今年で生産が終わる日産キューブ(CUBE)……厳しくなる環境基準に適合は難しい。

日産のCUBEが生産を今年いっぱいで終えるようだ。まあ、欧米では既に生産を終了していたので、日本の一部で噂されていたフルモデルチェンジがあるとは思っていなかったが、これでまた個性的な車両が姿を消すことになる。



では、何故生産が終わり、次を作らないのか、それは言うまでもない。EUが国際環境基準として定めているルール、2021年で95g/kmのCO2排出以下に抑えるというものを満たせる見込みがある車台に出来るほど投資価値がないからだろう。ちなみに、日本の環境基準は2030年度目標値で25.4km/L(WLTC)である。2019年現在、ガソリン専用車でこれを満たしている車両は1車種もない。

尚、欧州基準の95g/km以下というのは、今のところ日本の内燃機関のみを実装した車両にも存在しない。一番それに近いのは、ダイハツのミライースであるが、日本基準のWLTCで25km/L、93g/kmの5BA-LA350Sが最もガソリン車では燃費が良いと考えられる。(ちなみに、JC08基準ではもっと高い車種もあるが、WLTCとJC08ではWLTCの方が基準が厳しいため、比較しても意味がない)尚、WLTCの基準はEUの基準より多少優しいはずだ。

その状況で、北米と欧州での販売が大きい日産が、CUBEをモデルチェンジして売り続けるのは難しいのだろう。
電気自動車にでもするなら別だろうが、そちらは実は販売が激減し始めているはずだ。結局、EVの強みは免税や減税、補助金であり、それが海外で打ち切られたり、縮小されているところも出てきている中ではそれを出す訳にはいかない。何せ、売れないのが見えているからだ。

ノートのハイブリッド(ePower)のような製品を出しても、流体デザインとして劣るあの車両で元を取るほどの開発をするのは難しいだろう。そもそも、CUBEの新型(2008年製)は日本国外ではCUBEは売れ行きが悪かったのも影響している。今では日本以外での販売が大半の日産にとって日本で幾ら売れても、海外で売れないなら開発費を掛けてまで、次の車台を作り販売するのは難しいだろう。


<環境税制や法律に苦しむ車両デザイン>

90年代までは、カクカクした車もたくさんあった。板金加工技術が乏しかったこともあるが、燃費基準などがまだ重視されない時代だったのも大きい。
しかし、京都議定書の発効辺りから、自動車業界は急速に車両デザインを、流線型へと変えてきた。そして、それは2020年代にさらに大きく進むかも知れない。

車両に対する環境税制がエンジンや電気モーダーの技術の進歩を上回る時代に入るからだ。まあ、その基準も元々は自動車会社が当初掲げた目標の最適値から出しているものだが、コンピュータのハードディスクなどで起きた問題と同じような問題が、今内燃機関にもやって来ている。
VWの排ガス不正などから、無理に数値を弄っていた製品が見つかり、以前から一部自動車会社は技術が追いついていないことが分かってきた。

さらに、先進的な企業でも、ここ5年ほどの開発は目標より苦戦していることが見えてきている。

これは、燃費の為に使うエンジンなどの技術が、本当に僅かな加工の差やプログラムの差で、燃費を変えてしまう程細かな調整時代に、入ってしまったことを示している。それは、逆に言えば同じ品質でばらつき無く同等の技術を持つ製品を作るのが難しくなり、下手をすると組み立て後に検査をすると引っかかる恐れがあることを示す。即ち、僅かな燃費アップが僅かな組み立て差で起きるため、同じ水準の車両を量産するのは難しい領域に入ったのだ。

そこで、よほど売れていて、開発費を捻出できる車種なら別だが、そうでなければ可能な限りデザインでそれを埋めるか、PHEV/PHVのような電気と併用する車両を作るしかなくなったわけだ。

今同じような形をした車両が増えているのは、結局、官庁が求める環境基準に対して、それを満たす最大の要素が車両のノーズ(鼻先)になっていることがある。即ち、新幹線と同じように形がカモノハシようなノーズに統一されていくと言うことだ。


<2021年にはハイブリッド車が激増か?>

尚、2021年頃を境に車の多くはハイブリッドに切り替わると考えられる。いわゆるマイルドハイブリッド(簡易電動アシスト型)ではない。
完全並列ハイブリッド(パラレル型)または、順列(連続)ハイブリッド(シリーズ型)に変わっていくだろう。そして、大半の車種は、外部からの充電プラグにも対応するプラグイン型になるか、今のハイブリッドシステムをさらに燃費面で発展させたものにする必要が出てくるだろう。
何故そこまで、ハイブリッド化が進むのかというと、そうしないと環境基準を突破できないからだ。そして、その投資にはかなりのコストが掛かる。

日産は、その投資をNoteと三菱のek(日産DAYS)に向けている。
また日産は、同社のマーチに関しては、Renault(ルノー)のClioなどの車台と統一している。まあ、3ナンバーセダンはまだ車種があるが、排気量が低めの車種に関しては、日産として独自に出すのはNoteに集約しているということだ。そうしないと、開発費と販売費がペイできない時代に入り始めており、今後電動化で上がっていく価格を抑え込むにはある程度自社開発を絞り込まないと厳しい時代に入っているとも言えるのだろう。



まあ、今は地球温暖化問題(少なくともここ10年の気温はNASA、気象庁、ESAなどが上がっていると示している)もあり、これが厳しくなっていくのは流れとして仕方がないことだろう。むしろ、もっと環境に配慮できる技術があるなら積極的に投入されなければいけない程に来ているのかもしれない。
しかし、それが結果的に個性的な車種というのものを減らしているのも皮肉な現実である。

技術がもっと簡単に進化する20年ほど前だったなら、CUBEは消えることも無かったかもしれないが、今量産体制に掛かるコストも、研究コストも上がる中で、新しい技術を作り出すだけで、沢山のお金が掛かる。そこでは、これが生き残るにはよほどの利益見通しがあるか、または燃費改善の見込みが必要だろう。

そのように考えると、淘汰させるのも仕方がないのだろう。どこかでブレークスルーが見つかって、再び復活することを願うしかない。
今後も、燃費基準が緩和される可能性は低いため、他社の他の車種でも淘汰が進む可能性はある。まあ、売らなければ働く人の給料は出ないが、安定した製品の開発(製造技術の確立)にもお金が掛かる昨今、一番簡単なのは、デザインを減らし、バリエーションを減らして部品コストを下げることである。これは、車に限ったことでは無く、あらゆる分野で今や当然のこととして行われていることだ。

味気ない社会とも言えるが、最近は若い人も自分で買うことより、シェアリングなどで借りる人も増えている中、バリエーションが減るのはある意味で、社会がそれを求めている証拠なのかもしれない。









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