津波で感染症拡大も、東日本大震災による新たな流行を懸念……英文タイトルとは違います……長い研究の始まり。

BBCの10月2日の記事である。下はJP版とEN版がある。日本語版の方はタイトルが日本よりである。日本受けするように変更したのだろう。
英語の本文は「津波が致死的真菌疾患蔓延に関係」というタイトルだ。


上記を読んで、これは信用ならないとか思った人は以下に原文があるので読んで見るとよい。簡単な遺伝系統の説明などもあり、なかなか興味深い研究と分かるだろう。


この日本語版記事では、日本の話のように書かれているが、研究論文はPNW(Pacific Northwest/太平洋岸北西部)で1999年に見つかったクリプトコッカスの話から始まった研究の報告である。どうも、この細菌が20世紀初頭にはPNWの沿岸部にバラスト水に混じって到達していたが、それが内陸部に土着するまでの流れがあるというものだ。1964年の津波で内陸に細菌が入ってきてそこから、環境適用し人の体内に入り発症するほどの量になるまでに、30年掛かったことを書いているものだ。
但し、これはまだ仮説なので検証や反論のための実験作業を求めていたり、今後それを進めるという事を前提に書かれている。


まあ、詳細はmbioの記事を読めば分かるだろう。

ただ、これがもし本当ならば、2011年から30年~40年後の2041年~51年に掛けて、日本での発症例が少ない土着細菌による感染症が報告されるようになる可能性があることを意味している。そのため、今後の研究の進展が求められる。

面白い記事である。

しかし、日本ではこういう記事を読んで研究しようとする人は減っている。むしろ、最初から穿った見方をする人の方が多い。原文を読むと結構細かく書かれていて面白い記事なのだが、タイトルの影響もあるのかも知れない。もしかしたら、こうかもしれないと考察することは大事なことである。それを元に、皆が信憑性を確認していくことで、予防や安全などの評価が増していくことにも繋がる。
ただ、これには時間が掛かり、お金も掛かる。だからこそ、読んで興味がある研究者は研究してくれとニュースになる訳だが……日本人は元となる情報が英語だと探さない読まないなどの問題があるのは痛いところだ。私にはこの手の学問の詳しい部分は研究できず分からない(知った気にはなれる)が、研究者には届いていて研究が進み解明が進むことを祈りたいものだ。それが、科学の進歩(発展)に繋がるかもしれない。


ちなみに、細菌性の病気の発症リスクは、O157がそうであるように公衆衛生がある程度行き届いていても常に存在する。
細菌そのものは、よほどコロニーを形成しないかぎり目には見えないからだ。そのため、土着して一定の数量まで増えていけば、その場所(例えば山かもしれないし、川かもしれない、温泉や家のトイレ、洗面所、お風呂にだって細菌はいる)で細菌を体内に取り込み発病に至ることはある。まあ、発症しても多くの場合は、風邪の諸症状で終わる。但し、何らかの理由で免疫力が低下していたり、腸管出血性大腸菌や当該記事の細菌のような強力な毒素を放つ細菌に感染するとその限りではない。
細菌感染症というのは、敗血症など致死病名の原因であり、実はそれなりにポピュラーな致死要件の一つである。腸内で体を健康に保つ物も沢山あるが、それだけじゃないと言うことだ。


たまにこういうサイエンス記事を読むと気分転換になるが、日本ではあまり扱われない(たぶんこれもそうだが扱っても評価されない)のが、痛いところだ。届くべき相手より、視点が全く別の相手が表面だけを読んで反応していることも多いからかもしれない。だから、この手の研究は日本国内の企業合同の研究じゃなければ、年々減っているのかもしれない。あっちの方が、利益ばかりを考えていて本当かどうか疑わしいのも多いのだが……。

こういう研究は、当たりでも外れでも防疫などにおいて長い目で見れば大事なことだ。だから、もっと積極的に記事として広がり、研究が進んで欲しいものである。




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