繰り返される大雨被害……増える線状降水帯。変わる西日本の気候。崩れる防災システムの常識。

九州北部地方(山口県含む)の大雨被害は今年も名前が残るものになりそうだ。
ちなみに、記録に残るほど大規模な九州北部地方の大雨被害は、


等がある。

元々、西日本(九州北部や山口県)は台風が強いままでで接近することも多く、他の都道府県に比べると、暴風雨に対する対策は行き届いているが、この10年ほどは、長く同じ場所に尋常じゃない程の大雨をもたらす被害が相次ぎ、だいたい3年~5年周期で、50年に1度規模の避難しないと命の保証はしないよと言うレベルの災害警報が出るようになった。

尚、九州北部と中国地方は火山活動が長年無く、過去の火山堆積物にも柔らかく崩壊しやすい花崗岩が多いこともあり、大雨で地盤が弱まると、それらが全体的に崩れる土砂災害が発生しやすいことは2009年の山口県防府市の土砂災害と、2014年の広島市安佐南区の土砂災害で知られているため、大雨が多いと、山合いで土砂崩れや土石流が起きやすいが、今回は土石流ではなく、本当に純粋な大雨であった。


九州地方は、南北から新鮮な線状降水帯もやって来やすいとされる。緯度が東北などより低いこともあり、南からの暖かく湿った空気がやって来やすいからだ。(最近は、世界的に気温が上がっていることもあって、東北なども大雨が降りやすいが、西日本はもっと降りやすくなっている)
九州地方は九州山地があり、その手前で雲が発達し大雨をもたらしやすい。山地の形状が湾のように沈み込む場所も多くあり、運悪くそこに大きな雲が発生しやすい上昇気流(小さな低気圧)がやって来ると雲がより大きく発達する。そんな場所は、九州山口、広島の西部には沢山ある。後は、そこが今の尋常じゃない大雨基準に耐えられるぐらい防災対策が行われているかどうかだけだ。

そもそも、影響を受ける場所は毎回少しずつ変わっていることを考えると、補強していくところは徐々に改善されていくが、それが行われていない場所が、やられているということでもある。
いや、もっと言えば、今や林業を生業としている人も少ない日本列島で、幹のひょろひょろな杉や檜が鬱蒼と茂り地面には殆ど光が届かず、シダや苔も殆ど無い森や山が多い。それを考えると、年々土砂災害のリスクは増している。たまたま、西日本はその影響を受けやすいと言うだけだろう。


最近は東北や北海道でも多いが、これらに共通しているのは、雨量が今までの最大雨量の基準より、約1.3倍~2倍にその最大雨量で降る降雨時間が2倍~4倍以上に増えていることが理由だ。即ち、昔は台風など1時間~6時間後には通過して晴れ渡る時に、凄い雨が降る流れだったが、今は、台風の刺激を受けた前線や、台風から変わった低気圧を取り込んだ前線が何日も居座って、猛烈な雨(1時間50mmを超えるような雨)をおよそ6~12時間ぐらい連続または断続的にもたらす。しかも、前線の位置があまり変わらないので2日、3日インターバルに大雨が続く。

その結果、土壌の排水が追いつかずに、低地に水が溜まったり、決壊が発生する。

しかし、実は今回はそれとは違う可能性が高い。


<どこでも起き得る豪雨だが……今回はさらに恐ろしい>

今回の大雨だと、降り始めから約2日~3日で8月の雨量としては過去最高(1ヶ月分)を超える雨量が降った地域もあるほど降っている。
そして、昨日(8月28日)で言えば、記録的短時間大雨情報が短い時間で以下の場所に以下の回数発令されている。

4時50分佐賀県で記録的短時間大雨
・吉野ヶ里町付近で約110ミリ

4時40分佐賀県で記録的短時間大雨
・佐賀市東与賀町付近で約110ミリ

4時30分佐賀県で記録的短時間大雨
・佐賀市佐賀付近で120ミリ以上
・佐賀市大和町付近で約110ミリ
・神埼市神埼町付近で約110ミリ
・神埼市千代田町付近で約110ミリ

4時00分佐賀県で記録的短時間大雨
・多久市付近で約110ミリ


佐賀県内(主に有明湾側)で1時間雨量100ミリを超す雨が、広い範囲で降ったわけだ。
これ、東京、大阪、名古屋の都市圏で降れば、排水はまず追いつかない。これらの都市圏の排水能力は1時間30mm~50mmであり、しかも隣り合った地区などで降ることは想定できていない場所も結構ある。たいていの場合は、どこか一部でそのぐらい降ることを想定しており、線上に連なって長さ5km~20kmの範囲で1時間で100ミリ降雨をもたらす雲が居座ることを想定していない場所が多い。要は、50mmの雨量に耐えうる地下排水管の上流と下流で同時に土砂降りがあったとして、上流は50ミリを排水しても、その下流にある管は既に50ミリ分の水を上流から運んでいる。そこに同じ量の雨が降っていると、下流は水が排水できず溜まるということになる。

今回は、距離的に比較的近い場所ではあるが、広い範囲で100ミリの雨が降り続けたことになり、水が溜まったのだ。

記録的短時間大雨情報は、確かに近年は良く出るが、出るのは同じ地域で隣り合った2カ所程度か飛び地が多いだろう。今回は周辺の7地点で大きな雨雲が同時多発的に発生し、最盛期には1時間に110から120ミリの雨が降った。それでは、どんなに防災技術が発展していても、沈む。まだ、これでも影響は軽微だったと言えるかも知れない。


<梅雨、秋雨、台風は脅威だが……自分には置き換えられないもの>

昔は、梅雨と秋雨、台風は恵みの雨だったが、今ではもういつ土砂降りになるかを恐れる雨だ。しかも、猛烈に降っている場所から少し離れると、あまり降っていないケースもあり、その真っ只中を経験したことがなければ、それがどれほどの脅威かは分からない。

これまでの大雨、いや今でも大雨になっても、大抵の場合は被害がないため、避難もしない人が多い。しかし、その中に今回のようなケースが隠れている。その場合、危ないと気が付いた時には、逃げられない状況になる。実は今回がそうであるように極端な大雨は夜半過ぎなどに多いため、本当に夜間で状況も分からないケースが多いのだ。

だから、夜来ると分かっているなら早めに避難することも考えなければいけないが、それは大抵の場合しないのが人だ。1度でも被害に合わないと。
我々は皆、危険が来ると分かっていても他人事なのだ。例え、我が家が明日大雨に見舞われて避難が必要だと言われても、多くの人は逃げないのだ。ネットではそれを問題視する人もいるが、じゃあ、あなたは自分に置き換えて避難するのか?と言われたら、多くの人は自分はマンションだから、高台だからとかいって避難しないだろう。そういうことだ。それが人の現実である。

今回のケースの場合は、今までより広い線状降水帯であったのか、過去に比較的水害が多く、今では対策が行き届いていたはずの場所を、沈めた。これが示すのは、ただ水害対策を強化すれば良いという訳では無い。もう、逃げることを厭わないこと、早め早めに行動することが重要だということを示している。

それでも、きっと私でさえも、これほどの雨が自分の住む家の周囲で降ったときに避難できるかというとしないだろう。
それで、例え水に浸かってしまっても、特に深夜~朝方なら難しい。

まあ、それでも誰でも出来る事もあるにはある。

自動車などを所有されている人は、車両保険に災害特約(風水害などの特約)などを付ける(付けているか確認する)こと。
それから、災害危険地域等ではライフジャケット(救命胴衣)辺りを揃えておくというのも大事かも知れない。
危険な場所じゃなくても、あった方が良いかも知れないぐらい、どこで洪水が起きてもおかしくはないのだから。



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