リニアトンネル工事でまた崩落事故 作業員が負傷 長野・豊丘村…… まだ本命工事前で且つコンクリート吹き付け後という不味さ。

毎日新聞社の記事である。


国が金を出したことで既にJR東海はこのプロジェクトを止める権利が無いのかもしれないが、私は個人的にこのリニアエクスプレス構想が世界的に求められる物になるかと言われると厳しいと考えている。そもそも、リニアは夢の超特急の一つだったが、SDGsという命題が出来たことで、エネルギー効率の悪さが目立つようになってきたからだ。

超伝導リニアモーターカー一編成が利用する電力は、鉄輪車両(新幹線など)の2-3.5倍と言われるのだから……ちなみに、鉄輪式リニア駆動と呼ばれる車両そのものを浮かせないリニアもある。こちらは、車両を浮かせない分、必要電力が少ない上に、鉄輪が浮かぶこともないため、電力回生も出来るという特性がある。そのため、電力効率がそれほど悪くないという利点がある。

ちなみに、超伝導車両でも低速時には車輪走行はするものの速度が乗ると車輪走行は終了する。これによって空気抵抗を除く摩擦抵抗値を無くし、滑るように走行することが出来るが、車輌の磁性(反発特性)を維持するために電磁石を使い大きな電力を必要とする。また、定常走行においてクエンチがどれほどの確率で発生するのかも、リニアの安全性に関わる問題の1つである。後は、磁場や磁界の影響が周辺に何らかの影響を与えないかは重要だ。

だから、中国では日本を追い越せと開発が進んでいるが、欧米ではあまり乗り気になっている国はない。夢ではあるが、夢を超えるには鉄道よりも前に、電力インフラが必須となるし、着工しようという話にはなかなかならないのである。


逆に日本のJR東海が何故これを選ぶことにしたのかというと、これをやると決めた当時においては、インバウンドなどによる集客効果とビジネス需要が見込めると見ていたからだろうが、当時の段階でも実は採算性があるかは微妙だった。何故なら、東海道には既に新幹線があり、十分な本数が走っていたからだ。また、その気があるなら、新幹線の一部ルートを山陽ルートと同じように最適化して、350km/hから500km/hぐらいまで引き上げられるように直線ルートを増やせば、リニアの竣工見積もりコストの数分の1で運行時間を30分以上短く出来ただろうと考えられる。こちらの方が、実は安くて投資効果が大きかったが、当時は出資も得られてイメージも上がると見て良かった訳だ。

多分、その当時は政府の出資なしで計画していたため、それもやると決めた理由と思われる。しかし、そこに政府がのったことが、悪い意味でこのプロジェクトを硬直させてしまったと言える。

今は、コロナの影響があり、JRとしては見直したいと思っている可能性は十分にあるが、政府プロジェクトとしての出資も受けているため、止めるとは簡単には言えないし言わないだろう。


さて、これから記事の件だが……

この工事、あまり良い状況とは言えない実態が見えてきている。何が良い状況ではないかというと、これ、本体工事ではなく、案内作業坑道の工事だからである。本体工事ではもっと厳しい岩盤をより大きな規模で長い距離採掘していくことになる訳だが、案内坑道というのはその作業をするための現場に物資を供給したり、着工中完成後などの事故などによってトラブルが起きたときに、逃げ出したり救助するためのルートとなる場所である。

だから、試掘坑道としての役割もある。要は、本体工事に向けてこのルートでこの工法で問題がないのかが試されている意味もある訳だ。
それが、上手く行っていない恐れがあるのではないかと社会に示す形になっているのが今回のこれである。前回は、発破後だったが、今回は発破どころか、吹きつけ後の事故で且つ前回からそれほど時間が経っていない状況であることを考えると、あまりよろしくないと言える。

まだ、今のうちに起きたことを良いと思うか、それともこれからもっと酷い状況になるかも知れないと、中止や延期を促すかある種、計画を今一度考えるタイミングなのだろう。


<大事なのは命、そして利益>

これは、JR東海のプロジェクトなので実際にJR東海がこれでどれほどの利益が出て維持費に対して十分な成功がどれほどの精度で確約されているのか、内部の話は分からない。しかし、鉄道マニアやリニアの速度に夢を見ている人、技術で中国に負けるなとか言っている人は、こんなことは思わないのだろうが、大事なのは命である。次に、会社として利益を出すことだ。

日本の企業に限らず多くの企業が失敗する場合における典型的な例の1つとして、命を軽んじる企業は潰れるというのが1つある。
もう一つは、夢を追い求めた結果、コストや時間を無駄に浪費するというパターンも最悪だ。

前者の場合は、客が付かなくなる。後者の場合は、外資などに言い値で買収されたり、切り売りされるリスクが高まる。だから、短期的な夢を追っちゃいけないし、利益が絶対に出るという確証がなくなれば、計画は中止すべきであると私は思っている。

リニア中央新幹線のプロジェクトがこの先どこに向かうのか分からないが、中止するにしても進めるにしても、沢山の犠牲の元に作りましたという時代では評価されない社会にある今、人身供養の弔いで止める訳にはいかないみたいな雰囲気に持って行くようなプロジェクトをすれば、完成後に集客面で失敗する可能性が高まることをJRの経営陣や役員は今一度理解して、事に当たるべきだろう。


<リニアをやるにしても本来なら>

個人的にリニアは作るにしても地上に敷設するのが好ましいと私は思っている。新幹線と共通のプラットフォームを開発出来れば尚のこと良いだろう。実際に今の新幹線の軌道をそのまま使うのでは無理だろうが、路線の共通化というのは不可能ではないかもしれない。それをやれば、のぞみの上に、もう一つ新しい、ブランドを加えるだけになり、初期の準備にはかなり費用が掛かるだろうが、結果的にユニットコストは下がるはずだ。ハッキリ言うが人口が減る日本で在来線、新幹線、リニアの3ルートを維持し続けられると思っているJRの発想は、馬鹿じゃないかと私は本気で思っている。


いつのまにか、日本は時間がある程度掛かっても、将来の日本の状況にとって最適な方法というのを、考えるのを止める(諦める)国になった。結果、同じ路線で、同じ会社の新旧が競合し自分で自分の首を絞めているなんてことも繰り返されることになった。早く技術を導入することに力を注いだ結果、目に見えている導入後の問題より、そちらを入れることに心血を注いだのだ。

それは、ある種で短期的な成長を生み出したが、その後に大きなコスト増を生む結果になった。それを急がずしっかり計画して埋めてくるメーカーが出てくると、途端にその会社は力を失ってしまう。そうなっては欲しくないものだ。

純粋に思うのは、後になって何故作ったのか、何故止めなかったのか?というものだけは、残してはいけない。ちゃんと作って良かったと言えるものを作らなければいけないのだ。着工しても計画変更は出来るし、中止も出来る。最善の時期まで延期だって出来る。しかし、完成が近づけばそれは出来ない。むしろ、維持管理などのコストが完成に近づくほど生まれ始める訳で、計画が夢程度で採算性が弱いと、大変な苦労をすることになるだろう。

そういう状況を国内最大の鉄道会社がやらかすことだけは避けて欲しい。

今回はそういう点で、まずは事故の検証を今一度しっかりすることだ。そして、作業員の安全のために計画を少し後ろにずらすとか、そういう手も必要だろう。そして、これ以上事故が続くなら、ルート計画などの変更も考えた方が良いと私は思っている。




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