なぜ、7割超の日本企業は「五輪・緊急事態」でもテレワークできなかったのか …… 海外は設備を入れている数でやっている数ではないのがミソ。

ITmediaの記事である。


telework/Teleworkerというのは英語で言えば、work remotelyやRemote Work/Workerである。
日本ではこれが普及しない普及しないと嘆いている報道や記事が沢山あるのだが、世界では果たしてそれがそんなに上手く行っているのか?と言われると実は、日本とそんなに変わらないことが日本で殆ど記事にならないのは残念なところだ。

何故日本は、そんなにteleworkが普及しないことを記事にしたがるのかそもそも、仕事の大半が本当にteleworkに切り替えられるのか?記事書きの中で考える人は日本には少ないようだ。だから、この手の記事を読で疑問に思う人も少ない。


<欧米では最大でも3割~4割未満だったけどね>

米国で85%……ドイツで……って実際にテレワークをコロナ渦でやった企業ではないのだが……何らかの在宅ワークが出来る通信インフラ環境を整えている企業の割合である。政府などが良くこういう資料を出しているのだが、実は上記しているUS Newsの記事を見れば分かるが米国でもテレワーク(在宅ワーク)で仕事をしていた人は、コロナ下では最大35%だった。(以下はUSニュースの記事)
そもそも、海外で最もネットなどによる在宅・遠隔勤務が行われたのは昨年の春である。しかし、徐々にそれでは出来ない仕事も出てきたことで、今年の春のロックダウンまでに、2割台前半まで低下しているところも多いのだ。何故って、簡単だ。そもそも、リモートで出来る仕事などそんなに沢山はないからだ。

もっと言えば、リモートワークが出来ることと、それを一週間なり1ヶ月なり続けることは同じ意味ではない。例えば、海外勤務をしたことがある人は日本では少ないだろうが、海外ドラマや映画などで自宅で休んでいるときなどに急ぎの仕事が、電話とメールで届くなんてシーンをみたことがないだろうか?PCの電源を入れてカメラをオンにして、職場の相手と話をする。あれが元々海外で備わっていたリモートワークの環境だ。リモートでも出来るというのは、全員が出社出来ない中で、皆がネット経由でいつもの仕事をしているという話じゃなく、会社と自宅を必要に応じて繋いで指示するというのもリモートワーク(テレワーク)だ。

しかし、日本はそれをコロナ下で常時みんなが出来る環境を、海外で環境を持つと述べた全ての企業が出来ると誤認させたのだ。

その結果が今に至っており、未だに記事書きもその矛盾に気が付いていないのだ。まあ、それは後に回そう。

話を戻して、では何故海外では昨年春が最盛期だったのだろう?
例えオフィス勤務でずっとPCの前に座って仕事をするにしても、皆が顔を合わせるのが会議だけとしても、その会議を音声と映像だけでテレビやディスプレイ越しにやるのと、実際に顔をつきあわせて同じ空気の中でやるのでは、雰囲気が異なる。だから、特に中小だと特に企業側でロックダウンの要件を見極めて緩和を進めたわけだ。これは、政府側もある程度認めてくれたというケースもある。日本とは真逆でワクチンなどが普及しはじめた事やいくつか社会状況の調査で、感染力がわかり少し(マスク対策などをした)なら許すよという雰囲気を与えたのだ。そうしないと経済も回らないからだ。日本が、必至に富岳で安全危険とか、GoToとかやっている頃に……海外はちゃんと行動調査と感染しやすい場所の調査をしてきたから、同じロックダウンでも職務上でロックする範囲が僅かでも狭まったのだ。


日本はワクチン接種が進む現在が過去最悪の感染者数であり、重症者数に達している。死亡者は少ないというところにあまり目は行っておらず、それより医療体制と保健所の体制を1年ほぼ抜本的な対策を何もせずに放置していたツケが今ここに顕れて、右往左往している。東京に至っては明らかに検査の件数が少ないという始末の悪い始末だ。だから、ある種、teleworkをまた求める姿が強くなった。そして、そこに低い低いが重なった訳だ。

ただ、欧米でもギリギリで4割を下回るぐらいまでしか行かなかった遠隔業務を、ワクチン接種が進み、暫くすれば何とかなる状況にある中で、これを進めようという向きにならないのは当たり前であると言える。

前向き後ろ向きではなく、日本の産業としてこれをより深く取り入れて切り替えられる状況にすることで、メリットがある業種が多いかどうかが本来、記事書きが調べて書かねばならないことだろう。


<実は今でも出来る人はやっているし、就業している職種からみれば日本は高い方です>

以下のPDFは総務省統計局が出している毎月の労働力調査(最新版-執筆時点で2021年7月分)の結果である。

最初のページには労働者人口は、6692万人いて、それぞれに働いている業種というのが示されている。
大事なのは、リモートで働ける仕事はどれかということだ。


農業林業は、リモートワークは無理だ。確かに無人のシステムなどは作れるが、人の目が全くゼロにはならない。だから、ほぼゼロになる。
建設業は、人が作ってなんぼである。道路工事などで現場から離れた事務所にて作業をするリモートはあるが、現場には行くことが多い。だから、ゼロである。製造業は、製造する人が現場に行かなくて良いなら、無人で済むだから、これまたほぼゼロになる。これが無人出来るなら解雇されるだろう。

情報通信業(256万人)は相性が良い。これはほぼ置き換えられるはずだが、フィールドSEやOP、CEは必要なので、200万人ぐらいだろう。
運輸業、郵便業は客先に言ってなんぼの仕事が多いので、月単位などで止めるのは無理だろう。
卸売業・小売り業は、百貨店などの販売営業の一部をリモートにしたりすることは出来るが、家で全て出来る訳ではない。そのため、在宅で減らせても1割だろう107.1万人
それに金融保険業もある程度は出来るだろう167万人がそれだ。これは、8割置き換えとして、133.6万人
不動産業も最近は賃貸物件のリモート内覧なども提供しているので、ある程度は出来るかも知れない。139万人だが、1/3勤務として46.3万人
研究や技術などのサービス業は、業種によるので何とも言えない。2割ぐらい在宅で出来ると仮定して50万人である。
宿泊飲食サービスは事実上在宅は無理なのでゼロである。経営者で自宅が店ならある種在宅だけどね。
生活関連サービス娯楽業は、新業態の情報系に切り替えていない限り無理であり事実上ゼロである。
教育学習支援は、相性が良いので6割ぐらいは可能と見て、202万人
医療福祉は少なくとも職場には行かないと無理である。
他のサービス業は、分からない……。

これを全部足すとどうなるかというと日々安定的にteleworkさせるなら739万人-よほど頑張って1200万ぐらいは出来るだろう。これはあくまで簡易的に私が示す概算だが全体の11%~ということになる。上下しても日々テレワーク出来る人の数を企業活動が止まらないような常勤レベルで維持出来るのは2割を何とか達するか達しないかぐらいの範囲だろう。

これを2割3割でやるというのはどういうことかというと、本来なら客先に行かないと仕事にならない部分も、ある程度家でやろうとか、一部の業務を止める代わりに他の家で出来る処理業務をやって貰うとか、客先に状況を説明して、客先でもある程度負担して貰うとか、そういう業務振替を重ねることで、何とか回しているということだ。

上記したように海外でも徐々に減っていた理由が同じことによるものだ。

だから、海外ではRemote Workがもっと出来るはずみたいな記事はあまり書かれない。もちろん、上がった下がったというのは書かれているが、出来ないのがおかしいみたいな記事にはならないのだ。だって、産業区分から見いだせば割合が高いほど無理がはたらく事を海外の記事書きは理解しているからだ。それぐらい理解しているのが当然なのが、記事書きなのである。


<日本は記事書きもジャーナリストも前提が狂っていることを理解していない>

やれば出来るはず!というのはある種のスポ根発想だろう。日本では脳筋とも言われる。
問題なのは、日本国の記事書きの多くが、物理的に不可能な職場もあるのに、それに目を向けることを最初からしないという点にある。もっと言えば、性善説のように出ているデータを信じているというのも痛いところかも知れない。

あの会社は出来るのにやらないというのは当然あるだろう。しかしそれは果たして全体から見たときにものすごく大きなパイなのか?と考えることが出来ないと、むち打ってやれといっても打たれた鞭に対して、労働者や企業は、嫌もう出来る人はやっているし、既にこれ以上できないとも言えなくなる。

それでも、やれとか出来るはずという記事が溢れるから、日本はやるべき企業では進まず、やっている企業は不満を漏らしてやらなくなるようになっていくのだ。ちなみに、海外は3割(多くても4割)で日本よりテレワークが拡充しているかのように思われてしまったのは何故かというと、単純だ。

海外はロックダウンをしたことで町から人っ子1人いなくなった上に、設備を導入している企業の過去の割合=実施している企業と錯覚させたからだ。彼らが全員テレワークをしているかのように錯覚すればそうなるのだ。

現実は、所得補償などを多くの国(先進国の場合、途上国はそれもなかった国が多くある)で掛けて末期で3-4割程度、最初期で6~8割の所得を補償したから、人々は動きを止めた。財政上の問題があるので、後半はそれが細った国もあり、それまでに企業側からレイオフや完全解雇で職を失った人も多いが、テレワークでは出来ない仕事の人は休んでいたということである。


では、何故日本はこのような方向に向かったまま訂正されないのだろうか?
それは、はっきり言えば書きたい事を書くことに囚われ、その前提が正しいのかという俯瞰ができていないから、まさか前提が違う事に気が付いていない人もいるからだ。


<本来は企業活動を止めないための自主防衛策だったはずが……>


そもそも、これはコロナ(SARS-CoV-2/COVID-19)が拡大しないための対策として政府や自治体が求めていた経済持続施策の1つだ。

このテレワークというのは、他の欧米の先進国からみれば、出来る企業にはテレワークをしてもらう一方で、出来ないなら補償をするよというモノだった。その代わり、補償料率は期待より下がるから、テレワークで回せるならそうした方が良いよというものだった。

要は、企業経済成長率が維持出来る方法の1つがテレワークだったのだ。だから、これが出来る企業が多い国ほど、財政歳出面でも有利で、ロックダウン等に強いだろうと言われたのだ。しかし、日本はこれをデジタル化推進策に盛り込むために、利用したのもあるが歪んだ事実として広めることになった。これがあれば、全ての企業が回るかのように仕向けたのだ。結果的なのか、最初から作為的だったのかは知らないが、少なくともそうなった。


そもそも財政歳出面でも日本は他国とは全く別物だった。政府が、直接補償をしたものの固定額にしてしまった。さらに最初の頃は感染も欧米ほど広がらなかった。だから、他の国が感染対策だけではなく、検査や医療の体制を改善していく中で日本は何もしなかった。

そして、当初ですら補償対象者の申請を複雑にしたのに、いつしか緊急事態宣言とそれはセットではなくなった。結果、ニッチもサッチも行かなくなりテレワークだけが残ったのが今であり、そこまでいく過程でこの意味は、デジタル化が進まない国で守ってくれないというようにはき違える報道が増えるようになった。まるで、テレワークが出来ない=後退国で悪いというように。だから国は悪くないのだと言いたいのかもしれないし、業態転換を進めろと報道機関や記事書きは言っているのかも知れないが・・・

それをみて、企業はテレワークをしたくなるかというと、そうはならない。むしろ、罰金や企業名の公表があっても利益が罰金や企業名の公表よりあって社員も会社も守れるなら、出社しろとなる訳だ。(ただ、一部の社員はこの報道などに流されてしまっている)

それは結局のところ、テレワークテレワークと報道も政府も言っているくせに、それがどの業種で通じるのかすら語らないからだ。しかも、テレワークが多少でも出来る海外企業の数と、コロナ渦でそれを全面的に実施し経営を止めずに続けた企業の数が混同されているのも、誰も指摘しない。
頭の悪い政府の広報官になって一緒に、何故出来ないのか?それは会社が悪いから……というだけで、日本にある業態・業種の労働人口をみて5割がテレワークになることはないことぐらい労働力調査を一つみれば誰でも分かるはずだ。

本来は、それを国や自治体が理解出来ないなら専門家が指摘し、報道機関なども伝えねばらない。しかし、彼らもまた企業が悪い社会が悪いという方向に向かう。そこから言えるのは、この先の日本はそういう発信力が本来ある人で、多くの人に説得力を与える人が、誤認しているか、またはミスリードしている恐れがあることを示し、この国の未来が危ういということを意味している。


こういうのは、この手の記事に限ったことではない。
何というか、ある一方行やある一つの業種に絞っているように見えるのに、絞っていることは書かずに、チェリーピッキングしている記事も増えている。それを、真に受けてしまうと、社会が分断されていく。
本来専門家は、俯瞰しなければいけない。ある業種に限るなら、その業種に対してと書かねばならない。まあ、本人もそれに気が付いていないケースも世の中には沢山あるぐらい、日本は既に情報分析力が低下しているのかもしれない。


ちなみに、上記は全国の推計であるが、東京都の場合は以下となる。第1表で書かれているので興味があるなら計算してみるとよい。もしかすると、5割ぐらい出来るのかも知れない……。



この国の不味いところは、錯誤が多用されていることにある。
これは、前政権から極端に始まったことなのだが、要はAというグラフが政府や行政のプレゼンなどに示されるとして、そのAを他の記事に応用するときに、その記事に適した内容とは微妙に異なるのに、それが正しいかのように使われることが多々あるのだ。実際に同じ条件下で持っている技術が使えたかどうかは別なのに、準備をしていた企業の数が、日本で今できている数(割合)と比べられるという今回の記事もその一つだ。

それを錯誤という。これが本当に増えているからどんどんこの国は現実と理想のギャップが歪に広がっていっているのだ。
本質の問題を解決することも、それに向き合うこともしなければ、この国はどんどん弱っていくどころか、人と人の意見が交わらなくなっていくだろう。
それを防ぐには、まずは本当にそれが出来るのか?を今一度確認することから始まる。

出来るのであれば、どうすれば本当に出来るのか?海外では出来ているとそれを示すなら、実際に海外で同じことが出来たのかをちゃんと示すことが大事だ。

と私は思うが、なかなかそうなってくれないから、こういう状況が続くのである。


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