PS5の”TVスピーカーで3Dオーディオ再生”を試す。約10秒測定で差は歴然 …… 効果が十分に感じられなかった人は設定を見直そう。

AV Watchの記事である。


<設定サラウンド効果の限界と、それを超える設定の難しさ>

コントローラーを使って残響反響測定によるサラウンド設定をするというのは、ゲーム機では初かもしれない。最近のゲーム機を触っていないので、既にXboxは取り入れているかもしれないのだが……。これを使うと、確かにサラウンド効果がある程度正確に得られるようにはなるだろう。あくまで、開発者と視聴体験をして評価した人の平均値ぐらいまでのレベルになり、感じにくい人もいるし、感じて喜んでいるけれど実際には合っていないのに興奮する人もいるのが現実である。この手の技術に限ったことでは無いが、音にはプラシーボとなる技術も結構あり、それと本当に効果がある先端技術が同じ土俵にいるので難しいのだ。

この手のマイクオーディオ調整技術は、元々はスタジオオーディオの測定に機材を使っていたというのを自動小型化し、ホームシアターシステムのスピーカー設置位置と残響の調整で測定用のマイクと、設定のソフトプログラムを開発したことが始まりである。YAPOやAccuEQなど様々なものが開発されてきた。これが今ステレオでのサラウンドでも応用されつつある訳だ。

ベース技術が今ではソフトウェア中心なので、CPUやDSPの性能が十分あり、制御をするソフトウェアを格納する領域が十全にあれば、より複雑な音響、残響効果の測定も可能になる。そしてCPUやDSPは年々性能を上げてきた。だから、今ではより細かく定位を調整し繊細な音調整も殆ど遅延無く出来るようになったのだ。そして、ゲーム機やPC、スマホであればその性能は段違いに上がる。その気がメーカーにあれば、ヘッドホンぐらいならかなりの効果を上げることも可能であり、むしろ半導体の技術にソフトウェアが追いつかない時代に入っている。


具体的に、どういうことかというと、この手のソフトウェア調整にはどうしても解決出来ない欠点が最低1つあるのだ。
それは、人の耳の違いと感じ方の違いの個体差はソフトだけでは最終調整がまだ難しいと言う点だ。それを調整することが出来れば、少なくともイヤホンなら、激安の製品(音域は精米かも知れないが)でも5.1chぐらいのサラウンド効果を違和感なく出せるほどことがソフトウェアだけで出来る時代に既に入っている。

ただ、その差というのがどうしても簡易自動ソフトウェア調整では困難なのだ。この場合はバリエーション対応が必要となるからだ。音が聞こえる範囲、周波数毎にしっかり聞こえる音圧の差などを測定し、イヤホンなどの特性も測った上で、それを元に最適な出力に調整する必要があるが、その手順は複雑であり、消費者に任せるのはまだ難しい。店などで一つ一つ聞いて調整していくなら出来るだろうが……それはコストや時間が掛かるのだ。

しかし、これをやらないと完全なサラウンドはうまれない。即ち、皆が同じサラウンド効果を得るには1人1人に合わせてソフトウェア設定をカスタマイズする必要があるのだ。しかも、最低でも30分~1時間ぐらいは掛かるはずで、その効果が得られるのは、設定をそれに最適化した時だけだ。他のオプショナルな効果を継ぎ足すと崩れる可能性もある繊細なものになるというのも、これの欠点である。

まあ、そういう問題があるという点でTempest 3D Audioの設定の話をしようと思う。多分、効果が無いとか疲れるとか思っている人もいるだろうから……
これは、設定を見直すという話だ。

<Tempestですべきはテレビ側のサラウンド設定を切って設定してみること>

では、今回のTempestはどうかというと。10秒測定ではまず細かな設定は無理だろう。シアターシステムでも何分か掛かるのだから。

ちなみに、シアターシステムが測るのは基本的に音源の距離測定と反響測定である。
一定の音量で出力した音がマイクに到達するときにどのぐらいの音量で届くかという減衰率を測るのだ。これでスピーカーの距離を調べる。
後は、反響測定も何度か行う場合がある。これをすることで音のバランスと音域毎の音圧を合わせるのだ。

Tempestの場合はテレビから出ている音の残響と簡易音圧を測定して調整しているのだと思われる。10秒で終わるのはこの2つだけならそれほど手間は掛からないからだ。そもそもテレビの場合は、テレビの真正面でゲームをする人が多いと推定され、テレビに搭載されているスピーカーは必ず左右対称に設置されている前提にあるため、距離測定などは不要だ。残響(エコーやリバーブ効果)だけを測定すればそれでよい。


ここで重要なことがあるのだが、何か分かる人はきっとHRTFを用いたオーディオを良く知っている人だ。

この手の効果を得るには、テレビが持っているサラウンド設定を切っておく必要があるということを忘れてはいけない。
テレビのサラウンド設定は、音源内の音像のうち、主に高音域と低音域の一部の成分の音圧を少し高め、逆にボーカルなどの音成分を下げる。さらに残響がある音を強く暈かし、ボーカルなどの音を少しぼかしてずらし(後述する)サラウンドっぽくしている。Tempestの測定では、その効果が最初から入っている場合、それを計算に入れて処理することになり、多分打ち消しの効果を少し加えつつ過度に残響が入る違和感のある部分を補正するはずなのだ。

それを計算に入れて制御すると、今度はテレビの固定サラウンド回路が制御した効果にさらに馬鹿正直に変な効果を入れるため、効果が不鮮明になるのだ。要は聞き取りずらくなったり、声などがより隠って聞こえるようになる。もっと言えば、固定のサラウンド回路では、実は音像暈かしのために、声などの位置を斜め5度~15度ずらしていること(全部ではない)がある。簡単に言えば、ボーカルの音声などが本来中央から出ているはずが、敢えて少し左右にずらすことでサラウンドっぽくしているのだ。

これが、ちゃんとした制御をした音像に対して、掛かると強い音酔いをもたらすことになる。
要は、音と映像が全くマッチしなくなり、映像に聴覚を合わせるために、頭で強力なズレを補正しなくてはいけなくなるのだ。これは、固定サラウンドの弱点である。ステレオを多チャンネル相当に見せる技術などは、これが使われているので確かに迫力が出るような気がするが、このからくりが分かると、疲労に気が付き使わなくなる人もいる。

だから、Tempestをもしもテレビスピーカーで使う場合で、且つ、音酔いするならテレビのオーディオ設定でサラウンドやワイドなどの音響設定を確認し、もしオンになっているなら、オフにして設定するとよいだろう。

尚、もし、音域までTempsetが調整しているなら、バスレフやトレブルなどの設定に関しても場合によっては切って、EQなどがある場合はフラット設定にした方がよいかもしれない。多分そこまではしてないと思うが……本来は、これをAV誌が説明しなければいけないのである。AV誌の人間が素人と同じ目線で興奮する話ではない。最近は、AV誌も品物に対してスゴイスゴイしか言わない人が増えているが、食レポと同じようなことをして、評価をして貰える訳では無いことを忘れてはいけない。見て、ためになるから読んで貰えるのだ。


最後に、これらの設定をしても、先に書いたように誰もが完璧に体感できる訳では無いだろう。人には聴覚の差があり、感じ方にも差があるからだ。
完璧なサラウンドを求めるなら結局は、専用のマルチチャンネルサラウンドスピーカーを揃えるしかないのである。それに慣れている人は、これらをやっても、若干の音酔いが生じて疲労が出るかも知れない。

まあこの手の技術はヘッドホンの方が効果が得られるので、ヘッドホンで効果が得られていない場合は、テレビでは得られない場合が多いだろう。

後は、ステレオでも音の定位はズレているはずなので、そっちの方がよいかどうかは分からない。ステレオでズレに対する疲れが出にくいのは、ずっと昔からそれに慣れていれば、それに合わせた計算が頭の中で無理なく出来るからだ。簡単に言えば、幼い頃からステレオで育った子は、頭の中にステレオの音を映像で音が鳴っていると思われる場所に置換するための専用回路が作られているから、疲れを感じにくいのだ。

逆に、これから3D音響になれた子供が増えると、ステレオの音では疲れるという子も増えてくることだろう。どちらがよいかは両方で試して見ると良いだろう。多分、ゲームである程度、音の位置が合っていると感じるならTempestの方がよいのではないかと思うが、若干のズレでもあれば疲れるとか違和感感を感じる人もいるはずなので、双方を試して最終的によい方を取捨選択するのがよいだろう。



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