ソニーが見据える1兆円の先と、ONKYOの上場廃止(倒産ではありません)…… 存在意義は

ロイター通信とAV Watchの記事である。


ロイターの記事はソニーのコラム記事だ。これは、この先自動車産業が見習うべき分野かも知れない。
Onkyoの記事はAV Watchに書かれている方だが、ロイターなども昨日速報していた内容である。これは破綻では無く、店頭上場を廃止されるという話だ。債務が、上場基準を満たしていないという意味だ。これで破綻するかというと、債権者との関係次第であり、出資を簡単に市場では得られないことがマイナスに働かなければ生き残れるだろう。

厳しいのは確かだ。

ソニーは、元々ラジオなどの製造販売から始まった会社だ。その後、テレビ(クロマトロン⇒トリニトロン)で成功し、コンパクトカセットテープレコーダーのウォークマンで、一世風靡し、βがβカムコーダの成功で放送業界で浸透し(民生用ではVHSに負けた)、8ミリカメラで民生用では成功し、フィリップスとCDを開発し、3.5インチFDを開発しと飛ぶ鳥を落とす勢いだったのが、80年代までである。90年代からはゲーム事業やPC事業に本格参入(一部再参入)し2000年代にかけて大きく成長を遂げた物の、00年代以降は家電メーカーとしての成功は徐々に減っていった。また、MDを国内中心でヒットさせたのも開発元のソニーである。

しかし、家電メーカーとしてはその辺りまでだった。最後に社会でそれなりに評判になったのは、AIBOぐらいだろう。これは、共同創業者だった故井深大が最後に販売しても良いとゴーサインを出したとも言われる製品であった。

この会社は、白物家電は殆ど扱ったことがない(全く扱わなかった訳では無い)が、国内ではパナソニック(旧:松下電器産業)と比較されるほど80年代後半までに上り詰めた。まあ、海外の映画会社を子会社にしたり、音楽レーベルを買収したりして今も所有しているのはここだけだ。

ちなみに、今のソニーにとっての柱は、家電よりもゲームとコンテンツ産業(映像・音楽)である。一頃は保険会社とも言われていたが、今はそれよりこちらの方が高収益事業であり、当時の買収が生きているといえる。


ONKYOは、操業最初期を除けば東芝の傘下に長年あった企業だ。今のオンキヨーの立場を明確にしたのは、90年代後半~2000年に入ってからだろう。PC向けのパワードスピーカーや、DVD等に向けたホームシアター製品やAVアンプリファイア、コンパクトデジタルオーディオコンポーネント(CD/MDなどの製品)などを売り出すようになってからだ。東芝から離れた間はかなりの期間が赤字転落していたのだから……。

この成長期にONKYOが買収したのは、PCメーカーの異端児SOTECだった。しかも、SOTEC落ち目だった頃だ。後は結構な人が知っていると思うが、失敗して事実上PC事業から撤退している。間に何度かデジタル情報製品を発表しているが、製品化出来なかったもの、製品化した物の保守が長く行われず廃れた物などもある。

その後PC向けのオーディオカード事業からも撤退しており、いろいろ事業は小さくなった。その後は、インクリメントPまで売却するパイオニアのオーディオ事業とくっついてみたりしたが、弱る一方となった。なぜ弱ったのかというと、単純だ。
この会社は、オーディオに固執しすぎたのだ。


<音は感性では語られなくなった>

その昔、音と言えば高いアンプを買って、高いスピーカーに、高いコードを買って、質の良いテープに録音したり、高いレコード針を選んで買ったりもしていた時代があったのだが、今では音とは波形で可視化されるものである。

例えば以下のように。ソフトウェアによるデジタル時代に入った今では音は可視化出来るのだ。ステレオの音をマルチチャンネルにすることだって出来るかも知れないし、普通のスタジオ録音の音を、反響のあるお風呂で聞くようにリバーブやエコーを効かせることも出来るのが、可視化出来る時代の凄さだ。ノイズを加えることも、減らすこともソフトウェアを用いれば出来るかも知れない。

Audio ALz.PNG

そういう時代になった今、音というものに対する拘りというのは、年々高価なブランドアンプなどのものではなく、ソフトウェアや安価で便利でそこそこ使い勝手のよいものに集約されつつある。例えば、ワイヤレスのイヤホンやヘッドホンとかそういう方向に向かっているのだ。音質という人それぞれの感性に響く部分の善し悪しよりも、その感性はソフトウェアに任せて、自由に使える安価な物に目が向くようになったのだ。

その結果、オーディオは昔ほど売れなくなった。
ちなみに、今売れているオーディオの多くは、パーソナル向けのイヤホンなどが多いが、これらも一部の新機軸を除けば、売上げが大きく伸びるほど業績に貢献する品ではない。

これが、デジタル化の負の部分かも知れない。
アナログ時代には、音をスピーカーに伝えるまでの増幅工程や読取り工程で音の化けやノイズが生じていた。例えば、テープは磁気ヘッドとの接触によるノイズがどうしても生じていたし、ケーブル内を伝える間に、外からの刺激があれば、ノイズになることもあった。増幅器(アンプ)の品質によっては、家庭用のコンセントの電圧が少し変化しただけで、バチとかバリッと音が乗ることもあった。(今でも乗る製品はオーディオ機器だとある)

それらがあるから、それらの差別化がされた商品を高くても買うという需要があった。

しかし、デジタル化したことで、それらは殆ど無くなった。強いて言えば、アナログのスピーカーとのケーブル接続で乗ることがあるが、それもケーブルの品質が安定した昨今では殆どない。昔は安かろう悪かろうがあったのだが、今では質が安定しないと売れない時代でネットなどで酷評される場合もあるものだから、粗悪を売る偽ネット通販で購入しなければ、そういうことはない。そうすると、高品質で高付加価値が売れず利益が望めなくなる。何より、そうそう買い換える人がいなくなる。

さらに、デジタルで育った人は、元々、アナログの発想を持っていない。
好みの音など、アンプを買い換えなくても、EQ(イコライザー)で調整すればよいからだ。上記した波形で見れば良いのだ。
そして、最終的にアンプ部分までデジタル化されたスマホなどが登場したことでもう、コンポなど無くてもよい時代になった訳だ。

まだ、YAMAHAのように楽器や車両部品などまで扱っていれば違うだろうが、ONKYOは結局部品を集めて組み立てるメーカーであるため、それが徒となったと言える。

過去に、ONKYOが生き残れるタイミングがあったとしたら、それはSOTECを買収せずに、Creativeの買収や資本提携を目指すか、YAMAHA LSI事業と提携して、PC向けのオーディオと関連ソフトウェア事業を打ち立てるべきだっただろう。それをやっていれば、上手く行けばそのライセンスでスマホやPCの事業を持つことが出来、生き残れた可能性が高い。即ち、今やハードよりソフトの方が財産になっているのだ。

これは、ソニーのコンテンツもソフトであることから分かるだろう。

ちなみに、Appleなどはハードウェアで成功しているが、これもハードが良いから売れているのではなく、ソフトが優れているから、ハードが売れるのだ。今やどの企業も、成功しているハードはソフトウェアが優れているから売れるのである。

日本の電機系企業がこれまで民生品で撤退を繰り返す嵌めになったのは、このソフトを重視しなかったからであり、自社だけその時だけ優れている品に固執したからだ。(簡単に言えばアップデートが出来ないかその期間が短いハードということ)


<オーディオアンドビジュアルの未来>

というのは、既に概ね決まっている。これまでのようにオーディオメーカーブランドで選ばれる時代は、今後、高齢の愛好家が亡くなって行くにつれて終わっていくだろう。これからは、オーディオ単体のブランドよりも、連携や他の優れた同一メーカーの製品とのセットで売れるかどうかになる。それ以外は、本当に僅かな趣味の範囲で選ばれるぐらいだろう。

だから、ある意味ではその趣味向けはより高価格に変化するかもしれない。生産量が少なくなるからだ。

では、ONKYOはそこに残れるのかというと、日本企業として残るなら、難しいかも知れない。日本は、若いオーディオマニアが減っているし、そもそもオーディオを専門に扱う専門サイトや書籍の批評家も高齢者と化しているからだ。なぜそれが理由になるのかというと、高齢者と若者では耳の質や目の質が違うからだ。年を取れば耳は聞こえなくなるし、目は見えなくなっていく。発想も昔のアナログに影響を受けているため、評価の仕方も自分の感性が視点になりやすく、伝わりにくくなる。

さらに、老いも影響する。日頃の生活で聞こえているように見えても、若いときほど広い範囲の音は聞こえなくなるし、目も衰える。だから、高齢のレビューアが選ぶ製品を、若者が凄い優れていると思って買っても、満足いかないことは有り得るのだ。

そして、さらに深刻なのは本当にその層の人(若い人)が作った会心作が売れないため、技術者が育たない場合もある。結果、国内で一部に売れても世界では売れない品が完成する。そして、若い人はその産業から去る。

実際に、日本の最近のAV誌を見るとそれが如実に表れている。同じような人が同じような評価をしていることも多いからだ。作っている人も、だんだんと年配になってきている。昔は、20代で初の製品作りとか、斬新な品とかあったが、最近は40代ぐらいでやっと作らせて貰ったみたいなのが逸話だったりする。それは、ダメなんだよ。若い人が若い人の喜ぶ品質や価格のものを届けられない企業は潰れるのだ。

それが、オーディオ分野では無くなってきているから、拘りのブランドは残れない。これは、高齢者がテレビを見るから番組も高齢者向けにすれば、視聴率が取れると思っていたら、高齢者自身も徐々に老いて見なくなるというのと同じだ。本来は、娯楽の中心、商品購買の中心である若者や中年までの層を狙うのが正しい。例え、人口スケールが小さくてもそうしなければ、未来はどんどん細っていくわけだ。


<いつの時代でも若者が買うなら生き残れる>

考えて見ると、自宅で22.2chのスピーカーを設置する人などたぶんいない。
5.1chスピーカーを設置した人が、毎年買い換えることはないだろう。壊れなければシステムは買い換えないのが普通だ。

だからこそ、それを持たない若い人が、それに興味を持つ品を作らないといけない。
しかし、それをしないし、そもそも若い人がそれに手を出せるほど金を持っていなかったり、若い人を狙った商品開発がされていないから、若い人は買わないのが今の日本である。結局、高齢化の行きついた先から抜け出そうとしないからこうなっていると言える。

ただ、だからずっと高齢者向けだと売り込むのはダメだ。それは、その世代がいなくなったらその会社の存在する意義が無くなるからだ。
だから、新しい若者が喜ぶようなビジネスをしなければいけない。

ソニーが先に進めるのは、その違いがグローバルで成長する中で育っていたからだろう。

だから、古いものを捨てる力もあり、新しい物を取り入れる力もあったわけだ。もちろん、間に苦しい時代もあったが、今上手く行っているのは、何度も脱皮して若返ってきたからだ。

これは、ONKYOに限ったことでは無く、日本として足りないのはそこだろう。この国は、凄い優れている。技術があれば何でも出来るという発想に縛られすぎだ。技術があるから凄いんじゃないし、最初に技術を開発したから生き残れるわけではない。伝統が企業を育てる訳でもない。大事なのは、次の時代にその技術がどう使われるのか、今の伝統が果たして通用するのか?本当に投資した分を上回る利益や雇用を生み出すのかを俯瞰することが大事だ。

とまあ、私はそう思っている。
























































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