アビガン有効性示せず、新型コロナ治療の臨床研究で-報道…… ファビピラビルは緩和薬か、それとも……。難しい薬の発掘。治験薬一覧。

共同通信社とブルームバーグの記事である。先月末ぐらいから怪しいなとは思っていたが、やはりかという印象だ。しかし、日本のSNSは行政の失態のように捉えて荒れている人もいるようだ。


これは、実のところ日本以外でも出ており、欧州の一部地域などでも効果がないか極めて限定的という話が4月の終わり頃に出ていた。日本では、僅かしか報道されていないため、今回の話が降って沸いたようになり、厚労省や政府を批難する人もいるがちゃんと記事を読めば分かるが、これは中間報告であって今後も臨床は行われる。早期、認証を拒んでいるとかそういう話で見てはいけない。日本だけ(どこかの国だけ)のニュースを見ているときっとそうなるのだろうが……。

そもそも、報道がおかしいというなら、ちゃんと一次情報や世界の情報を様々なところから探して、分析しないと真相は分からないだろう。これは、どの国でも既に問題になるほど、かなり難しい話だ。何をフェイク(嘘)とするかも、人に違うのも影響している。

そもそも、この薬の効果が出たとした中国は3月までのデータを元に報告してる。
この時期は季節性インフルエンザが広がるシーズンであり、タイでオセルタミビル(タミフル)が効果があったのと同じ現象で、合併症としてインフルエンザを併発している人に効果があった可能性も否定できない。シーズンによって、本来重症化しない人の体力が他の病気で弱った段階で、もう一つ感染症に感染し重症化している場合には、こういうケースに至ることがあるので緩和薬の研究は時間が掛かるわけだ。

尚、現在世界で試験中及び緊急承認された薬または一旦試験が中止された薬は以下である。(画像は2回クリックすると現画像になる)

他にも多数の緩和薬(症状の悪化を直接抑えたり、治療期間を短くするための薬)と補助薬(治療そのものをする薬ではなく合併症を抑えたり、効果を高めたりするための薬)があるが、以下は代表的なものである。尚、標的薬(確実にウィルスを不活化排除する)またはそれに相当するものはこのうち2件(血液血漿由来)のみである。

COVID19_clinicaltrialdrug.png

上記を見れば分かるだろうが、元々の目的薬に対して別の役割に使う以上、効果は安定しない傾向にある。どの薬も一長一短があり、副作用があるのだ。

その中で、日本でも話題になったレムデシビルが何故重症患者向けに有効として使われることになったかというと、この薬がプロドラッグで静注(主に静脈などに注射)して使う薬だからだ(飲用は出来ない)。それに加えて、政治的な配慮もたぶん中国も米国も、その他の国も間違いなくあったと思われる。じゃなければ、早期承認と早くから効果なしと言われることはなかったと思われる。

一応、日本や米国で早期に承認された理由を書くと、これは注射薬だからだ。注射だと何故通るのかというと、息も絶え絶えで、もう何も飲めない食べられない状態の人が、錠剤や細粒の薬をゴックンと飲み込めるのか考えると良いだろう。

だから、重症患者向けでの承認なのだ。ただ、効果が強い薬は副作用も強い。結果、効果より先に副作用でより悪化することもある。この薬では急速緩和している人もいて、効果が無い人もいるようだ。そのことから、効果がないとする意見と、あるとする意見が国によっても患者によっても割れたようだ。本来は、もっと長い時間調べてどういうケースで効果があり、ないのかをもっと評価するのが好ましいが、中国と米国では今対立が激化しており、中国では中止、米国ではEUA(Emergency Use Authorization)の要件を満たして使うなら、ありとして承認する形になった。日本や欧州は米国のスタンスで承認方向に動いた。

世界の人々を犠牲にして政治家の権力争いに、これが使われているという現実がここにあり、これを見て人々の一部は尖鋭化してしまっている。もっと、冷静に考えて欲しいと思う。

アビガン(ファビピラビル)は、錠剤であり他にも有力な候補薬がある中での1つに過ぎない。しかも、日本が有力な候補として売り込む薬だ。だから、慎重に調査が行われている。本当はこれが正しい。もう効果がないと棄てたわけではない。あくまで、今のところ期待ほどの効果が見られないので、という話だ。効果がまだ見られず、他に効果のある薬があるなら、無理に承認はしない方がよい。今の治験レベルでも、患者が求め医者が処方承認するなら投薬は出来るからだ。

まあ、アビガンは中程度以上の患者では効果が見られないことが多いと中国でも示されていた。そのため、冬季に広がる季節性インフルエンザの影響があった可能性は否定できないだろう。緊急で効果を試した薬というのは、こういう事がどうしても出てくるものだ。

今後そのあたりも分かってくるだろう。

尚、日本では報道そのものが治療薬として全て報道してしまうため、まるで特効薬(標的薬)と同じ薬であるかのように考える人が多いが、回復血漿製剤を除いて、標的薬相当の薬は今のところ存在しない。その回復血漿も血液汚染がある回復血漿を使えば、別の病気に罹る恐れがあったり、低い確率だがショックなどを起こすケースもある。何より、回復血漿は回復した患者から取るしかないため、量産は出来ない。これをゲノム合成する研究も行われているが、まだラボ(実験室)の実験段階である。

では、世間でいう治療薬とは何かというと、上記の図にも書いているが、緩和薬と補助薬である。症状を緩和したり、合併症状を抑えて重症化を抑える手伝いをする薬をいう。これらの薬は、風邪薬でお馴染みの総合感冒薬と似ている。そして、総合感冒薬が、熱や鼻水、咳などを抑える複数の有効成分で出来ているように緩和薬は1つの薬を使ったから効果が必ず出るとは限らない。

これで分かると思うが、ファビピラビルは単独では効かないとしても、別の薬と併用すると凄い効果を発揮する可能性もある。それが、中国などで示された効果かもしれない。実際に、シクレソニド(日本の製品名はオルベスコ)は、その効果がヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラケニル)と組み合わせると上がることが韓国などで報告されている。しかし、日本ではシクレソニドだけが効果があると報道しているケースが多い。確かに、それでも効果が見られるようだというWHOの報告もあるが、実際に意味を持つのは、併用することでより高まるという話の方だ。

これは、ロピナビル・リトナビル配合薬(カトレラ配合錠)の今を見れば分かる。これ、4月の終わりには既にオセルタミビルとの組み合わせが効果なしとなったが、5月には、インターフェロンβ(INF-B)と組み合わせると安定した効果があるようだという情報も出てきている。実際にそれが最終候補として残るかは今後も分からないが、こうやって組み合わせ調査が進む中で、より高い効果が得られて副作用が少ない(補助薬が打ち消すものを含む)ものが、残っていく。

これが緩和薬、補助薬だ。そして、本来はそういう視点でこれらの薬を見るべきなのだ。だが、日本はもちろん世界も報道と政治がそれをちゃんと行えていない。一部の専門家も、治療薬という言葉ばかりに踊っており、下までそれが広がらないのだ。結果的に、何故承認しないだけが一人歩きする。あくまで、効果があると分かったなら速やかに承認すべきで、そうじゃないなら承認するのは不可能という原点に返らなければいけないが、それが結局政治などと組み合わせて下手に報道するため、陰謀的な発想や感情に左右されてしまう。これを影響を受けるのは現場だ。


<政権や政治、行政批判に結びつけず、
          薬を処方し治療する人のことを考えて欲しい>

コロナワクチンのmRNA-1273の記事でも書いたが、社会は今、医療や人を助けるとか、経済の情勢や現場の状況をちゃんと全てを総括して、一元化し、中長期的にそれが好ましいかを判断する報道も、政治も行われていない。全てはお金や票稼ぎだったり、自分の地位が短期的に落ちないための支持率稼ぎや、金稼ぎになる。
基本的に、悪者を探して、その悪い者を潰せば良くなるぐらいの発想だ。実際に叩かねばならない悪者もいるだろうが、それを毎回使って、民衆を揺動し、現場や社会で実際にその対応をしている人々を混乱させるのだけは、止めて欲しいと思う。

ちゃんと、それを調べて結果として効果が薄いという報告が出ることを、民衆が納得出来るように先に報道を進めてくれないと、本質を知らない民衆の方が正しい結果に対して、おかしいと言い出すことも増えるからだ。医療でこれをやると、本当に経済も社会も壊れ、亡くなる必要が無い人がなくなるリスクが高まることを忘れてはいけない。

これは、医療現場に限らないことだが、結局こういうことを十分に理解しようとしない人々が、好き勝手に話を膨らませて、本質を探らないから、現場はその身勝手な解釈に踊らされ、その対応に流され疲弊していく。そもそも、効かない薬を患者に投与して、亡くなられたらあなたがもし医者ならどう思うか考えて欲しい。患者は効くと思っていて、飲んで亡くなるなんて不幸以外の何者でも無く、助けたいと思っていたなら無力感に呵まれるだろう。しかし、今の現状が広がればそれもまかり通るかもしれない。

政治や報道が一部の専門家を徴用し、さらにそれによく分かっていない世論を巻き込んで、燃え上がらせその燃えた炎を使って、現場を変えようとするのだから……。これは、医療だけじゃないが、医療でやれば、人を大量に殺める恐れもある。


まあ、結局のところ、一部の専門家のコメント頼り過ぎなのだ。だから、多くの人は過去に読んだ、または見たそれを元に、今の医療情報を仕入れずに、固執するようになる。この情報も、明日には内容が変わるかもしれない情報だ。それぐらい、この病気の対応は日々変化していることを忘れてはいけない。そして、だからこそクラスター(海外ではクラスター発生とか言わない、アウトブレイクだけである)とかどうでも良い語を入れることより、日本語としての治療薬に補助薬、緩和薬、標的薬といった薬があることをちゃんと分けて語ることが大事だということでもある。

薬も医療も、誰にでも効果があるないではなく、結果的に治るための一助になるかならないかなのは間違いない。
だから、昔からいう話だが、プラシーボのただの水でも治ると信じれば治ることはある。ただ、副作用のある薬や、治ることが確定しているような患者で、その薬の効果がないのに欲しがるようになっては本末転倒だ。医療を本業にしない人々は、そういう実際に医療をする人が求める信憑性との兼ね合いも加味する必要があり、本当はそれを世界の報道現場の人が、ちゃんと理解し、この先の治験がどう進んでいくかを考え、一方の理想郷に偏らず丁寧に流して欲しいと思う。


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