楽天モバイルの基地局、12月末時点の設置予定が明らかに……この会社のMNOへの期待は2年か3年後かな?

ケータイWatchの記事である。
見る限りでは、結構苦労していることが見て取れる。そして、この基地局数では完全サービスインをしても、期待値はむしろ下がるだろう。まあ、総務省が真面なら、最長1年開始を遅らせて良いから、ちゃんと基盤を作れと指示した方が、この事業者の未来にはプラスになるだろう。

既にネット上の記事や3キャリアからは楽天モバイルに対して懐疑的な見方が出ているが、個人的な意見を言えば、価格が安くなるかというと厳しいだろうが、楽天モバイルの新規参入は価値があると思っている。各キャリアもその昔は同じ事に苦しんでいた時代があった。今使っている若い人などは知らないだろうが、圏外など腐るほどあり、利用者が多いと切れやすいとか、多かった時代を考えれば最初はこんなものだ。


問題なのは、総務大臣が通信価格を下げ競争を促進するという意味で、参入を認めたはずで、楽天モバイルを認めたはずなのに、楽天モバイルのための施策(参入に際しての時限的な支援法令などの施策)を打ってこなかった点にある。MVNOに対する考え方もそうだが、政府や総務省は3大キャリアを成長させたいのか、それとも通信コストを下げるためにMVNOを成長させ競争を促進させたいのか全く分からない。

どちらかというと、悪いのは省庁でも政府でもなく全て各キャリアのせいと、責任転嫁しているだけだ。これは、総理の私に責任があるけど、説明するのは各大臣で各大臣が進退を決めることみたいなのと似ている。とどのつまりこれは、自分が悪いわけじゃなく、奴らが足を引っ張っているということを、言っている訳だが、それが形としてはっきり見えるのがこういう政府方針に基づいて動く省庁の施策だ。

結果的に大手キャリアは収益をより上げており、端末価格は高止まりし、状態はどんどん悪化している。これなら、何もしない方が良かった。むしろ、通信コストが上がったキャリアプランも結構増えているように見える。まあ、インフレとしては価値があるが、このインフレが出している利益はその会社で働いている人より、投資家に分配される率が高いので……これは日本に限らないが、労働者還元率は成長率に対して5%以下と言われ、投資家還元率は2割以上あるとされる。そのため、直接利益を出すところに投資をしていないものほど格差が広がるのである。


<楽天モバイルの現状>

楽天モバイルの現状を云えば、MNOとして見るとまだ一人歩きできる状況にはない。基地局が3000局でそれが三大広域圏(東京、大阪、名古屋の周辺)であるなら全く足りていない。少なくとも、三大広域圏だけで1万局以上なければ、繋がりにくい繋がっても切れやすいといった場所が多くなるだろう。理由は簡単だ。三大広域圏はビルなどの遮蔽物が多いためだ。

まだ、利用者が少ないので出力の大きな広域局を広域圏のうちのいずれか1地域に3000局置けば、地上の屋外なら大方圏外のある場所を出さずに埋められるだろうが、それでも入り難い場所は出てくるだろう。これは、楽天が持つ周波数が
1729.9-1749.9(上り/Upload)と1824.9-1844.9MHz(下り/Download)という1.7GHz~1.8GHzの帯域だからだ。
昔ソフトバンクが繋がりにくいと言われた頃の帯域が
1427.9-1437.9(上り/Upload)と1475.9-1485.9MHz(下り)の1.4GHz帯域が最小で、屋内や建物の影で繋がらないことが多かった。
その後、プラチナバンドのCMをバンバン流して帯域の改善を訴えたのは今や昔のことである。それよりも高い周波数なのだから、回り込み特性は低く、影での安定接続率が低下する。


これを完全にカバーするには最低でも2万~3万局は必要だろう。そして、利用者が多い都市部だと、輻輳が起きやすいのでその輻輳対策まで考えると、この広域圏にfemtocell(フェムトセル/FC)と呼ばれる小出力の基地局を含めて、数万局~10万局単位の基地局を設置する必要があると思われる。まあ、契約者数にもよるが、もし低価格で立ち向かうなら簡易基地局を徹底して増やさないと、使える周波数帯域も1つしかないことから、すぐに収容不足(輻輳)が発生することも考えられる。簡易局であるFCで安定接続カバー率を上げることも必要になる。

3000局でもカバーできるみたいな発想の人がいるが、そもそも楽天のように持っている周波数が1つしかないなら、それは難しい。ドコモやKDDI、SoftBankは一つの基地局でも所有する複数の周波数を出せるAPの認可を受けて使っていることが今は多い。それが少ない基地局数でも輻輳の軽減や遮蔽物のある陰での安定接続に繋がっているからだ。しかも、スマートフォン時代とただのベーシックセルラーフォン時代とは通信の量も質も違う。最後の参入はイーモバイルで2000年代だったことや、もしかするとその当時は郵政省(※)からの総務省に移ったNTTドコモやKDDI、J-Phoneの電波を割り当てた役人がいたが、そういう人材がいなくなってこんなことになっているのかもしれない。


※2001年に郵政省が郵政公社になるまでは、電波・放送の管理監督は総務省では無く郵政省が行っていた。元々郵政省は逓信省から日本電信電話(現在のNTT)を外したものであった。


<最低でも2年か3年>

そのように考えた場合、楽天モバイルが三大広域圏で使えるようになるのは、今から2年か3年後だ。そもそもの話、総務省は電波の認可が2019年1月でそこから10月迄にという話を出していたが、あれ自体が間違いだったと言えよう。楽天も確かに甘かったのはそうだろうが、しかし、あれぐらい言わなければ、電波の免許も取れなかったのかもしれない。

既にその段階で、新規参入の障壁になっていることを、総務省の電波を所管する部署は、分かっていなかった可能性がたかい。、簡単にできるだろうぐらいで見ていたのだろう。そして、蓋を開けてみたら上手く行かない。だから、問題視したが、専門家もそうだがあとになって無理な話で楽天も悪いとか言うなら、最初からその話を出すべきだった。

本来は、だからこそ遅らせる期間をもう少し長くしてでも、ちゃんと整備させた方が良い。サービスが可能なギリギリのラインで始めたら、契約も増えず、今MVNOでやっているサービスもMNOから切り捨てられじり貧になる可能性があるからだ。(基本的に公共はこれから成長する物を守るのであり、大きなものにより高い責任を与えるのが仕事である)育てる気もなく、大手3社がより利益を上げる体質を万全にしたいという目的なら別だが……(それだと官庁として企業成長の阻害をするという由々しき事態になる)


<上に立つ者が俯瞰して下に余裕を見せるのも大事なこと>

日本は、いつの間にか後出しじゃんけんで、今から挑戦しようとする人を最初から叩く国になってしまっている。しかも、上に居る企業が下を叩くのも当たり前になってきている。本来はもっと、長い目で見て成長を見守るべきである。そうすることで、数年経ったあとにやはり参入させて良かったという話になるかも知れない。

逆に最初から強く叩きすぎれば、契約者も増えなくなるため、結果的に断念して撤退も有り得るだろう。その時に、誰が困るかというと、消費者であり国である。結局三大キャリアのMNOにMVNOも含めて牛耳られている現状が変わらず、新しく出たキャリアも撤退したとなると、もう料金が下がることも、サービス競争が進むことも無くなるだろう。


これに限らず、今の日本(や世界)は相当不味い状況にある。大手を優遇しすぎる体質が強まっているし、有力な中小は大手に青田買いされ、大手に育つチャンスを失う企業も多い。その一方で、ビジョンファンドのように小さなスタートアップに大量の金を入れてまるで、ガチョウを成長させてフォアグラを取るような無茶な投資が行われ、需要が育つ前に供給を大きくしてしまうケースもある。これでは、質よく育つ物も育たない。

次が出ない焦りから、育てたいというのは確かに分かるが、例えば人が赤ちゃんから大人になるにしても、1日で培養液に浸けて、大人になるわけじゃない。もし、それが出来たとしても中身の心が追いつかなければ、体は20歳の赤ちゃんが誕生するだけだ。その人が、20歳の大人としてバリバリ仕事が出来るわけじゃなく、むしろ脳は大人になっているので物覚えは悪く体が大きい分達が悪いだろう。

我々は、知っていることは知っている。しかし、知らないことは知らない。例え5歳だろうが100歳だろうがそれが初めてやることなら、5歳児だろうが、100歳(児)だろうが、同じ初心者だ。初心者に既に何十年もやっているところと同じ水準を求めるのを焦ってはいけない。もちろん、遅すぎて何度も延長してはいけないが、例えば相手が1ヶ月でやりますと言ってきたなら、2ヶ月与える代わりにもう少し確実にミスのないものを作れと言うのも大事かもしれない。(それでダメなら、許されないが、それで出来たならその人や組織は確実に成長すると同時に、信頼してくれるだろう。)

そういう度量を見せることが出来、調整出来る人が上にいれば、下はその人のために頑張りたいと思ってくれるケースも多い。
まあ、そんな人は今や殆どいないし、最近はそれに対して、「遅らせることが出来るなら最初からしろよ。」というろくでもない人もいるので、洒落にならないが……。嫌な世の中である。


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