Surface Pro Xの国内レビュー始まる …… 海外レビューでの評価は値段とアプリの問題で……

PC Watchの記事でSurface Pro Xのレビューが書かれていた。前後編で書かれるようで、今回は前編、次回が後編になるようだ。


ちなみに、一足早く海外ではレビューが行われていたが、まあ、Armであることを知っていて、これまでのRTなどの問題を理解している人と、基本がWeb作業や、Microsoft Office程度に留まるなら、良いんじゃないかな~、お金があればね!ぐらいの評価である。★4つとか付いていても、元々の期待値が低い傾向があってその頃よりは格段に良くなったぐらいで見ているようだ。まあ、メーカーから貸し出されたものでレビューするので、あまり悪い評価が出来ないという都合もあるのかもしれない。


尚、利点はバッテリーの持ちが良く、薄く、ファンレスでその割にサクサク動くことが挙げられる。これは、Atom x7-Z8750以来、Intelが対抗するプロセッサーを出していないことも影響している。(実際には車載用や産業用のCシリーズを使うことも出来るが低調に留まっている)
また、LTEモデム内蔵で、GNSSなども統合していることもこれの強みであり、GPUもIntelのそれを遙かに凌駕している。但し書きは後述する。

そのため、Armで動くアプリケーションを使う目的なら、これはかなり高い評価が得られると考えられる。

じゃあ、欠点はというとx64(x86-64)アプリケーションは動かない。どう頑張っても動かない。という点だ。エミュレーターを載せているのでx86アプリは動くと書かれているが、それはあくまで32bitで動作するアプリケーションだ。例えば、TMPEGEnc Video Mastering Works 7やTMPEGnc Authoring Works 6のような64bit(x86-64専用)のソフトウェアはインストールすることは出来ない。こういったアプリケーションソフトは、今や世の中に沢山ある。

また、ベンチマークソフトのようなものだとx86(32bit)ベースでも動かない物(エラーとなるもの)がある。対コードを用いずに直接CPUやGPUにALU/FPU実行を促すケースがあるからだ。

この点が解消される予定は未来永劫ないだろう。理由は、MicrosoftとIntel及びAMD(x86-64の基礎設計の多くはAMDが持っているはず)の間でのエミュレーター開発許諾がないからだ。
その結果、例えばゲーム一つを取っても、Arm版に開発されているUWPアプリや古いx86ベースのアプリを除けば、動かない物も多い。即ち、GPUなどの性能が高くても、それを生かすソフトウェアが今はまだ少ないという状態が、かれこれ数年続いている訳だ。だから、他社がArm版Windowsモデルをあまり投入しなくなったわけだ。

もう一つは、x86処理では性能のトレードオフがあるという点だ。端的に言えば遅いのだ。
海外レビューの記事ではMicrosoft EdgeのArm版でさえも、レビュー段階ではIntelやAMDのこのクラスに相当するPCで処理するより、遅いという評価もあったほどだ。何故かというと、x86版だとバイナリー変換を行う分、処理ステップが増える分、メモリー消費と遅延が発生するからだ。Arm版でも速度が期待値より下がるのは、コンパイラの能力をArmに最適化することが十分に出来ていないからだろう。これらは、対応したアプリケーションソフトが増え、開発者が増えていかないとフィードバックも集まらないため、現状のマ社とQualcommだけが奮闘するだけでは、殆ど孤立無援と同じ状況が続く。
そこが、Arm版Windows、いやRT時代、いや、Windows MobileやCE時代から、ずっーと課題である。この問題はうん十年のスパンだ。

一歩ずつ着実に進んではいるが、Windows自体が後退しているような気がするので、これに投資するならx86やx64版のWindowsの保守(アップデートの品質劣化)とか何とかしてくれよと私は思うが……。


この辺りまで評価されると結果的に出てくるのが、値段の問題である。はっきり言えば高いのだ。
これなら、初期投資が2倍以上するはずのフォルダブルフォンのGalaxy Foldの方が使えるんじゃないってぐらいに……。米国では999ドルで、Galaxy Foldは2000ドルを超えるが、それでも実用的なのはFoldの方だろうと思われる。一番大きいのは対応アプリが少ないことであり、その問題に対する解消の目処は今のところ立っていない。

マイクロソフト社は必至に開発する人を支援しているが、そもそもWindows向けにUWPアプリケーションを開発しようとする人は少ない。企業は確かに投資するところもあるが、一番足りないのは企業より個人ユーザーがそこに向かわないことにあると思われる。結局WindowsもAndroidもmacもiOSも最終的には個人や中小企業が法人や大きな企業になるほど凄いアプリをいくつか生み出すことで成長を加速させた。即ち、ゲーム機などもそうだが、ハードには必ずキラーソフトウェアが必要で、それが大手によって1本や2本、単独のアプリを開発させ導入する程度では、魅力には欠けるのだ。

例え、大手が単独で最初にWindows On ARMに送り込んでも、そこで評価が良いなら、x86や64にも、iOSにも出したいとその企業は思うだろう。だって、その方が儲かるのだから……。しかし、それが、そこにしか投資しない企業によって提供され、ヒットすればそのアプリ目当てで人は製品を買う。そういう道筋の目処が立たない。これは、Microsoftが長く抱えている問題である。


Pro Xが起爆剤になるかというと、懐疑的な人が多いだろう。まあ、長くやっていればそのうち、ある程度は取れるかも知れないが、どうやってもAT互換機市場のx86/x64とWin-Winの関係まで持っていくにはソフトパワーが足りない。ハードウェアが幾ら優れていても、ソフトパワーがそこに追いつかなければ、宝の持ち腐れから脱することは暫く出来ないだろう。

今のところマ社はRTと違って、Armで動くWindowsから撤退するつもりはないと思われる。但し、これからここでアプリケーションを新規に開発しよう(これ一本で開発していこう)と言う人も、事実上いない。マイクロソフトというOSが柱のメーカーだった企業がやるべきは、本当はそこに如何に魅力を与えるかだが、ハードだけでてこ入れするしかないとすれば、価格を下げて、相対的な割安感でも見せない限り、今後も厳しいような気がする。


Atom復活希望の読書さん

コメントありがとうございます。
IntelのマルチアーキSoCの方が期待出来そうです。

という点は、私も今のところはそう思っています。Armは電力パフォーマンスの高さが売りですが、今のところはPCでは上手く行っていないように見えます。
それが、改善されることがあれば、良くなるのでしょうけど……ソフトバンクグループ入りしてからのArmはCortex-Aシリーズ全般をハイパフォーマンスに振って強みを自ら捨てているように見えるのが気になるところです。
サーバーやHPC(IP公開版は別にありますけど)はCortex-XやCortex-Sなど別ブランドに向けて、AシリーズはA5x系を毎年更新し、A7x系は更新間隔を2年~3年に1度に切り替えた方が、絶対に今より評価が上がると私は思っていますけど。


まる様

コメントありがとうございます。
当該の記事から、リンクを読んだのですけど、どうなんでしょうね?このベース記事を読む限り、パフォーマンスの問題でx86-64の端末エミュレーターを作れないということになっていますけど、パフォーマンスは今でも1コアあたりIntelの0.6倍~0.75倍になります。

そもそも、パフォーマンスの問題と言っているのはQualcommであり(これはその筋に近い人は誰も信じていません)、Microsoftではありませんしね。元々マ社は、x86-64の端末エミュレーターをArmに載せるつもりで開発していたというのは以前から噂はありました。しかし、AMD64やIntel 64のx86-64はIntelとAMDの特許がベースですから、マ社はそれで実装を断念しているというのが公然の事実です。だから、AA64向けの開発環境を準備することになったのです。

それらの問題をクリアする技術が見つかったか、クロスライセンスを結ぶのか、それとも特許侵害覚悟でやるのかが書かれていませんので、出来ることなのでやるだろうというだけでは、何とも……。

尚、AppleがMacでもArmに移る計画は現在も進行中と考えられますので、Microsoft(は分からないが)とAppleが焦っているというのは以前ここで書いたかもしれませんが……あると思われます。書かなかったかもしれませんけど(書いて執筆中のまま消している記事も多いので)。
2021年頃ということは、Apple絡み(BootCampでWindowsを動かすため)でマ社が訴訟覚悟で動いているというところかな?

どちらにしても、現時点でマイクロソフトは開発を否定していますので、この噂通りになるかは分かりません。ただ、今もマイクロソフトがArmに固執するのは、Appleのためだと考えられるので、Appleがx86から抜けるという噂が消えない限りは、裏で開発を続けるのでしょう。
















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この記事へのコメント

Atom復活希望の読書
2019年12月22日 13:09
はじめまして。いつも拝見しております。

私はPCWatchのプレビューを見ましたが、私見では「Windows on Arm」のウリであるバッテリー持ちの良さは、少なくともこの端末では、あまり期待出来ない、という印象です。管理人様の記事にもあるように、性能を追う代償で低消費電力のメリットが失われている印象です。

これなら、まだIntelのマルチアーキSoCの方が期待出来そうです。
まる
2019年12月24日 16:22
x64エミュは開発中だそうです。
ITmediaの「Chromium EdgeとWindows on ARMの最新情報を整理する」参照。