Intel Alder Lake(第12世代Core)の大電力は1~2年遅れが原因かも……241WとRyzen 9 5950XのL3キャッシュ問題解消前のベンチが枷に。

以下は、hardwaretimes.comの記事である。


既にここでも一昨日書いたことだがTDPを加味すると性能が期待値を下回る可能性が指摘されている。これに加えて、Intelの開示しているベンチマークがWindows 11のL3キャッシュ遅延問題のパッチを当てる前のデータであることが判明したと書かれており、シングルスレッドの性能がAMDには不利であったという内容だ。

だから、サードパーティのレビューが出揃うまでは購入や予約を控えてしっかり公平な実際のベンチマークを見てから買うべきだろうとアドバイスしている。

<性能を重視して、電力を捨てる>

元々Pコアだけの12400などにおけるES(engineering Sample)と思われるの事前情報は、性能改善も進んでおり、PL2電力も低い事が分かっていた。それでも、Zen3全般を圧倒する程ではなかったがRyzenの同クラスなら同等で戦えるぐらいだった。

一方でHeterogeneousでP&Eが対になっているコアで特に最大クロックが4.5~5GHzを超えるものは、馬鹿じゃないかという程の消費電力を食うことが報告された上で、ぶっちぎるものの、上記の12400の情報が出た後からは、Pコアだけの時よりバランスに問題があるのではないか(性能が出ていない)という見方もされていた。

これ、上記の記事を読んでやっと意味が分かったのだが、IntelはただAMDにZen4世代まで性能で勝つか肉薄するためだけに、P(Performance)コアとE(Efficiency)コアも性能を絞り出すことにしたということになりそうだ。
即ち、Ryzen 6000や7000といった後継のZen4(公称ではIPC換算で15-25%性能が上がる見込み)を意識し過ぎたわけだ。
既にIntelはZen4の性能情報をある程度得ているのだろう。

<P&Eの方が性能効率も電力効率も……本来の目的を失ったか?>

設計が終わった後に誤算もあったのかもしれない。本来は対称Heterogeneousで組むより、Pを10、Eを4ぐらいで構成すればその方が高速だったかも知れないが、最初(実際にはLakefieldに次いで2世代目)なのでPとEと対称にしたのだろう。そして、出荷が徐々に遅れてしまったことで、ライバルがZen 2/3世代から3/4に代わったとしたら辻褄が合ってくる。この結果、クロック周波数でごり押しせざる終えなくなったと考えることも出来る。

こうなると、Thread Directorによる調停の性能が足かせになる。

コアのクロックが幾ら高くても、その周りにある制御回路が全て等速(コアクロックと同じ)で稼働し、効率も上がるとは限らない。たいていは、熱密度を抑えるために制御系はコアの周辺にありコアクロックの2/3~1/2(遅ければ1/3)で稼働しているはずだ。Thread Directorに纏わる調停(コアへの命令の振り分け管理をする回路)は共有のL3の周りにあるはずなので、見た目のキャッシュクロック(バス帯域)としては同速であっても、コアと全く同じではない。だからまあ、メモリーコントローラーなどをCPUに内蔵している訳でもある。熱源の間にそれを挟むことで、相互の熱干渉(互いの熱が触れ合うことで相互に温度を上げ合う現象、簡単に言えば大規模火災における火災旋風のようなもの)によるオーバーヒートを防ぐためである。

だから、本来はコアクロックも全体の調停効率の範囲内で制御する必要があるのだが、多分それがこの製品では出来ていないように見える。

元々EコアはEfficiencyなので高効率コアであり、省電力になるはずだ。周波数も低くなり、軽い命令処理を効果的に熟す。また、バッテリー稼働や省電力モードを求める場合に、Performanceコアを事実上スリープまたはクロックダウンさせて、Efficiencyに回すことも出来るのが、Eコアの本来の目的だった。実際にLakefieldはそういう目標も持っていたが、今回のAlder LakeはPC Watchの記事説明を見ても、ちょっと何言っているか分かんないという内容である。(以下当該記事)

Pの性能を上げるのにEコアがあると述べているからだ。本来のEコアは電力効率を高めるために存在すべきなのに。
ここから言えるのは、当初の開発目標ではEコアはEコアだったのだが、AMDに性能で勝つことにいつのまにか重点が変わってしまい。Eを高速化のためのアプローチだと置き換える発表にしたのだろう。

実際には、もし性能のためだけならEコアは要らない。Pコアを12コア実装すれば、AMDの製品に勝てた可能性が高いし、場合によっては電力性能もPとEが混在するより高かっただろうと私は考えている。何せ複雑な調停を行うThread Directorが不要だし、そもそもSapphire RapidsはPコアだけで動くのだから。Eコアがそんなに高性能を演出するなら、Sapphire Rapidsもそうあるべきだろうという話になるのだ。

しかしそうではない。

この辺りから見えるのは、別に5950Xと対等の性能ぐらいを何とか出せればそれでも十分評価されたのに、それを超えて、さらにその先のRyzenとも対等以上にすることを命題にしてクロックを引き上げた可能性が高い。

結果、電力消費が上がっていき、環境のために節電が強制的に意識される時代に逆行する形になった。さらにAMDの方が実は良いんじゃないかと思わせる結果に向かいかねない発表になってしまった訳である。

個人的には、やはりまずESでは電力効率が良さそうに見えた12400を最初に出すべきだったと考える。また、Kも意図的にワンランク下にしてRynzen 5950X辺りにちょっと負けるぐらいのクロックを低めで投入し、Zen4が出てから爆熱でも良いから12900Kや12950Kという製品でも出せば、それだけでも評価が得られたかもしれない。

だいたいハイエンドやパフォーマンスの上位を買う輩は、12800Kでも今最強っぽい製品なら買う。そして、ライバルが強いのを出した時に、それを追うように12900Kを出して同じマザーが使えるならより喜ぶ人も多い。昔のIntelならそういう余裕があったが、今のIntelは長年の苦節があるのでその余裕がなくなっており、ここでぬきたかったというのが強かったと思われる。

実際にシェアが落ちてきているわけで、私が想像する発表の方が良かったとも言い切れないが……。
想像するに、全てはプロセスノードの遅れが繰り返されてきたから、これほどになったのだろう。
あと1年か2年早ければ、こいつはx86-64におけるBig.LITTLEの可能性をしっかり証明する製品になっていたと思われる。


<どちらにしろサードパーティのベンチ待ちがベスト>

Alder Lakeのベンチマークは間もなく解禁されると思われる。今の時点ではIntelの発表通りのアドバンテージがあるとは言えず、むしろ厳しいだろう。

但し、Thread Directorという新しい機能が入っているので、これがファームアップデートなどで更新されることで性能が上がったり、アプリケーションの対応が進むことでIntelが有利になる可能性もあり、初期のベンチマークが必ずしも、Intelの優劣を決めるとは限らないだろう。
今後もこれに重きを置いていくなら少なくとも5年ほどは、最新のファーム対応が為されるだろうから、ちょっとぐらい性能や効率が上がる可能性に期待が持てる。


一方で、消せないのは電力の問題と、今回の発表が前途の悪さも示してしまいつつあることだろう。本来、Eコアの役割は省電力&高効率であるのに、それを果たすことよりも性能を上げる一助のようにIntelが発表しているからだ。本来は、効率を上げるためにEコアがあり、Eコアの数は今後バックグラウンドタスクなどの平均的な量によって、検討していく課題だとでも言った方が良かっただろう。

悪いものでは無いのに、下駄を履かせたことが透けるような内容(実際に履かせたつもりがなくてもそう見える)だったことで、後から冷静な評価がマイナスのイメージで上がり始めるような培地を生んでいる。


Alder Lakeはプロセッサーそのものはそれほど高くない。
ただ、DDR5を選ぶとメモリーは高い。マザーボードも電力枠が大きいため、コンデンサー周りが大電力に耐えられる必要があり、以前より高価になるだろう。さらに、電源ユニットも当然だがより高い出力が必要になる。Geforce RTX 3060や、RADEON RX6600を載せるとしても850~1000Wクラスの電源があるのが安全になるだろう。もうiGPUモデルでも300Wクラスの電源はIntel CoreのKでは無理だ。最小で450W、出来れば500~600Wぐらいで考えないと厳しい。

そう考えると、ベンチマーカーやオーバークロッカーを除いてちゃんと性能レビューを見ないことには、選べない代物であると言える。
まあ、今Windows 11の安定性や互換性もまだソフトやハードでは不完全なものも多いので、急いで買う人は少ないだろうから、幸いである。

どちらにしても、電力を気にするなら、Kではないアルファベットのない定格品やTの低電圧版が登場するのを待つことになる。ESの情報で出ているデータを見る限りでは、クロックが3GHz~4.5GHz未満ぐらいまで抑えられると、消費電力がかなり大きく下がり、効率も上がってくるのではないかと思われるので、その辺りを狙うなら、Ryzenより良い買い物になるかもしれない。もし、そういう製品が出て来ないと、Zen4に勝つとか負けるとかそういう問題ではなく、そもそも時代にIntelが追いついていないことになるだろう。電力を捨てても、性能こそ力と言う時代では既にないということだ。

性能で辛くも買って、ビジネスで負けるという可能性もある。Pentium4のように……。

辛いことを書いているが、これからの希望も、Alder Lakeには確かにあり、本格的に停滞を脱しつつあることも確かだ。
順調にプロセスノードを刷新できればMeteor Lakeまでには圧倒するIntelが戻って来るかもしれない。その時には出来れば電力面でもちゃんと省電力面で圧倒してほしいものだ。電力を倍にしても良いなら、いくらでも半導体の性能面での勝利は約束されるのだから。コア数を増やせば、冷却を徹底してクロックを上げさえすれば性能は上がるのが半導体なのだから(価格もダイが大きくなるほど面積比で上がる)



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!)