キオクシア、3D NANDフラッシュで6bit/セルの超多値記憶を確認 …… QLCも普及には至らない中で……

PC Watchの記事である。


HLC(Hexa Level Cell/6bit)にすれば、1つのセルにTLC(Triple Level Cell/3bit)の2倍の容量※を記録出来るはずだ。


ただ、HLCを求めるのはこの記事を書いた筆者とかぐらいしかいないだろう。実用でHLCを求めるのはデータ損傷の危険が高すぎる上に、読み書きのレイテンシが多くなりすぎるだろうから、ストレージとして向かない。

液窒冷却しないと無理というのは数年やそこらで突破できる問題ではないだろう。


では、何故多ビット(多価値セル)にすると容量が増える一方で性能が落ちたり、記録品質が下がるのだろうか?
これは、とても単純な話だ。元々SLCと呼ばれたシングルレベルのセルでは、1bitの0か1を記録する。信号があるかないかぐらいの情報である。文字通り1つの容器に1つゼロか1が入る。

例えば2bitのセルだと、電荷の性質を4つに分類することで2bit相当にしている。
具体的に言えば、00、01、10、11の4つに相当する電荷の分類を設定している。L0-L3と呼ばれる信号だ。


これが、QLCになると、16種(0~L15)に増える。0000~1111までの0と1の組み合わせだ。これを電荷の僅かな性質差で示す訳である。チャージは16種になるとセルへのチャージは複数のトラップを用いて行っているとされる。

そして、PLCだと32種、HLCだと64種になる。

では、セルに記録している電荷はずっとその性質を維持したまま抜け出さずに耐えられるのかというと……そうもいかない。セルの中で逃げだそうとずっともがいており、その時に性質が徐々に変化することもある。だから、セル辺りのビット数が増えるほど処理工程が増え速度が落ちたり、長期保存などの品質が保てなくなるわけだ。

分かり易く言えば、SLCなら、あるかないかぐらいの情報なので電荷がありさえすれば1というぐらいの扱いで処理出来る。要は情報を示す電荷だと分かる欠片でも捕捉しておけば、データは保持されるだろう。だから、信頼性が高いというわけであり、例え少しゲートが破損しかかっていても読み取れるし、書き込める可能性が高い。

これが、MLCまでなら4段階程度までなので問題が殆ど起きないのだ。

しかし、TLCを過ぎる辺りから、特殊な変換行程が無いと微細な差が見え難くなってしまった。だから、Low Density Parity Checkなどのより強力なエラー管理や訂正技術も加えられた。


当該記事には書かれていないが、
QLCメディアは今でも実は常用は出来ない領域である。

データの出入りに相当する電気信号の入り口「ゲート」の質が少し下がっただけで、16階調の電荷の特性を判別出来なくなることがあるからだ。そこで、QLCストレージでは、Dynamic bit/Cell Configuration(動的ビット/セル設定)を加え、空き容量が減ったときにDynamic Wear LevelingやStatic Wear Levelingと組み合わせて、あまり使われないデータを死蔵する際にQLC領域に移すという仕組みを取り入れた。これによって、書き換えがとにかく少ないデータだけをQLCで管理することで記録回数と品質を稼ぐことにしたわけだ。

PLCまではきっとそれで何とかなるはずだと思っていたが、実際はそうじゃなかった。

消費者からの評価は速度の遅さもあり、余り高くなかったからだ。その上、QLCにしたところでTLCに対する容量の増加は少ない上に、技術コストが嵩むというのもあったのか、それとも半導体不足の影響も重なったのか、その両方か価格もあまり下がらなかった。結果、TLCまでの媒体の方が主流で残り、QLCは2021年現在でもメーカーが期待したほどの販売状況にはなっていないのである。


今はPLCも製品化準備が一部でテストされているが、実際に製品として出てくるか微妙だ。大容量を求める用途に使っている人の多くは、一般の何も知らないで安いだけの品を買う人じゃない。サーバー管理者にしても、一般のユーザーにしても、データを保護する目的があって大容量を買う訳だ。しかし、QLCやPLC、HLCという媒体はそれとは正反対の役割の媒体で、簡単に言えば安く記録速度面でも質が悪い媒体を製造するための技術に過ぎない。ただ、少しばかりセル辺りの容量が多くなると言うだけだ。

圧倒的な容量になるならもしかすると、それでも選んでくれるかも知れないが、セル辺り1bit単位でしか増えないのも悪い影響を与えている。

セル辺りのビット数が

1⇒2で2.00倍でも
2⇒3は2倍にはならず1.50倍になる。そして、
3⇒4は約1.33倍
4⇒5は1.25倍
5⇒6は1.20倍
6⇒7は約1.17倍
7⇒8は約1.14倍

とビット数が増えるにつれ1bit増辺りの記録倍率は下がっていく訳だ。これは、記者でさえも理解していないことがあるが、あくまでセル1つのビット数が1ビット⇒2bitなら2倍、2bit⇒3bitで2bitに対して1.5倍、1bitに対して3倍に過ぎないのだ。

ちゃんとこの部分を理解していると、この増加量で品質が数分の一に下がる媒体を喜んで買う阿呆や事業者は殆どいなくなる。
もっと言えば、それの欠陥管理をするのにもより高度な制御技術が必要になるわけで、作る側にとっても実は割に合わなくなることも有り得る。

今回の媒体研究は、
将来ブレークスルーが出てくれば変わるから研究は続けるのだろうが、今の段階でこれが求められる技術というわけではない。そして、求められていないのに投入しちゃったり、投入を計画してしまったのがQLCとPLCになってしまったわけだ。

<HLC研究の直近の意味>

HLCは今の段階では投入する計画もないはずだ。あくまで、研究目標であり、ここで培った技術を、PLCより下の媒体の品質向上に向けるためのものであるのだろうと思う。より困難な媒体の研究は、それそのものが製品にならなくても、普及媒体に一部を落とし込むことで品質を高める効果を及ぼすことは往々にしてある。これは短期的にそっちに向けた動きと重なると思われる。

メーカーはそういう部分も考えて、今は6b/Cの研究の中から下のステージでより品質を高めるために使える技術を研究しているのだと思うが……6b/Cを数年後に商品化する目的だというなら、ちょっとどうかしているだろう。そのやり方が市場で認められるには少なくともTLC水準で動く媒体にしつつ価格も、MLC⇒TLCの頃ぐらいまで激安に、容量も大きく増やさないと厳しいだろう。

そうではなく、何となく耐えられるんじゃ無いかなと言う雰囲気で投入して大容量化を狙っていると、大容量媒体に関しては、地道に性能を維持しつつむしろ、静粛性や信頼性を高めつつ容量を増やしてきたHDDの牙城が再び広がる事もあるかもしれない。

まあ、起動用ではSSDが最適なのにかわりはないし、この先これがHDDに戻る事はないだろうが、HLCの媒体を望むみたいなのはあまりPCやスマホなどを使う利用者にとって今は望ましいことではない。もっともっと、先の話であって欲しいと思う。





















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