米インテル、7ナノ技術開発が6カ月遅延 外部生産委託拡大も …… 本当にピンチだよ。

ロイターの昨日の記事である。Jim Kellerが外部に委託すべきと宣言していたという噂があったが、それが確実になりそうだ。



<半年遅れると他社の差は1.5世代以上離れる>

元々、Intelの7nmは2021年末~2022年の第1四半期中にスタートするはずだった。
しかし、半年遅れると2022年の第2四半期~第3四半期まで遅れることになる。

この時間の差はかなり致命的である。現在TMSCのlithographyロードマップで見ると、5~6nm EUVがスタートしたばかりだが、来年3-4nmに移行する予定であり、2022年にはその移行が完了する見込みである。ただ、Intelのそれよりは少し雑である。

Intelで言う7nmは概ね他社のEUVでの7nm~5nm前後に該当する。Intelで言う5~6nmは他社の3nm~4nm相当になると推定されている(まだIntelで開発が進んでいるかどうかは分からない)。ここから考えると、TMSCやSamsungがもし来年3nmまで到達すれば、Intelは最悪1.5~2世代遅れることになる。

冗談抜きでIntelの売りだった自社Fabがお荷物になってきていると言うわけだ。


<Fabの分社も本格的に進行するか?それとも……>

もう1年以上前の記事だが以下の記事のようになるかも知れない。

IntelはFab事業を内部でひとまとめに組織改編している。そのため、芽が出る予定がないなら、半導体製造を今後Intelから分離し、分社(スピンアウト)独立させるという流れは有り得る。原因がFabにあるのならば、それを選んで半導体事業より設計に専念した方が良いからだ。


しかし、半導体設計上の無理があるならば、外注も難しくなる。14nmや10nmでの外注が、主にチップセットだけだったのは、そういうIntelプロセッサーが目指してきたスケーリングに対して、他社の技術が向いていないからという可能性が有り得る。(ハイパースケーリングの弊害ということ)

逆に言えば、Intelが10nmのAlder LakeでAVX-512Fなどを捨てると噂されているのが、そこを取り払うためだったのかも知れないと考えれば、ある程度外注できる製品を目指して、設計をし直したとも考えられる。そのためのJim Kellerだったのかもしれない。

まあ、7nmが6ヶ月の遅延で済むならまだ何とかなるだろうが、本当に6ヶ月で終わるのかは解らない。

そもそも、当初のIntelの目標だと2016年に10nmがはじまり、2017年に10nm+、2018年に7nm、2019年に7nm+、2020年にそれより高度なプロセス(5nm)となるはずだった。それを数値上守ったのはIBM系のプロセス技術を使ったSamsungとTMSCであり、Intelではなかった。

ちなみに、今Intelがいるのは14nmQPとハイパースケーリングを諦めた10nmである。まだ、当初の予定で言えば、2016年にいるのだ。10nmは概ね3年~4年遅延しても目標には届いておらず、来年やっと全部入れ替えが終わるかどうかである。即ち遅れに遅れて5年掛かる見込みなのだ。最初は半年とか1年遅れるというだけで始まったそれが、5年……7nmが登場半年前に1年延期になっても何ら不思議はない。

即ちそれ以上遅れる可能性も考慮して、やっとアウトソーシング(外部委託)をという話をCPUでも出来るぐらいまで、技術の見直し終わったという見方も出来る。

ここから考えるIntelの未来は、想像以上に険しい恐れがある。元々Intelは自社Fabが最先端だから、独自の技術を徹底して組込むことで他社より優れた性能を発揮してきたからだ。しかし、外部委託のための開発を見直した可能性があるなら、一旦性能をある程度抑える調整が必要となっているはずだ。しかし、AMDが台頭したことで設計上の停滞はしていたものの、クロック周波数やコア数は増やし続けて何とか帳尻を合わせてきたのが今のIntelだ。

これを、どこかで他社と同じレベルに合わせることになる。すると、アドバンテージは消えていくだろう。即ち、Intelを選ぶ理由が無くなるわけだ。

そこで、考えるべきは外注と内製の役割を使い分けることかもしれない。
例えば、7nmが半年遅れるだけで済むなら、それを使って他社にはない技術を搭載したEX/EP系(enthusiastやserver向け)を出すという方法を取る可能性はある。クロックが低くてもSP(scalable)ならAVX-512対応でコア数さえあれば、価値があるかもしれない。

今はまだ、そういう選択肢で動いている可能性もある。それが今最後のファウンドリー分離しない逃げ道になっているのかもしれない。

<残された時間はギリギリ>

ただ、どちらにしてもこれ以上遅延が何度も発表されるなら、それも捨てざる終えなくなる日が来るだろう。何せ、10nmは今のところ殆ど丸損しており、熟れた14nmが膨大な利益を上げているに過ぎないからだ。10nmの成果が来年には絶対に問われるため、それが悪ければどこかで、業績が悪化する可能性がある。

何故、10nmが必要かとういと、他社との競争をする上で、大量のトランジスタを1つのプロセッサーに乗せるには、回路幅を縮めることが必要だからだ。それをやらないと、半導体が大きくなる分、1つのシリコンウェハから取れるプロセッサーが減少し価格が上がったり、電力消費が増えてしまう。だから、他社と競争している以上もう14nmに残り続ける選択肢は残っていないのである。

だから、来年のどこかでGolden Coveと呼ばれる製品群に移行し、10nm化するのだ。その時にもし、性能が低く評価が悪いなんてことになると、
7nmが半年遅れているだけでも、Intelに対する評価は激烈に落ちる事が予想される。その場合、資金確保のために事業分社を進めることも有り得る。

来年以降コロナの影響もどのように出てくるかわからない中で、ここ数年は好業績であっても、Intelには既に失敗が容認されるほど残されている時間がある訳では無い。内情は過去最悪であると思われる。

どうにか打開策を見つけて欲しいが、だからといって、今のプロセッサーを積極的に買ってあげようと言う人はきっと少ないだろう。あくまで、選んだ製品がIntelだったであり、積極的に選ばれるのは既にAMDだ。

それがIntelの今のポジショニングになっているわけで、本当に残された時間の少なさを物語る。
今の業績は決して悪くない中で……もし、来年以降の業績に影響が出てくれば、そういうことになるだろう。さあ、どのような結果になるか、それは2年後、3年後に分かるだろう。でかい会社は、1度落ち込みに入ると、赤字が急に生まれて止まらなくなることもある。そうなる前に、打開して欲しいものだ。






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