新設のデジタル田園都市国家交付金、補正に100億円 ……平蔵の会社にどれだけ金が回るのかね?

ITmediaの今日の記事だが、産経が2日前に流した記事の再送である。


デジタル田園都市国家構想というのの意味を私は聞いても読んでも意味不明だと思っている。

そもそも、田園都市とは英語でGarden city(ガーデンシティ/直訳だと庭園都市)という。元はProgress and Povertyという書籍からヒントを得た都市計画の専門家が提唱(書籍としても出版された)し、運動(活動)にまで広げたGarden city Movementから来る言葉である。

田園都市の基本は、都市の過密を防ぎ、人々が心身共に豊かな生活をもたらすための都市設計を求めたものであり、その中にほぼ完全な自足を含んでいるというのがGarden Cityである。

尚、この基本は計画都市であり、行政や自治体、開発業者等がその土地を全て買い占めて、商業区、農業区、公園、庭園、住宅や人口の密度などを制御する必要がある。それをやるか、開発業者に義務づけないと、こういう社会は作れないという訳だ。何故なら、たいていの自由社会の場合は開発に伴って、人が集まることが見越されると周辺の農地などの土地を買って、商業開発したがる企業や人が出てくるからだ。これをスプロール現象(urban sprawl)という。これが起きると、都市は結果的に過密になり、Garden Cityではなくなっていく。


実際に、我が家の周りは30年前にはGarden Cityだったが、今では周辺の田んぼはほぼなくなり、農地も9割が住宅地になった。古い空き家は多いが、最近は新規の住宅やアパートが200戸以上建ったんじゃないかな?それを環境に良いとは言わないだろう。ある意味で、だんだんと住みにくい町になってきている。今この地域は夜間人口は多いが、昼間の人口は農業従事者などが減って少ないからだ。犯罪発生率が上がる原因になるのだ。

これが、スプロール現象だ。昔は行政もこういうのを良しとしなかったが、今は税収が1円でも欲しいはずで、開発を許すのも影響しているのだろう。

でだ、これが問題なのは予算が付いたが、そもそも今の段階でデジタル田園都市国家構想の中身が何もないことにある。下にそのホームページがあるのだが、本当に何もないのだ。メンバーだけが決まっているのである。

これで予算が付いているわけだ。凄いと思わないだろうか?私は凄いなと思う悪い意味で。何故なら、本来は何をするかが決まってから予算が下りるのであり、会議だけなら普通は会議メンバーへの金だけしか出さないものだ。なんで100億もポンと出るのかがわからないのである。

もっと言えば、本当にGarden Cityというものを新設するつもりがあるなら、都市設計からする必要があるので、実は都市の郊外などで開発が行われていない地帯に新規で町を興す必要がある。既にある場所をデジタル化しますではダメなのだ。もしそれをやるなら、かなりの立ち退きなどを求めて、Garden Cityへと変貌させる必要がある。

そういう物じゃないなら、ただの高度情報化に過ぎない。それで人が集まることはないだろう。今までも高度情報化の地方での試験は行われてきたからだ。人を集めるにはそこでお祭りのように仕事が生まれ、新しい社会が誕生する予感を与えなければいけない。普通に考えると、新興住宅地や新興農地などが生まれる必要があるのだ。そこに、これから夢や希望を持って参画したいと思う人を集めて、新たに町と技術を開発することで、新しいコミュニティと新しい技術が生まれていく。

それを本気でやっているのは、日本ではトヨタのWOVEN CITYぐらいだろう。大事なのは何もないところに、何かを生み出すか、既にあるならそれを買収して全て壊してでも次世代にするということだ。しかし、このデジタル田園都市国家構想もそうだが、一体だれがどういう構想を頭に持っているのかすら分からない。首相が言っているのだから、本来は首相が先に、どういう姿の田園都市を全国で展開させたいのかを示すのが先だが、口では地方創生とか5Gを活用とか言っているが、お前田園都市の意味が分かってんのか?というレベルだ。

持続可能社会を田園都市国家構想だと思っているなら、それは違う。
元々田園都市というのは、Principles of Intelligent Urbanism(PIU)の初期に代表されるものであり、今のSustainable Cityとは異なる社会発展をあらゆる方向でしつつ、人々がのびのび暮らせる社会だ。人口が増えている時代の考え方なのだ。この後にNew Urbanismが生まれたほどには元々の田園都市の発想は古い。

しかし、今世界が進めているのは、Sustainable City(さすてなぶるしてぃ)であり、持続可能というのが目標だ。
ちなみに、これをコンセプトにした町は日本にはない。マジで欧米にも中国にもあるが何度も言うが日本にはないのだ。3度書くが無い。日本はエコシティと言えるほどの町すらない。エコ地区ぐらいならあるが、それもsustainableではない。

そもそも、sustainableというのは、日本では今のところ不可能だろう。理由はいくつかあるが、1つは日本はエネルギー循環を全く考えていないことが影響している。例えば、ゴミ処理一つでも回収車が燃料を使うなら、sustainableから外れるのだ。電気か、バイオ燃料を使う事が求められる。回収したゴミも堆肥になどに出来るものは焼却せず、堆肥工場に運ぶ。電気は太陽光や風力から供給し、供給過剰分は自宅のバッテリや水素タンク(燃料電池システム内)、またはブロック毎の蓄電水素施設に保管する。家庭の車輌は全て電気または循環水素とする。

住宅は密集を防ぎ、人口に合わせて緑の量を調整する。人口の多い建物が多いとその周辺は緑地を増やしたり、農地を増やすのだ。そして、それを強制する訳である。開発は出来なくなる。何故そこまでするかというと、人口が多いと、利用するエネルギー量(熱量)が増えるためだ。その分を吸収できるだけの緑を増やす必要がある。

さらに、粗大ゴミを出さない施策も必要になる。修理やリサイクルなどが出来るものを地域では利用するように促す必要がある。10年で修理不能とかそういう品をこの地区で作られる物などからは生み出してはいけないわけだ。

そして、生活がある程度徒歩圏内で完結することも重要だ。職場までは無理でもある程度はそれで完結するなら完璧ということになる。
このうちの過半数を満たすか、将来的に全てを満たせるように都市計画を作り、実行している地域をsustainableなvillage、Town、Cityという。通称Eco Cityなどとも言われる。日本のデジタル田園は何を示しているのか分からないが、もし単年度で100億円という予算でやるなら、Villageも出来ないだろう。初年度は10億でも良いが、5-10年ぐらいで1000~3000億ぐらい投じてやっとVillageが一つぐらいだろう。

ちなみに、トヨタの町はウーブンシティのための債権だけで5000億円の社債発行が行われている。これトヨタが作る町部分だけの話で、これとは別に協賛企業などが数百億~の投資を別に行っている。これが本来行われるべき新しい都市投資の在り方だ。

まあ、この政府がやろうとしているのは、新規に新しいモデルシティを生み出すことではなく、事業者などに広く薄くばらまいてやったという体を見せるつもりだろうから、結局、賛同している企業の懐にどれだけお金が落ちるかの話なのだろう。

実際に、タイトルに書いた人もメンバーに参加している時点で信用度は低い。

そもそも、もしもデジタル田園都市国家を本当に目指しているなら、まず関東広域圏から人を追い出さないといけないだろう。その方が、手っ取り早く、その急先鋒になるとしたら、官庁(省庁の本省)の本部を霞ヶ関から、47都道府県に分散させることだろう。それが行われた時に初めて本気だと地方民は思うだろうし、企業も本気でそれを見据えて動くようになるだろう。

まあ、そもそもデジタルという時点で政治家のデジタル意識の低さが分かるのだが……本来はsustainableが今の重要分野であり、90年代に進んだデジタルではない。デジタル化は90年代~2001年頃までの話で、その先に高度情報化目標があり、2010年頃まで続き、その先は世界ではエコロジーや健康、などに転じた。そして、ここ数年はsustainable(持続可能)である。これは、都市における姿も含めて使われている言葉であり、デジタルに戻ったのは日本ぐらいだろう。国の施策としては最低でも20年逆戻りした感じだ。

まあ、まだ施策がどんなものになるのか分からないので、良くなる可能性もあるのだが、47都道府県全体でばらまくような阿呆な施策なら、特別良い効果はないだろう。税金で稼いでいる企業の一部が潤うぐらいだ。




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