米モデルナの新型コロナワクチンmRNA-1273、初期治験で有望な結果…… Moderna原文リンクあり……テスト概要、副反応状況。

ロイター通信の記事である。日経など国内各社も書いている。


記事の内容が機械翻訳っぽいのだが、大丈夫なんだろうか?これ正確にはコロナ患者8人ではなく最初の被験者(治験者)8人の抗原反応が回復者の抗原反応と同等になったという記事であり、コロナに感染していたわけではない。私の見立てがおかしくなければ、ワクチンを接種した人が、感染者だったという記述は原文にもないはずだ。いや、基本的に感染者にワクチンを使ってはいけない。重症化する恐れもあるし、ワクチンによって抗原反応する抗体が作られたのか、予め感染していたから抗体が出来たのか分からなくなるからだ。(7時30分時点のロイター記事に基づく、じきに修正されると思う)


尚当該のワクチンは、mRNA-1273と呼ばれるもので、2020年1月13日にSARS-CoV-2のゲノムデータからモデルパターン(スパイク)の形状を抽出した抗原タンパク型のワクチンである。その後2月7日までに最初のバイアル(小瓶)が製造されたようだ。これで、マウス投与実験などが行われ、3月16日に第一次試験の概要が発表され、3月16日~3月27日にその登録(被験者登録と投与)が開始された。投与されたのは18歳~55歳までの45人である。

この結果は、暫定(中間報告)であって最終報告ではない。その報告の内容(全文)は以下である。これは、Moderna Incのプレスルーム(報道発表)の原文リンクである。

ここで投与されたアンプルは、25μg、100μgと、250μgの3種類のワクチンアンプルである。
少量接種では25μgと100μgの2回行われているようで、100μgの2回目に紅斑が生じた患者がいたようだ。
また、250μg(これは1回接種と思われる)の接種では3名ほど全身症状が出た患者がいるという。
いずれの場合においても感染して回復して行く患者と同等の回復免疫のプロセスが確認されているようだ。

そのため、今後の試験(既に行われている第2回は間に合わないと思われるので第3回の試験)では50μgでの試験を追加し、1回接種だろうが2回接種であろうと100μg以下にするようだ。これから見て分かると思うが、この試験の重要な点は、副反応の閾値を見つけるためのものであったと言える。


尚、現在試験は第二段階(4月の中盤から米国内で募集)に入っており、より広い範囲で例えば高齢者などにも投与試験が行われている。
これは、米国内600人規模で行われ、300人(n=300)の18歳~55歳までの人と、55歳以上の高齢者300人(n=300)で行われる。接種は、28日間隔で2回行われ、その後12ヶ月間経過観察される。以下が原文である。

これまでのmRNA-1273に対する開発や資金進捗などは以下で確認できる。


<今後の予定>

今後の予定だが、この1次試験の状況を見る限り、特段の問題が2次試験などの中間報告でなければ、秋までにはU.S FDAにおいて、限定承認(Emergency Use Authorization/EUA)が行われると思われる。尚、この段階では一般への投与は出来ないだろう。EUAで承認されるのは、主に医療従事関係者となる見込みで、これをModerna Inc自身が目指しているからだ※。

※尚、トランプ氏がすっ飛ばして範囲を広げる可能性は否定できないが、Moderna Incがそれを求めている訳では無いだろう。トランプ氏はもし重篤な問題があれば、自分の責任は認めないタイプなのは明確だからだ。まあ、すっ飛ばし承認されても、Moderna Incが拒否することは難しいので、そうなったときは副反応がないことを祈るしかない。

ここで、限定承認されて、医療従事者に投与され効果があり、副反応も少ないなら、別の患者との病棟区分けは必要かも知れないが、防護措置や隔離緩和(隔離病棟を使う必要がなくなるということ)が行われると推定される訳で、かなり医療受持者の負担は減り、楽になると推定される。

では、一般承認はいつになるかというと、それは二次、三次の最終結果に基づくと思われる。
上記の2次試験と今後7月に行われる3次試験から、本格的な効果効能の試験となる。ここで大事なのはこのワクチンがどれほど、感染に対して効果をもたらすかである。発症しないとか、重症化しないという人がどれだけいるか、また、どれほどの期間このワクチンは守ってくれるのか?という点だ。

1年以上このワクチンが効果を持つなら、本当に効果があると証明される。しかし、もしもこの冬にでもこの接種者の中から感染者が出るなら、ワクチンの有効期間が短かったり、年齢によっては十分な効果が得られない、またはワクチンによる免疫取得期間が短い可能性などが出てくることになる。また、広範テストによって軽い副反応や重篤な副反応が、出る可能性もまだある。そういうところを、これから調べて、最短で来年の春、一般推定で来年の夏から秋には、正式な認可(Admission)へと移行することになる。

尚、上記の試験が何らかの理由で危険と判断された場合は、1年以上延びる可能性もあるが、現状を考えるとたぶんEUAは取れるはずで、後は容量をどれほどにすれば、効果期間がどれほどになるかだけだと思われる。そのため、2021年の秋頃までには、概ね(さらに広い範囲でのEUAまたはclinical trial以上での一般)承認は相当な問題が今後見つからない限りなされるだろう。そこまでに量産体制やライセンス体制を確立してどれだけ作られるかが勝負となる。


ちなみに、これは米国の話であり、日本の話ではない。

米国は1月11日に中国によってゲノムがWebで共有された状態になってから、2日で抗原タンパク(スパイク)を模したmRNA-1273の基本モデルを作っている訳で、日本とは比べものにならないスピード感があることが分かる。

日本は、投資という観点でいつまでに作れるかもみたいな話が先行するが……。その間に米国では裏で既に、この準備が完了していたわけだ。日本はその間、お金を集める活動が先に繰り返されたり、自治体と仲良しごっこしたりで楽しそうな空間が演出された。(ちなみに、日本だけじゃなく他の国でもこういう国は見られた)

米国はU.S FDAや感染研(米国のアレルギー感染症研究所)の動きも一貫しており、それ故に投資家(個人というよりはこの会社の上にいる実業家や企業)の行動もスッキリとしている。言葉より結果で示すための予算(投資、出資者)を拾ってくる辺りは流石と言える。

一応日本の場合は以下である。もし、これが事実ならかなりタイト(tight/差し迫った、短期間)な日程が組まれることになる。米国と違って短期間で広範のテストをするつもりのようだ。米国が半年~1.5年掛けて段階的に行うつもりのことを、これで本当に大丈夫かと?正気を疑うこと短時間な6ヶ月未満で行うつもりのようだ。合理性がない点で、この国は場当たり的に動き中国とあまりやっていることは変わらなくなっているような気がする。

こちらの場合は、もし上記の記事通りなら、上手く行けば米国どころか世界を出し抜くのに成功するのだが、失敗すれば冬にCOVID-19/SARS-CoV-2の猛威と、ワクチンの副反応のダブルパンチも有り得る。一か八かになるかもしれない。この辺りが、日本にはそういう長い視点で統括できる人がおらず、縦割り、横割りのどっちかで本当に狭い専門家(医療で働く治療の専門家、感染症の研究をする専門家、ワクチン開発をする専門家、公衆衛生の専門家、お金を出す実業家と個人投資家、支持率が欲しい政治屋などなどの”個別”の思惑)だけで動いていることが見て取れる。

本来は、米国のそれのように、小規模テスト、中規模、医療関係者などと範囲を拡大していくのが普通だ。記事書きも、年内20万人に打って、もし副反応や想定外の長期重症患者が多量に出たら、別の意味で病院がパンクする恐れもあることを理解すべきだ。確かに数字で目標にするのは良いが、数よりも効果の有無と、副反応のリスクをちゃんと加味していけるのかの方が大事である。

この辺り(数字ばかりで物事を見る点)が、日本の危うさでもあると私は思う。記事を書く人も、これが医療行為という命に関わるものであることをもっと自覚し、危機を煽ったり、投資するのに良いとか、年内の目標が凄いとかそういうレベルでの軽い判断ではなく、中長期的に見て合理性があるか、社会に本当に適した判断材料なのかを、見極めて記事を書くようにしなければ、日本人の目は腐っていくだろう。

これは、メーカー側もそうだ。本来は、表に向かって今薬を作っているとか情報を自分から出す必要など無い。モノが本当にテストされる直前になってから情報を出した方が、評価は上がる。それまでは、一生懸命に開発や研究をした方が確実に他と差別化出来、出し抜く(一歩抜きん出る)ことも出来るだろう。






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