iPhone 13シリーズの「シネマティックモード」が予想以上に面白かったのである …… 確かに記事は面白いけど、私の面白いは別の意味。

ITmediaの記事である。


面白いのか?これが?と思うのは私だけなのだと思うが、以前も書いたが、やはりちょっとシネマティックモードは痛いなと思ってしまった。
これは多分編集の仕方と撮影の構図が不味いのだと思うが、違和感ありありの部分がいくつか見られて……残念だった。
この辺が、映画っぽい……は誰でも出来ないを証明した辺り、ハードの性能があっても感性や能力が求められるような領域に入っていることを得てせず示してしまったように見える。そういう意味では、良い記事だし、記事としては面白かった。


<シネマティックモードは簡単だが難しい>

今は動画編集ソフトを使えば背景をある程度ぼかすことは後からでも出来る時代になっている。iPhone 13ぐらいの暈かしも不可能ではない。後は、どこまでを違和感なしと許容するかの問題だ。私はボケを後から追加したりせず、むしろボケた写真や映像を見てやっちまったと思う側だが……。誰かに見て貰うような意味のある映像で、暈かしを使うというのは難しいからだ。

Vloggerやホームビデオを撮る世のアマチュアビデオカメラマンはある程度分かっているだろうが、自分が撮っていて面白いから、周りが面白いと見てくれるわけでは決してないからだ。特に生配信型やバラエティは別として、編集して作るストーリーを作る動画を作る人は、そこが最大の問題になる。

シネマに近づけるなら、違和感が残らないように編集しなければいけないし、筋が通っていなければいけないからだ。だから、しっかりしたものを求めるならワンフレームでもおかしければ処理をし直すし、本当は残したくても、ダメなカットは捨てるわけだ。ただ、iPhoneのような誰でも使えるという製品でそこまでは求められないため、ちょっと違和感があってもぐらいの仕様なのがこのティックな部分なのである。

そもそも、以前も書いたがシネマティックモード=シネマで頻繁に使われているという訳ではないので、あくまでそういうイメージを植え付けるためのブランド戦略に過ぎないが。

話を戻すと、確かに誰でも映像にボケ味を出すという面で、そういう撮影をしたことがなかったり、編集に手を出してこなかった人には面白いのかもしれないが、シネマティックを違和感なく突き詰められるのかな?と思っていた人から見ると、なんかいまいちと思えるというのが、このレビューをみて感じ取れるのである。

だから、初めてこういうのを撮るには面白く簡単で楽しいのだろうが、そうでなく映像コンテンツを人に見られるものにしたいと思う人には微妙で(このモードだけで良いものにするのはきっと)難しいという話になってしまうわけだ。レビューしている本人は得てせず、この記事でそれを体現しているのだ。

まあ、その気で使うならアルゴリズム(処理の癖、強み弱みなどを含めた方法)がある程度読めるようになれば簡単にできるようになるだろうし、今回は構図等の問題もあるのだが……



<はしゃいだらこうなる例>

尚、記事を読んでこの機能は今後定着して行く機能だろうとこの記事の筆者は書いているが、数ヶ月後ぐらいにこの映像を見返した時、どう思うのか?が重要かも知れない。これは、撮影者が新しい物に興奮しているはしゃぎが映像そのものに強く出ているからだ。

もうちょっと編集とカットの仕方を調整していれば、確かにもう少し、映像マニアなどが飛び付いたかも知れないが、本人なのかそれとも他にもスタッフがいて仲間内全体がそうだったのか知らないが、ちょっと興奮しすぎて違和感を見抜けていないのだ。その部分が以下になる。

例えば以下のシーン(37秒付近~)は背景暈かしを掛けてはダメなシーンだ。もしぼかすなら、被写体である女性に後ろからほぼくっついて女性の側をぼかす方が自然だ。逆をやっているから、堤防のブロックなどが中途にしかボケず奥の堤防上の草がボケて、女性は浮いている。女性を撮りたかった(追従性を示したかった)のは分かるが、本来は女性が主役で、この画角なら女性が見ている方向の方が被写体として優先されるべきである。それこそシネマというかドラマというかそんな雰囲気になる。


もう一つの鉄橋の線路と映り込む人のシーンも、ズームからパンにフォーカスを戻す中で、「ゆっくり」と周囲がぼけていき、人が入るとか、周囲をぼかした状態で人を撮影していて、徐々に後ろの背景にピントが合うとかの方が映えるだろう。そういう時に使う方が実は自然だったりする。映画ではそういう描写の方が多く、さらにシーンによるが自然なフォーカス変更は1.5秒~5秒の範囲で尺(撮影したカット)に対して可能な限り長めに行った方が、ボケの雰囲気を味わえる。暈かしが突然別に切り替わるというのも時に使われるが、その場合はハッとするような動きをする場合だろう。

例えば、図書館などで女性が肘を突いて眠っていて、カクッとなって目が覚めるときにはボケていた周囲が一気に広がるとか……そういうときに効果がある。

この手の動いている被写体に対して、暈かしフォカースの難しい点は、動いている被写体以外を全て浮かせてしまうと、その被写体が何を見ているのか、何をしているのかが分からなくなることにある。例えば、被写体が誰かに手を振っている時に、その先の人がボケていたら、誰に対して手を振ったか分からないから、感情移入が出来なくなる。それが冷めを生み出す訳だ。

撮る側は興奮して面白いのかもしれないが、それで本当に周りが面白い映像と思ってくれるかは別の問題だ。

ぼかすなら、被写体側の姿以外をぼかして映して、被写体の奥にあるものにフォーカスを映すとか、またはその逆に被写体の奥のものにフォーカスを合わせた後、被写体側にフォーカスをずらすという視点移動に合わせる必要がある。そして、それは必ずストーリーとしての辻褄にマッチさせねばならない。例えば、○○くんと交差点で手を振っている1人探して見つけた瞬間に周囲を暈かし引き立て、周りをぼかすとか……
そういうときに役立つわけだ。

Appleの発表では、そういう自然な視点移動サンプルを使っていた。
そのお陰で、シネマティックだったのだ。


まあ、簡単ではないことを示した事で、嘘偽りなく、シネマティックモードの可能性(誰でもボケ味を動画に付けられる)と限界(誰でも出来るがそれがシネマっぽいか自己満足で留まっているかは別)を示したと言えるので、そういう意味では価値のある記事だと思う。


<使い熟せれば面白いのは確かだが……>

尚、これを見て言えるのは、編集やカットをちゃんと考えて作れば、手軽に背景をぼかすことが出来、後からでもそれが比較的簡単に綺麗に出来るので使い熟せるようになれば、以前ならプロでも何度か取り直してやっていたことが簡単にでき、面白くなるのは確かである。

但し、ティックを突き詰めるには、それなりにトレーニング(慣れ)が必要だろうと思われ、多分今回のように何にでも使って面白いと思うのと、実際に撮影した映像を周りが見て素晴らしいと思えるかどうかは、別である。

だから、最初の方で書いたが、撮影の構図やイメージをもっとしっかり持って撮影しないと、写真の一瞬の映えとは違って、評価が落ちることもあり得る技術と言える。

当初は、たぶん結構使われるだろうが、この記事にあるように多用されるようにというのは、ちょっと増えて欲しくない映像が動画サイトや個人の映像に増えることになるので、後でどういう意図で撮ったんだっけ?とか、あの頃ははしゃいでいたな……遠い目……という黒歴史にならないことを祈るような状況と私は考えてしまった。


個人的に、シネマティックモードに、こういう撮る側が面白いが、周りから見てこれならぼかさない方が良いんじゃないのとか、ぼかす対象がおかしくないと思う可能性は考えていなかったので、ああそうだよなと改めて思った。

これは写真でもそうだが、全体が映っているなら、実はそれなりに分かる写真になるが、対象以外をぼかすと、本当にぼかしたものがぼかすべき対象だったのか?実は奥にあるものの方にピントを合わせ、手前をぼかした方が綺麗で評価が高いものになったのではないか?というのと同じ技術と感性、経験、撮影者が意識したものの差が表れやすくなるのだ。

全体が見える映像や写真は、下手でも上手でも、風景として完結するが、被写体の周りをぼかすというのは、風景を溶かして被写体を浮かすから、被写体が意味を持たないと冷めるのだ。動画の場合は、被写体が継続的に動き移り変わるわけで、写真より明確にストーリーが刻まれる。そのストーリーをちゃんと紡ぐことが出来ないと、ぼかした先の方が気になったまま終わってしまうことになり、評価は下がると言うことを意味している。

即ち、以前ならフォーカスを変更する腕が必要だった事に対して、誰でも簡単にプロっぽく撮影出来るが、逆に言えば誰でも出来るからこそ、結果的にぼかさない方が良かった映像が、ぼかしたことで台無しになることもあるという厳しさ、残酷さも併せ持つようになったと言える。

そう考えると、ハードに人が付いていけない時代がさらに進んだ感もある。
まあ、今やマニュアルを読んでも、全機能は使わないよなというものばかりの製品ばかりなので、これに始まったことではないが……。



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い