半導体大手、台湾のTSMCが日本で工場建設 誘致した政府も支援へ……20nmで2024年稼働というのが、やっている感を出しただけに見える。

朝日新聞社の記事である。


稼働が2024年で投資額(国が半額支援だが、1回だけなのかな?)と投入するプロセスノードを考えると、結果的に液晶ディスプレイ事業などと似たような結果にならないかなと思っているのは私だけではないだろう。

ソニーやTSMCは国が折半してくれることと、今の社会情勢を見て投資を決めたんだろうが……国がこの1回だけで後々を考えていないと、これが業績の足かせになった時に、ソニーがCMOSから撤退する理由とかにならないか心配である。多くの場合、この国が関与する政策は長期視点がないことが多いので、投資を継続して耐えるという覚悟がこの国にはないからだ。

それがあるなら、ディスプレイ事業なども生き残っただろうに……。
ちなみに、こういう話を書くにはまず、現実を書かないといけない。日本が今半導体においてどれぐらいの技術を国内に有しているのかである。


<日本の半導体産業で最先端はどこか>

まず、日本の半導体における売上げは、世界において3位~4位である。但し、まだ下がる要素があるので……安泰ではない。
実際問題として、日本は前政権の環境政策などが下手をすれば半導体政策の重しになるだろう。

では、最先端の技術を持つのはどこかご存じだろうか?日本にも実は世界最先端水準の向上10nmラインの工場がある。

日本で最も先端プロセスを持っている半導体工場は、米Micronの子会社マイクロンメモリージャパンが持つ広島工場(昔の広島エルピーダメモエリー/Fab15)の1Z/1Y製造ラインである。Under N20の製造ラインがここにはDRAM/NAND向けに存在する。尚、EUVはまだ導入していないと思われる。

次いで、四日市市にある旧東芝メモリー(現在のキオクシア)とWDのJVが運営する製造ラインだろう。
ここは、概ね28/20nmの製造ラインである。但し、製造しているのは貫通ビア(TSV)の3D NANDフラッシュのみである。そして、キオクシアはWDが水面下で買収を画策していると以前から噂されている。公式にはノーだが、実際にはWDは買収したいのだろう。東芝だったときとは違って、要らないモノがいくつも出資元に入っているからだ。
当時の政府というか経済産業省もよくこれで纏めたものだと呆れる。これは当時も書いたが……。

この他に大手ではルネサスエレクトロニクスがN90/45(45nm~90nm)の製造を中心に生産し、研究レベルでN14/N16が開発中である。ここは、2015年頃までにファブレスへと切り替える表明をしたこともあり、実は新世代ラインの増設や研究が行われていなかった。それが、今徒となったと言える。これが、FPGA、CPU、MPUなどの製造を行う工場である。今年、本社工場の火災で、Samsungの北米工場や、台湾の水不足とセットで国内外の半導体不足に拍車を掛けた元凶の一つである。


ちなみに、実はこの他に昔は東芝がIBMの技術供与を受けて、Under 45-90nm(32nmまで開発していたはず)の半導体ラインを長崎セミコンダクターマニュファクチャリング(ソニーIBMと合弁)という名称で持っていたが現在は、長崎テクノロジーセンターになって生産と開発を行っている。ただ生産しているのはCMOSセンサーである。ソニーが持つ技術はこのときで止まっているはずだ。結局、東芝とIBMが一緒に開発していたCellから撤退したことで、ここも止まったのだ。

この他に昔のPanasonicセミコンダクターからスピンアウトしたタワー パートナーズ セミコンダクター(TPSCo)はパナの設計事業も買収したNuvoton(台湾企業)の傘下にある。ここで製造しているのは32nm~65nmのはずである。(2020年にパナは設計から撤退)

富士通セミコンダクターの三重工場は2019年までに完全に台湾UMCに売却されたが、今も一部の工場は持っている。但し、製造ラインの世代交代はUnder N40の先端開発をキャンセルしており、それ以降の先端プロセスノードはTSMCに委託している。(


これを見ると分かるが、酷い有様であることが見て取れる。
今更そこに国が投資するんだから、この国は凄いよなと思う。国民も報道も、これまで改善のチャンスが何度もあったのに、その時には目もくれず、税の投入を批判した人まで居たほどだが、半導体が足りない、○○が不足しているとなると、急に不足しているなら国内で作るべきだとか言い出す。ただ、こういう人々の多くは、これがもしも失敗して時期を佚していたりしたら、すぐに手の平を返して、やっぱり投資は失敗だったとか言い出すだろう。悪くなると、反対に旗印を翻すいわゆる最低の存在である。

だから、こういうことをちゃんと伝えるべきだと思ってこの記事を書いている。

上記したように今日本で作られている半導体の大半は、枯れたプロセスノードである。2010年より前に企業が大量に金を投資できた頃に作ったラインが多いのだ。では、何故、そのあとの投資が細ったのかというと、転換点はリーマンショックと、地デジバブルの終了、そして東日本大震災にある。

リーマンショックによって企業投資が減退した。そこに日本メーカーが最も金を掛けていたテレビディスプレイ事業という半導体を大量に使うビジネスが急激に売上げを落とす状況が追い打ちを掛け、さらに止めとばかりに震災が襲った。この震災が特に問題で、日本だけに製造拠点を置くより世界各国に拠点を持った方が良いという日本企業のスタンスを明確にしてしまったのだ。

さらに、もう一つ日本の国土地理上の問題がある。
日本は、北海道を除いて、平坦な土地が少ないという問題がある。そのため、製造拠点の多くは、海沿いの埋め立て地等に作られるが、その土地がとにかく先端半導体の工場を作るには狭いのだ。半導体の生産効率を高めるには、前工程から後工程まで全ての事業を同じ敷地内などに持っていた方が良い。さらに、製造に使うシリコンウェハが大きい程1度に大量の生産が可能になり、歩留まりが上がる。即ち、安く製品を作のことが出来るのだ。

ただ、ウェハが大きくなれば製造ラインも大型化する。日本は大半の工場が200mm-250mm、良くても300mmウェハまでを何とか製造できる工場で、しかも前と後の工程を別別の都道府県に持っていた工場も多い。それぐらい狭い場所で、作っていた訳だ。だから、世界が大型化、大規模化に動く中で、日本は徐々に弱っていった。


では、日本で旧エルピーダと東芝メモリーが何とか先端水準を持っているのは何故かというと、周辺にそれだけの敷地があったことと、技術者が十分にいて開発投資が行われ続けた結果である。ただ、どちらも既に日本の純粋資本ではない。即ち、日本企業じゃないから投資が続いているとも言える。日本は手放したのだ。特に、エルピーダに関しては、産業革新機構が無能で、その後も無能が続いた産業革新機構の失敗を象徴した形となった。

そして、その産業革新機構に似た投資をしたのが今回かも知れない。
要は、日本にこれが必要だから、出資した。形はどうあれ半額だそうである。



これは半導体だけの話じゃないのだが、日本はそもそも規制緩和にしても、政策にしても、本当に長い目で見て成長することを考えていない嫌いがある。

例えば、半導体で言えば、工場の用地は広くしないと大企業が工場を維持するのは難しくなるという前提を、国も社会も理解していないのが、本当に痛い。今は特にそうだが工場の跡地に中途半端なソーラーパークが広がっていたりするが、ああいう土地を買い取って、大型の工場向けに区画整理をし直すこともこれからは考えないといけないと言える。

ある意味、この国は平地の土地が狭いからこそ工場もショッピングセンターや商業ビルのように中小の工場が集まった大規模工場という考え方も持つべきだが、そういうことを政府も社会も考えないからこうなっていくのだろう。即ち、これは行政や政府が盆暗であり、経済学者などの専門家も、海外の例とかそういう成功例しか述べない阿呆だということを意味している。この国でこの土地でやるべきことを考える能がないのだ。


次に、今回ソニー、TSMC、デンソーなどが20nmで投資することを決めているが、20nmが3年後に稼働して、それは枯れた標準ノードなのかという話になる。今、これが稼働するなら確かに枯れたノードになるが、3年後だと、N2~N4ノードが先端で、N10~N16が枯れた量産ノードになるだろう。N20は償却済みのvalue Node扱いだ。それにそんなに投資して大丈夫なの?ということになるのは当然なのだ。

何故なら、このノードはもしその頃に半導体不足が解消しているなら、多分最も半導体製造会社にとって競争が激しく安く製造されるラインの一つになるからだ。まあ、全部デンソーとソニーの取引先が使うのなら良いが、生産しても他から買った方が割安とか言われないと良いが、それがあると厳しいことになるだろう。


まあ、普通に考えるなら、ArfLの10-16nm(TSMC 7-16nm)、EUVLの5-8nm(TSMC5-7nm)ぐらいのラインを目指すべきである。国が税まで投入するなら、そうあるべきだろう。SDGsなども政府が考えているなら、それの方が、製造した半導体の電力や性能辺りの部材料も抑えられる訳で、エコになる。しかし、これでも良いと思うのは、結局、このクラスでも日本国内で制動している標準的なノードに比べて2-3世代進んでいることが理由だろう。ちなみに、TSMCが持つ世界の最先端は現時点で、これより3世代(18/20/22nm⇒12/14/16nm⇒7/10/12nm-ArFL⇒5/7/8nm-EUVL)進んでいて、この3世代進んだものを米国や欧州は、国内誘致する計画だ。そのために税を投入する計画があるのだ。

この意味が分かるだろうか、日本は政治家や官僚が、金さえ出せばそれで支持が得られる程度で金を蒔いているわけだ。だから、結果的に競争力ある性能の高いものを作り出すイノベーションより、中途半端に今それなりの製品を企業に相乗りする形で投資する姿になっているわけだ。これでは、競争に勝つどころか、昔シャープやPanasonicなどがテレビの製造工場を作るのに、税や投資を補助した自治体や政府の補助があったが、あれと同じ結果になるだろう。

あれは、最後に撤退で揉めた自治体まであったほどだ。日本の政治や社会のヤバいところは、目先で売れるものや、日本では今はこの世代だから、この世代に対して新しいなら、この予算で十分だろうぐらいの部分に国が乗っかり投資していることにある。しかし、国がやるのはそんな企業と同じ目線の短期利益目標ではなく、中長期で日本が活性化することを、それなりの費用を継続的に出すことで、やらないとダメなのだ。

それをやらなかった場合、時風が悪いと、10年も経たずに失敗の穴埋めが必要になり、国民も何でやったんだというようになるだろう。
逆に、ちゃんと国や自治体にしっかりしたビジョンがあるなら、もっと潤沢に最先端かそれ以上を目指す戦略を示して行えば、数年後に苦しくても、どこかでその先端技術が噛み合った瞬間から大きな成果となるはずだ。


<今価値が分かっているものに1000円か?
          これから価値が出そうなものに1万円か?>


これは、投資などで語られることだが、この政府の支援に思うのは、元々ソニーとTSMC、デンソーなどの間ではこの計画が合ったのではないかと私は思っている。それに政府がこの機に乗じてのっただけに見えるのだ。そもそも、富士通はTSMCに委託しているし、ルネサスエレクトロニクスなどもTSMCに委託している生産が結構あるからだ。

なら、数年前から少し新しいラインを日本に作りましょうと計画していた可能性は高い。急に降って沸いた話とは思えないのだ。

国がもしもそれに乗っかっただけなら、それを大々的に国の成果と報道してはいけない。これは、絶対に成功すると計画されたことに、国が税金を入れるわけで、実は国民に恩恵はなく、企業が得をするだけだからだ。成長もそれではそれほど生み出さないだろう。
これは、今業績が良いと分かって株式を買うのと同じ事なのだ。今業績が良いと誰もが分かっている会社の株価は、高い。きっと来年も高いだろうということになる。ただ、再来年は他の急成長企業があって、それに食われて落ちているかも知れない。それが、今価値が分かっているということの持つ本当の意味である。

では、本当に未来に投資するというのはどういうことか?
それは、これから先、例えば5年とか10年先から市場のリーダーとなって成長を促すものという意味だ。例えば、20年前にアマゾンに投資していたら、今は億万長者だ。10年前にビットコインに投資していれば……という話だ。もちろん、失敗する可能性もあるし、投資が芽吹くのは20年30年後かもしれない。しかし、先が見えているものに投資しても、伸びは決まっている。先が見えているだけしか伸びなのだから。

それより伸びそうなモノに投資するから、大きな成功に繋がるわけだ。


<日本は政府の経済政策の善し悪しもまともに判別出来ない人だらけになりつつある>


半導体の場合は、事業自体の未来はある程度分かっている。問題は、国が投資に支援までする中で、その金額で税金を入れて、そのノードに投資するのが日本の雇用や産業をより発展させることに繋がるのかというとことだ。単純に、元々、政府がこれに投資することがなくても、同じ投資をこれらの企業が行う積もりだったなら、これでTSMCやソニーなどの投資額の半分を減らしたことになり、出来た後の労働者の数が増えるわけでもない。(元々計画していたため、計画がこれによって大きくなっていないなら成長効果はない)

逆に、これで余った金を例えばTSMCが欧州から資金も出すよと提案されている拠点工場の建設にプラスして投資したら……。欧州の拠点工場が馬鹿でかくなり、あっちの方が安く先端のものが作れるとなるかもしれない。競争で日本の工場が負けることも有り得る訳だ。

日本政府や報道は、日本の中で喜ぶようにしか報道せずアナウンスしないから、ここが全く抜けているのだ。果たしてそれは、元々政府が金を出さなくても、作る予定だったのかどうか?がまず大事である。

次に、それに金を政府が出すなら、果たしてどんな恩恵が国民にあるのかが重要だ。しかし、日本は記事に金が出ることしか書いていない。まるで政府が全て誘致したぞになっている。本当に20nmを政府が誘致したのだろうか?だとしたら、なんで20nmなの?馬鹿なの?と私は思う。

普通に考えるなら、1Z/1Ynmのライン未満のラインを誘致するだろう。例え、日本で今の段階では需要がなくても、AMDやNVIDIAがソニーのゲーム機や任天堂のゲーム機向けにでも国内で作ろうかと思ってくれるかもしれない。そういう需要でも引っ張り込もうとするだろう。

日本はなんというか、五輪がそうだったように、専門家も含めて頭がお花畑にある。箱のネームバリューにのめり込んでいて、世界の現実を踏まえた、長期ビジョンもなければ新しさもない。結果、このような支援でやったーと思う人が多くでてしまい。長い目で見た相対評価を全く行わない。だから、恩恵が殆どないことも多く、偏ること多い。

今回の場合、相乗りなら恩恵を受けたのは、ソニーなどの投資を受ける企業側だけだろう。

まあ、この投資一応、失敗はしないと思うが、国や国民にとって利益を生み出す、国が投じて喜ばしい投資かというと、違うように思う。他国は、誘致を本気でしているが、日本は企業に言われて乗っかる形に見える辺りが、日本が長い間経済や社会で停滞していた要因の一つなのだとも思えてくる。










































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