映画『鬼滅の刃』日本映画史上最速で興収107億円突破……単品が売れるより呼び水効果があるかの方が重要。

オリコンの記事である。鬼滅の刃の映画が市場最速で100億を突破したそうだ。


単純計算だと10億/日のペースで動員している扱いだ。まあ、実際は最初の週末だけで46億2300万円(3日間)、342万人に対して、10日間で798万3442人なので、7日間の動員ペースは最初の3日に対して1日辺りでは半減している。
一応計算式で示すと、46億2300万円÷3日間=15億4100万円/日が初週の週末である。
それに対して、10日間で107億5423万円である場合、最初の3日間を46億2300万を引いて、
107億5423万円-46億2300万円=61億3123万円になる。

これを、7日で割るので、61億3123万÷7日=8億7589万円/日になる。最初の初動に対して56.84%まで落ちている。

数字だけで見ると、千と千尋の神隠し超えも可能ではという話になっているようだが、実際にそうなるのかどうかと言われると、作品の特性から考えると、なかなか簡単ではない気がする。

「君の名は。」「アナと雪の女王」でも似たような話は何度かあったが、初動から数週が過去最高というのは実はあまり重要じゃないし、もっと言えばいわゆるテレビアニメや漫画を原作とした続きものという作品で、トップを取るのは簡単ではないからだ。ハリーポッターと賢者の石でも出来なかった。基本的に息長く売れる作品は、メディアミックスされず「映画しかない」唯一無二の作品が多いという特徴がある。

ここで大事なのは息の長さであり、リピート率がどの程度あるかも影響している。千と千尋の神隠しは、実は今年の夏の再上映でも、劇場で見ている人が多いほど、作品としての評価が高く、リピート率がかなり高かったとされる。(これは当時の興収には含まれない)

そこを超えるのが、漫画や小説、テレビ作品の続編などでは難しい傾向にある。どうしても、先にその作品の前提となる作品を見ておかないといけないからだ。

ちなみに、今年は千と千尋の神隠し超えをし易い年である。理由は、他の有力作品(主に洋画)の配給が停止しているからだ。邦画でも、ミニシアター系など一部を除くと、まだ上映が停滞している作品があるほど、上映予定が立たない作品がある。やっと、最近になって上映を始めることが決まった作品も多い。

まあ、逆に厳しい一面もある。それは、SARS-CoV-2/COVID-19の感染が再拡大すれば、上映は止まる可能性があるという点だ。それが、起きれば興収の増加は止まるだろう。そういう中にあるため、ヒットが一つに偏りやすいというのはあると言える。


尚、2001年上映の千と千尋の神隠しは今とは全く違う時期の上映である。実は、日本でヒット映画の記録を更新していた時代の上映作品であり、映画そのものが多様に売れていた時代の競争を勝ち抜いた作品の一つだからだ。

2001年は実はヒット作が多かった。具体的にはハリーポッターと賢者の石が同年冬に上映され、170億以上(翌年の3月末には198~199億円)の興収を獲得している(当時国内興収記録3位になった。これはアナ雪が公開されるまで3位だった)し、千と千尋の神隠しと同じ夏場にはスピルバーグ監督のA.Iが上映され100億間近までヒットした。さらにディズニーの歴史的駄作となったパール・ハーバーがCM効果で千と千尋の神隠しとほぼ同じ時期に上映され、国内で68億円の興行収入(初動はそれなりに良かった)を得ている。

即ち、2001年はメガヒット作品が3作品あり、注目度の高い作品を含めて4作がそれなりの興収を得ていたわけだ。

既に時代背景が20年近くたって違うが、その間超えられなかったことの方がある意味、おかしいともいえるのかもしれない。


そして、やっと今年超えられるとして、それが他にヒット作の上映が無い中で更新されるとしたら、それはそれだけ今年が一作品に頼らざる終えない状況にあるという意味でもある。

まあ、以下はNew York times紙の鬼滅の刃に関する記事だが、先週日本の各紙でもNYTが世界最高の興収を上げたと書いたという形で記事にした原文だ。

これは、日本では感染があまり拡大しておらず、映画館や世間の感染対策が徹底していることなどを紹介する記事になると同時に、世界で映画の上映が殆ど停止していることに対して、日本のこの映画はそれを出し抜いて世界興収No1になったということを書いている。

即ちこれは、今までとは違う意味のヒットであるとも言え、それが長く続くのか?他に波及するのかどうかも含めて、世界から期待されている作品とも言えるだろう。

<映画界として喜ぶのはこれが他作品の劇場鑑賞の呼び水になること>

尚、テレビや雑誌、新聞などはこれがヒットすることが成功と見ているが、実際に映画を扱う事業者として考えて居るのは、鬼滅の刃だけが大ヒットすることよりも、別に鬼滅の刃が国内最大の興収記録を超えなくても良いから、他の映画も売れてくれることを望んでいるはずだ。

それらが売れてくれないと、このブームが去れば、再び映画館は閑古鳥が鳴くようになるだろうし、作品数は増えていかないからだ。
個人的には、今こそ他の作品ももっと紹介していくべきだと思うし、それによって他の作品を見に来た人が、この作品も見るという息の長い流れを産むべきだとは思うが……逆に、多様に作品が増えていくと、今度は鬼滅の刃の興収が下がり始める可能性もあるわけで、どっちがこの作品単体にとって良いのかは分からない。

業界からすれば、これが300億を超えて成功した後、火が消えるよりも、この炎は150億や200億300億前で止まっても、他の作品がこれを呼び水に売れ始めてくれることを望んでいるだろう。


ちなみに、ちょっと計算して見ると、ハリーポッターと賢者の石の場合では、2日間で137万9120人、15億7334万円だった。(ちなみに初日はファーストデイで1000円の日だったのに凄い興収を上げたようだ)
8日間で30億円、12日間で50億円超えだった。最終的に年度末に198億ぐらいまで行ったようだ。
映画興収は週末に大きく増えるので、その成績次第であるが、だいたい10~20日目辺りと、30日から60日辺りで動員のペースが大きく変わり、80日~100日で確実に落ち込む。そこで、動員数を維持出来るかでその作品がトップランカーに迫れるかという勝負は決まっていくように見える。実はハリーポッターの初動は千と千尋より良かった。しかし、結果的には千と千尋の神隠しを超えることは無かった。

千と千尋は、7月20日に上映を始めて、8日で30億円超え、13日で50億円、14日で450万人、56億円、20日で660万人80億円超え、31日で1000万人130億円超えと推移した。ここで重要なのは、この作品は、初動も確かに凄かったのだが、それでも期間動員は最高じゃ無かった。実は、初動はスター・ウォーズEP1などの方が上だったはずだ。しかし、そこからずっと息が長く続き、実は9月の1週目ぐらいまで~20億ぐらい興収を稼いでいたようだ。即ち満員御礼の横ばいで1位を取り続けていたのだ。10月になっても2週間で20億の(1週間で10億)稼いでいたのだ。同じ週数で既にハリーポッターは4~6億ぐらいだったはずなので恐ろしい。
11月まで1位を維持し、その後も2001年一杯は10位内にいた。

年を跨いだ後に、1度圏外になったあと、再び海外で賞を取り返り4位まで帰り咲くというウルトラCを成して、年度末の3月31日までに300億円の興収を達成した。この作品は、リピート率の高さと、家族連れ(小さな子連れ)などの客が極端に多かったことも影響しているようだ。これに近いのは、アナ雪や君の名は。天気の子のような作品がそれに近いと言える。

果たしてこのように息が長くなるかが重要だ。そうなって千と千尋が、ハリーポッターに繋いだように、なれば完璧だが……今は、これ一作で映画館が成り立っているのため、なかなか困難かもしれない。




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