「Iris Xe MAX」にみるゲーミングの厳しさ…… 悪くはないが、GPUとして最高に回っている訳では決して無い。

PC Watchの記事である。22年ぶりのディスクリート(外部)と書かれていたので、デスクトップ向けかと思ったがそうじゃなかった。インテルがそう述べて発表したのかもしれないが……ただのモバイル向けオンボードであり、モバイル向けのチップセットやCPU内蔵ではないオンボードは22年ぶりではなく、事実上Intelにとっては「初」のはずだ。
尚これは、Xe-LP製品群に変わりはなく、Xe-HP系ではない。


製品の売りは、Geforce MX 350系よりは速いということのようだ。そして、メディアエンコードが他のモバイルGPU(RTX 2080 MAX-Qなど)を圧倒するほど高速になり、DL/ML系の処理にも最適という売り込みだ。CUDAやOpenCL/NVENCやNVDECなど要らんぞと売り込んできたわけだ。この会社本格的になりふり構ってられなくなってきているのが分かる。CPU市場が相当不味い状況になりつつあるので、モバイルだけでも自社のdGPUとセットで売り込んで稼ごうという気があるのかもしれない。

多分、ここまでGPUの性能を売り込むのは、やはりGPUの方が10nmで量産しやすいからなのだろう。特にLP系のGPUなら、クロックも低いし、パッケージも小さいため、出来の悪いという話のIntel N10でも大量生産出来るだろう。即ち、歩留まりを改善し上げる練習に向いていると思われる。

ただ、実際にこれが売れるのかというと、外部グラフィックス市場では、Geforce利用者の方が今後も暫くは多くなるだろう。メーカーはこれを使うようになるかもしれないが……上位はそうもいかない。逆に、下位の一般ユーザーの多くはiGPUで事足りる訳で、これを載せると電力も価格も上がることになる。全部が全部これ搭載になれば皆それしかないから買うようになり良いのだろうが……AMDとの競争などを考えた時に、本当にそうなるかは厳しい。AMDの方が安い中で、Intel Xe GPUが必要だという人はやはり少ないだろう。

だから、たぶんIntelはGeforce MXより安く売り込み、これを駆逐することになるのだろう。
ちなみに、この製品にはまだ足りない点がある。

特に、グラフィックスレンダリングにおいてnVIDIAで言うところのSLI、AMDで言うところのCrossFireXをiGPUとdGPU間でサポート出来ていない点だろう。
GPGPUでは出来るが、肝心のGPUとしての機能では出来ないのは結構痛いところだ。それから、モバイルでDL/ML関連の処理を意欲的にする人がどれほどいるのかも気になる点だ。たぶん、今後のプロセッサー開発における機能分離の布石を打っているのかもしれないが、先にするべきは本来のGPU側としての性能強化であってほしかった。

問題の足りない点は次だ。

<初物からか?空回り傾向があるように見える>

ちなみに、性能も思った程伸びていない。
元々Geforce MX350のFP32推定性能は1.9TFLOPS以下である。それに対して、96EUsのこの製品は、2.5TFlopsあるが350をぶっちぎることには成功していないようだ。これは、Intelの伝統芸であり、iGPUでも昔から見られることだ。ユニットの最大実効性能は高いのに、何故かその数値通りにゲーミングなどは回らないのである。これは、良い方向に見積もれば、LPDDRを使っているせいだろう。8Gb(x32)×4で組んでいるのだろうが、GDDRのようには並列で入出力処理が行えない分、レイテンシが発生するのだ。電圧と発熱を下げるためにLPDDRを使っているのだろうが……これを使っている間は伸びないだろう。
ちなみに、TDPはTechPowerUPの情報によるとIris Xe MAXは25Wのようだ。MX350は20Wである。

比較対象がMX350だが……
MX350はメモリー2GBであり64bitバス(GDDR)でIntelが提示したゲーミング性能差だと結構評価は厳しい。

ちなみに、TDPから見ると近いライバルは、MX450である。

ということで、総評すると、MX450や350相手で見るなら、確かに悪くはないと思うが、初物故なのか、微妙な空回り感がある。今後ドライバーの更新などでこの空回りを改善出来るのか・・・と考えて見たが、たぶん今までのIntelの傾向を考えるとゲーミングでは多分無理だろう。世代交代が必要になるはずだ。

これが、GDDRだったならもっと大きく改善する可能性はあるが、Intelの10nmは、いろいろ何故クロックを上げないのかなどで「謎」(歩留まりの問題が何から起きているかは噂では複数出ているが明確にはわからない)が多く、熱密度の問題か何かを恐れていてモバイル向けではそういう選択を取らなかった(取れなかった)という可能性もある。

一方で、いわゆるメディア系の処理や、DL/MLという通称AIと呼ばれる処理には強い。これは、プロセッサーメーカーとして命令セットを極めているのが大きいように見える。いわゆるCPUのような汎用部分というべきか命令セットというべきか、そういう特定の処理が凄いが、GPUとして売り込むと、ゲーマーが挙って買うような代物にはまだ達していないような雰囲気だ。


分かり易く言えば、何でも出来る凄い人ではなく、体育、図工、音楽などが出来て、国語、算数、理科、社会が出来ないとは言わないが、得意科目と自分で豪語しているのに、平均点を超えた?ぐらいしか出ていない感じだろうか?もうちょっといけそうなんだけどな?なんでというところだ。それを他の部分で濁している。しかも、自分の本当の意味での得意分野で……。

だから、微妙に写ったという人も多いはずだ。
それは、そういうことである。

ちなみに、先にも書いたようにIris Xe MAXの登場で、プロセッサーやマザー、チップセットとセットで売り込みを掛けるだろうから、間違いなく今後Geforce MXを採用している製品群は、今後減り、Intelに置き換わっていくことだろう。強制的にCUDAに退場を勧告される可能性もあるが、ちょっと今のままでそれをやられると、一部の人は発狂するかもしれない。

もちろん、これは初物だからというのはあるので、これからに期待したいところだが、期待したいという言葉で済ませてはいけない気がする。
最初からべた褒めして、こういう部分を改善しなくても良いとIntelが思い込むことこそ、消費者にとってはマイナスである。自社の命令セットを使ってくれる人に対して、凄いというのは確かに手ではあるが、nVIDIAでもCUDAよりGPUはGPUとしての役割を十分に果たした上での、CUDAだ。もっとGPUらしいいGPUを目指して欲しいと思う。

尚、ゲーミングよりも、データ処理が多く、ゲームも多少するぐらいなら良いGPUだろう。Tiger Lakeを使ったPCに追加するほどかというと、まあ、本当に目的によると思われる。



この先、デスクトップ向けの製品も投入されるが、これよりは大きく性能を上げてくるだろう。予定では、FP32換算で10TFlops級まで性能が上がる見込みだ。即ち、Geforce で言えば、2060 Superと2070の間以上のFP32性能に達する見込みである。ただ、数字上の性能がゲーミング(コンピュータグラフィックス)の演算性能として同じになるとは限らない。そこが、この製品の弱みになり得るだろう。そこを改善すれば、nNVIDAには厳しくなるかもしれない。

何というか、この製品はAMDと大局の製品でnVIDIAがちょうど中間点にあるように見える。
AMDはとにかくGPUはGPUとして開発している。nVIDIAはGPUとCUDAなどを使ったオリジナルのGPGPUを上手にマッチングさせている。それに対して、Intelはどちらかというと、GPGPUの中でも自分が得意とする分野において優れた性能を発揮するように作り込まれているように見える。しかし、同じオペレーション(演算)性能でも、GPUとしてコンピュータグラフィックスを処理させると、nVIDIAやAMDより劣るように見えるのが、今のIntelの欠点かもしれない。これを改善していけばIntelは強いGPUメーカーになり得るだろう。

即ち、Larrabeeのように下手な固執をしなければ、ゲーミングでも勝利するだろう。ただ、Intelが狙っているのは、他のnVIDIAやAMDの目線と同じように見るとそこではなく、HPC市場でその下方互換として、GPU(CG)があるような位置づけに見える。だから、GPU性能よりトランスコード/エンコードや、CPUでも機能を追加しているDL/ML系の処理を中心にしているのかも知れない。














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