたから良くなかったということでもある。本来なら、興味を持っている人が常に監査してくれるなら良いのだが、ネットでカジュアルなオタクが喜ぶ程度だと中身を見ている人は殆どいないだろう。それがある意味で、これまでの自民党政権にとって都合が良かったと言うことを意味している。

そして、今になってそれが溶けてきているわけだ。五輪が終わり、電通関連の問題が出てきて、安倍元首相が亡くなったのもこの魔法が解けた理由かも知れない。そして、調べて見ると、確かにCool responseになる。これで、日本はこれから投資教育も子どもにしていくようだが、出来るのだろうか?政府系の成長を期待したファンドがこんなレベルで……。しかも、民間25社も入っていて、出資比率が上がっていない、離れてもいない辺り、お前らも何か便宜があったから放置していたんじゃないかと思っても仕方がないレベルだ。

たぶん、提案した事業がある間は抜けられないとかそんなところなのだといいがある意味 a coolではある。これらの企業はもし関連事業を提案して出資比率を上げていないなら、政府はどんどん金額を増やしていく中で、不貞不貞しいということでもあるからだ。

そういう点でも、Cool Japanであり、どちらかといえばCoolよりfool Japanだろう。


<これから立て直すなら>

まずは、国内のインバウンド向けの事業で赤字のものは、投資の資本の引き上げで損失確定させるか、または復活させることが出来るなら、同じような事業を1つのジョイントベンチャーにでも統合して、黒字化を数年以内にさせること。その後、店頭上場させるか、親になってくれそうな会社に譲渡することだ。

次に、CJと関係ない事業で、赤字のものは何故それが選ばれたのかの経緯も含めて調査し、場合によってはそれに対して、処分や法的な対応をするのが妥当だ。出来るかは分からないが、それぐらい検討しろということだ。

後は、利益が出ていて関連性が弱い物は、償却して別の支えるべき事業者を探した方がよい。しっかりした計画がある事業者を国内を中心に選定し、成長を促進する必要がある。それには、これから事業をしたいまたは世界に拡大したい会社を機構として定期的に求める必要がある。それを審査する力がCJ-Fにも求められるのだ。

それをしっかりやっていれば、黒字になるのは凄く困難なことではないだろう。基本的には日本だけでは利益が出なくなっている企業を、海外に出したり、または海外から客を呼ぶためのfundなのだから、世界市場の景気が大きく後退する時期が例え合ったとしても、その先に再び成長するときには、しっかりした企業センスがあれば持ち直すはずなのだから。

CJ-Fの問題は、そもそもそのセンスよりも、金を持ちかけてきたなんちゃってCJな会社であれば全部に撒いているか、または何らかの政府との繋がりがある会社には、審査なしで撒いているように見えることにある。


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