岡山市で結核集団感染 60代女性と同居家族、勤務先関係者計6人 …… 毎年集団感染は起きているのに……過度に怖がらせてはいけない。

毎日新聞社の記事であるが、今は感染症と言うだけで、結構ニュースになるんだということと、これじゃ厚労省の周知に対して本末転倒だなという印象だけが残る。酷い物だ。

これ今の時期扱う場合は、速報で発表だけを扱うべきではないだろう。ちゃんと、日常としての感染がどれだけあるかもセットで伝えないと、恐れさせるだけだ。そもそも、結核の集団感染で6人なら極端に多い訳ではない。

日頃は自治体などで記者会見などをするほど出ても、その自治体ぐらいでしかニュースにもしないことも多い。もっと言えば、記者会見もないというケースもある。何故か今は全国で話題になってしまうのが恐ろしい。というより、本来閲覧されることが少ない地方ニュースが人々が沢山みてしまい全国にたまたまなったなら仕方がないが、全国ニュースにするつもりでやっているなら、こういう集団感染が毎年一定数あるのだとちゃんと書かないとダメである。特に、今のコロナの時期は、それでも皆の気が立っていたり、心をすり減らしているのだから、そのぐらい考えて、伝えないと意味がない。

ちなみに、同日に地方版で東大阪でも起きているという内容が出ているが、周囲の検査が終わっていて感染者が広がっていないなら、凄く怖がることでもない。


<結核の集団感染は毎年あるけど、あまり報道されない>

これは、LTBI(latent tuberculosis infection-一般に人に感染させるような症状に至っていない患者のこと。隔離治療が不要な患者で外来投薬などで経過観察する)で終わる人がいたりいろいろあるからだ。これを知らない人に感染者だと伝わると虐めや社会的な差別に苦しむケースも起き得るし……難しいのだ。-コロナでそれが起きたのはつい先日のことだ。

いろいろ理由があって大きな発表をしないケースもあれば、発表されていても、テレビ局や新聞社が、扱わないケースもある。何故なら、基本的には治る病気が事実上広がりを終えたと確認された後に発表されることであり、逼迫した重大な状況にはないからだ。それが止まらず困っているという情報なら、たぶん報道するだろうが……。終熄したあとの事後になると発表しても興味を持つ人は少ない。

だから、厚労省側で纏めて毎年集団感染例については全部かどうかは分からないがデータのPDFを公開しているわけであり、それなりに感染者がいるんだよというホームページも作っているのだが、こういう扱われ方をしてしまうと、また希なように見えて、厚労省の周知を踏みにじる行為になる。

今はコロナの問題もあって早めに伝えるなどしないという、使命感があったのかもしれないし、患者側も伝えなきゃと思うのだろうが、今コロナが広がっているからこそ、この伝え方はいかん。こういうときに限って、補足をせずに怖いように見せる辺り。たぶん記者も結核について、分かっていないままに伝えようとしたのだろう。


国内でも結核は年に万人(この20年だと1.9~2.5万人ぐらいと思われる)単位で感染者が出ている。集団感染もほぼ毎年数件以上ある。乳幼児期にBCG接種をしていても、結核感染することはある。BCGワクチンは、完全に結核菌を排除するものではなく、発症時に重症化を抑えたり、感染者と接触したときに感染発症しにくくするためのものだからだ。これは、コロナワクチンも結果的に同じようなものになるかもしれない。

結核は、ウィルスと違って結核菌という菌であり、ウィルスとは異なり食餌によって成長し、分裂し増える。問題は、こいつは捕食免疫の代表であるマクロファージも内側から食べちゃうことがあるという点にある。(マクロファージが捕食しても、マクロファージ内で殺せずにむしろ、内側から捕食されるケースがある。)
それで、病巣が広がってしまうと、最終的にT細胞がIL(Interleukin)を利用して周囲の免疫細胞を集めて、病巣を攻撃したり、出入りを封じ、結核菌への栄養供給を絶ち、乾酪変性(意図的に壊死)させることで症状の進行と結核菌の増殖を止めるという方法が取られる。これが肺結核が治るまでの経過となる。もしもここで失敗し、循環器系に結核菌が広がっていくと、肺以外での結核へと進行することがある。

尚、病院での治療は、抗菌薬(抗生物質)を使って行われる。治療期間は初期なら短く、症状が進行していると複数の薬を使って半年とか、1年とか、時には手術(病巣の除去など)とかになることもあるだろうが、基本的には、今では日本ではほぼ治る病である。

BCGという予防接種は、この肺結核が起きないように、または起きても早くに見つけて病巣が広がる前に当該菌だけの動きを止めたり、出来るようにするための免疫教育である。その教育を乳幼児期に行えば、6割程度の確立で人に感染するような結核症状は押さえ込むことが出来る。(但し、家族に感染者がいて濃厚接触していると症状は出やすくなる。)

免疫が衰えてくるとT細胞の活動も低下してくるため、結核を発症しやすくなる。だから、高齢者が増えてきた今の時代は、結核も広がりやすいと言えるかも知れない。(実際には今のところ発症者は年率で微減か横ばいのはずだこれは、日本国内の結核発症者が乳児期BCGの接種で減ってきたからである。)

また、海外旅行が増えていくと結核感染も増えやすい地域があるため国内にも入ってきやすいという問題がある。国によってはBCGの接種が少なく、保険制度が不十分で病院に行かない人も多いため、結核菌が生活空間や市中に多い地域もある。
何より、結核は細菌感染症なので、抗菌薬(抗生物質)を最後までちゃんと服用しなければ、耐性菌が出来てしまうことで、治りにくくなるという嫌な要素もあるため、貧国や発展途上国に渡航した後には注意が必要な病気でもある。尚、平成31年3月31日迄の集団感染の事例は厚労省が開示している以下のPDFで分かる。みれば分かるが、報道はそんなにないのに、こんなに起きているのかと驚く人もいるかもしれない。https://www.mhlw.go.jp/content/000581791.pdf即ち、結核は今でも年間万人単位で感染するぐらいの病気であり、普段通りに生活していれば、6000~6300分の1ぐらいの確率であなたが感染する可能性がある。そして、集団感染など毎年当たり前にある。今年がコロナに加えて結核も増えたというような特別な状況であるという話が出ている訳ではない。(もしそうだとしても、集計が出て多いと分かるのは今から1年は後である。)https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201509/3.html医療者のための結核の知識 第5版 - 四元 秀毅
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