PS5にみる物理メディアの終焉 …… 光学メディアなら分かるが……物理メディアがというなら、Google Stadiaかな?

ITmediaの記事である。言わんとしていることは分かるのだが、一つ言えるのはタイトルが物理と書かれているが、光学メディアの間違いだろう。

物理メディアは、SSD内蔵で存在するし、USBによる増設などもサポートされる予定である。即ち、物理メディア廃止はされない。そもそも、物理メディアなしだとOSも含めて全てオンラインベース(Preboot eXecution Environmentなどを使ったネットワークブードベース)になるだろう。それに近いゲーム提供をやっているのは、ソニーでは無く、Google Chrome BrowserをコンソールとしたStadiaのようなサービスである。

因みに、この記事にはいくつか問題があり、1つはUHD BDの速度が128Mbpsとなっている点。
これは誤りで、123Mbps(標準平均速度※)である。

MPEG2-TS Max.のレートが127.9Mbpsであるという根拠なのかも知れないが、全ストリームの合計として最外周でサポートされるのは144Mbpsで内周の最小は92Mbpsである。ちなみに、UHD BDは映像規格であり、チャンネルデータレート1倍速は66Mbps、ユーザーデータレートは35.965Mbpsとなるはずだ。

※最内周の回転平均速度92Mbps~再外周の回転平均速度144Mbpsであるが、これの規程を省き回転速度5000rpm以内で最内周から再外周まで安定して読み取れる仕様として求めている速度が123Mbpsである。基本的に静粛性を損ない始める速度の上限~5000rpm以下を求めるなら、123Mbps以下が好ましい。


それから、次の2行「ゲーム機としてゲームコンソールにはPCとは全く異なるCPUやGPUが使われていた。
最も進化した形はPS3の「CELL Broadband Engine」」

と書かれている点が2つ目だ。
Cell Broadband EngineのCellは大文字では無く頭文字だけ大文字であると同時に、CellはIBM Power ISAであったため、実はプロダクション向けのコンテンツサーバー/ワークステーションとしてソニーがBCU-100などの製品を出している。ちなみに、PS3に採用されていたRSXはnVIDIA Geforce 7800 GTXベースであり、OpenGL2.x、PhysX、CUDAをサポートしていた。CPUも、実は設計中の状況だとこれはAppleのMacと同じPowerISAだった訳で……。発売時点でAppleがMotorolaからIntelに移ったので、一般的なパーソナルコンピュータ系ではなくなったが……。

PS3が狙っていたのは、当初ホームコンピューティング全般(パソコンの役割を一部置き換えるつもり)だったが、当時ゲーム機としての値段は高い割に、不具合がゲーム機としては多く性能チューニングも不味く、とにかく熱い製品で、一部カスタマイズ機能の保守が難しく、ホームコンピューティング方針を撤回することになったというじゃじゃ馬だった。いろいろあって、当時のゲーム機ビジネスではWiiに負けはじめてしまったのも影響している。

だから、今のPCとは違うが、当時既にAppleが撤退していたPowerISA系のPCを置き換える製品を目指した物だったとも言え、詳しいところを知っているとPCとは別物とみるべきかは難しい。今のPCアーキテクチャとは別物ではあるが、カジュアルなPCのようなホームコンピュータを狙ったが、当時のプロセス技術やソフトウェア技術の弱さがあり、狙えずゲーム機止に留まったゲーム機であるというのが正しいだろう。

尚、PSで全くPCとは別物だったのは、PS2である。このときは、オリジナルのMIPSであるEmotion Engineだったし、GPUもオリジナルのGraphics Synthesizerだった。

<ダウンロードが速いというのは間違い>

それからゲーム流通だが、「光ディスクによるゲームコンテンツの流通は破綻している」というのは言い過ぎだ。確かに、任天堂が既にメモリーカードとダウンロードに主軸を移しているので、どうぶつの森など光ディスクではないが、パッケージ流通が全く無くなっているわけでは無い。パッケージ版なら店頭やオークションで売却も出来るコンテンツが多いため、パッケージでという人も未だ日本に限らず多い。映像コンテンツなどに比べるとパッケージ流通が未だゲームでは多いのだ。

また、「インストールし、大量のダウンロードとアップデートを行う」というのは、そもそもダウンロード版でも同じだ。ダウンロード版のインストールはゲームソフトウェア本体を通信回線からダウンロードし、それを解凍しシステムに登録する(インストール)わけで、自宅の回線速度が遅ければ100Mbpsも速度が出ないという家も結構ある。ちなみに、初代PS4の光学ドライブの読取り速度はBDで最大6倍速で最大215.79Mbps(26.97MByte/秒)であり、データディスクを等倍の速度で読むことはゲーム機の内蔵ディスクにインストールするのであれば殆どないはずだ。
この速度は1Gbpsの回線でもサーバーの環境によっては出ない事があるぐらい高速な速度である。そのため、回線が弱い家ではパッケージメディアを使った方が未だに早いというケースもあるわけだ。

さらに、内蔵ストレージの容量が825GB SSDであることを考えると、ゲームを沢山持つ人は増設などもするかも知れないが、パッケージも買うだろう。結局ストレージ内のデータが消えたときを心配するからだ。これは、何度も視聴するコンテンツはパッケージを買いたいとかそういう発想と同じだ。
だから、まだ国内外でも結構売れている。


ちなみに、ソニーがDigital Editionを発表した最大の理由は、ライバルのxboxがAll Digital Editionを既にXbox One Sから投入していることが理由だろう。日本は特に陰が薄いので、xboxでこれが出ていることも知らない人が多いが、それが影響している訳だ。それを見て「UHD BDも思った程売れないし、だから搭載してもPS2時代のDVDプレーヤーのような魅力にはならない」それならば、なしの方が安く買いたい人をさらに取り込みにいけるかなと思っただけだと思われる。

<パッケージ販売は今後もまだ暫くは残るだろう>

光学メディアが終わる可能性はあるが、販売するための媒体としてディスク(Disk)がシリコンフラッシュメディアも含めて、無くなるかというと難しいところだ。若い世代になれば、特にカジュアルユーザーだとそれで良しという人が増えているので、10年単位で考えるとパッケージ販売は減って行くのだろうが、ヘビーユーザーはストレージの容量やコンテンツの配信期間などの都合も心配しているはずだ。だから、その先に、最も使う消費者が望んだ利便性があるのかという目線で見るとこのオンライン以外の外部媒体なしという製品に全て移行するのは難しいのだ。

実際には、セールなどもあまり行われることなく、値段ばかりが高いコンテンツが増え、手元に残らないコンテンツをその時だけ楽しむという流れが増加するようなことをゲーマーが望むのか、といった要素まで絡むだろうし……。それが分かるのはPS6が出るまでにどちらが売れるのかにかかっている。

即ち、ゲームコンソールがスマホのようになっていくことを望むのかどうかだ。

纏めると、物理メディアをゲーム機が失うことはまずない。ストレージとしての物理メディアは筐体内にSSDやHDDで必要だからだ。今回のPS5ではxboxの次世代機と同様内部増設(または交換も出来るのかな?)も出来る見込みだとされている。即ち物理メディアはこれからも筐体内や外付けでサポートされるだろう。もちろん、Stadiaと似たようなサービスもマ社のAzureベースで開発中である。

コンテンツのパッケージ販売も終焉するにはまだ今それが見える時期にはないと見て良い。

あくまでこれは、多様なユーザー(特にライトなユーザー)が安くコンソールを使うために光学ディスクレスでお安い製品も出てきたと言える。これとは別にフルネットワークベースに向けたコンテンツ開発も進めている。しかし、完全にダウンロードなどネットに媒体を移行するつもりがあるのかと言われると、今のところPS5 DEがそれを決めて進んでいるとは言い難いだろう。これが最後の光学ドライブになる可能性は否定できないが、その場合でも次の製品ではフラッシュメモリーデバイス辺りでSDカードのような大きさのメモリーカードを記録媒体に使う可能性の方が高そうだ。


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