Intel Comet Lake(14nmQP)版の第10世代Core発表……Ice Lake系(Sunny Cove)と併売に出る苦悩。

Intelが噂されていたというか、既にほぼ情報が出尽くしていて、悲観されていた14nm(++++/Quad Plus)版の10世代Coreを発表した。
PC Watchの記事では、そのプロセッサーナンバーについての説明が記事になっているが、ASCIIやITmediaの記事でもこれが書かれているので、Intel側が配慮して説明したのだろう。

個人的には、そんな配慮するならComet Lakeは第9世代で売れば良いのにと思うが……それが出来ない理由もある訳だ。


<全ての製品群を満たせないSunny Cove>

Intelでは、最初の10nm(厳密にはCannonlakeは1つの例外を除いてキャンセルされたのでIceLakeは10nm+または++相当である)でのSunny Cove拡充を既に諦めているようだ。一応、来年の今頃までに10nmを全てのラインで投入したいとはしているので、それまでの中継ぎ(もう何人目か分からないが)として投入した最後の14nm投手になる予定だ。
そして、来年予定しているのは、当初7nmのコードネームで計画していたTiger Lake(Willow Cove Micro-Architecture)を10nmのリフレッシュ版(MA名があるので、少し大きめの改良を施している可能性がある)に使うようだ。7nmシュリンク版のコードネームになるはずだったのだが、既にチックタックどころか、チクチク状態なので、10nmである程度の改良が入るなら、使った方が良いと言うことなのだろう。

但し、来年の今頃に10nmが立ち上がっているかは分からない。これがもし立ち上がらないなら、7nmに移行する2021年の製品までComet Lakeまたはその改良版がさらに継投されるという話になるかもしれない。予定は既に未定であり、経過を見ている人ほど信じる人は少ない。

-今回は第10世代でも中身は6~9世代と変わらない-

尚、Comet Lakeには目新しい機能はない。Skylake Family(2015年)から変わっていない。
唯一変わったのは、チップセット対応がIce Lake世代と同じになったというだけだ。即ち、5way Decoder(Skylakeは4Way)や、2250μOP(1536)を格納出来るレジスターキャッシュなどの改良はない。その上、IntelがIce Lakeで発表した1TFlops(Geforce GTX750にほぼ匹敵)を誇るiGPU性能の第11世代GPUにもならず9.5世代のままである。

では、Intelにとってこれを発表することに何のメリットがあるのかというと、

最新のチップセットに対応出来る分、運用性は上がるという点。
第10世代として売れば、上記のIce Lakeと同じものと誤認してくれる人が殆どなのでお値段を維持して売れるという点。
14nmの歩留まり改善は既に実績が十分にあるのでコア数が増やせること。
最後に、14nmのラインを昨年増強したこともあり、その償却が出来るかな?という点だろう。

ただ、上から2番目は上位ユーザーには既に公然の事実として知られている。モバイルでも最近はRyzenモデルが登場し始めて売れ始めているのを考えると、この製品を10世代にすべきだったかは分からない。9世代で売って、10世代は少量に抑えるBroadwell方式(第5世代方式)を素直にとった方が評価はよかっただろう。

それでも、第10世代にしたのは、来年の今頃に10nmが本当に量産してSKUを拡充できる根拠は既にないことと、AMDがモバイルでもシェアを奪い始めると不味いからというのもあるのだろう。即ち、もう第10世代を最初から混在するしか方法はなかったのだ。


<Comet Lakeは当初予定していたIce LakeのようなSKU展開>

尚、Comet LakeはS~Yまでほぼ全てのSKUで投入されるようだ。即ち当初のIce Lakeが予定していた部分をComet Lakeが全域で埋めるのだ。
(ただし、サーバーエンタープライズセグメントではIce Lakeが今のところまだ生きているようだ。サーバ用はEPYCとの競争と利益の柱なので、止めたくないのだろう)
しかも、アーキテクチャが変わらない分を補うために、さらにコア数を増やす形で充実させるため、より歩留まりは悪く、発熱は多くなる。そのため、クロック周波数を大きく上げることが出来るのは、TDPの熱許容が上げられるデスクトップ製品の一部に限られる。

それなのに、何故モバイルから先に出てくるのかというと、その理由はコア数が少ない分、製造ラインを圧迫しないからである。しかも、デスクトップ版で主力だったコア数を入れるので、実績がある。更に言えばモバイルはCometだろうが、whiskeyだろうが、ぶっちゃけ差は殆ど無い。コア数が増えればCometになるぐらいの違いである。だから対応が容易なのだ。もっといえば、SKUによってはホスト(チップセット)の多くの機能を最初からCPUに内包しているため、皆まで言わないが、あまり大きな改良は必要ないことを隠蔽して10世代化が出来る。10nmの歩留まりの悪さによる損失を、ここで、早くから沢山売ってという面もあれば一石二鳥どころではないほど大きな意味がある。

だから、モバイルからという投入になる。

一方で、デスクトップ版などの沢山のコアを内包する製品は、今の第9世代(Coffee Lake)がそうであるように、歩留まりが悪化し続けている。F製品が増えているのがその証だ。コア数が増えれば欠陥率が上がるので、仕方がないことだ。本来は、欠陥率を下げるために製造プロセスや露光技術を革新し小型化や最適化をするのだが、同じ14nmのままでの改善には限界がある。
そのため、まず第9世代をある程度処分した上で、Cometに置き換えることになる。Cometでは10コア以上(最低でも10コアは出る見込み)も予定しているため、さらにFが増えることは想像に容易い。何よりCometは既にZen2に負けることが確定している。だから、わざわざ急いでCometを出す必要もない。十分に準備が出来てから投入すればよいのだ。まあ、Zen2の最上位が出てから投入する方が、Intelにとっては在庫管理の都合がよいだろう。


<Intelのモデルナンバーは暫く混沌>

Intel程ぐちゃぐちゃではないが、AMDもMobileのRyzen 3000世代とデスクトップのRyzen 3000世代でZen+とZen2という差があることを考えると、Intelがやっていることがアンフェアという訳でもない。ただ、消費者から見て分かり易く優しい売り方かというと、全くそうじゃないということであり、Intelがそれだけ、既に苦境に追い詰められつつあることを意味する。

この先も、暫くはこれが続くと思われる。改善されるとしたらIntelの先端製造における歩留まり問題が解決した時である。少なくとも一般向けのIce Lakeでは絶望的となった今。来年に改良されて登場するTiger Lake(10nm/2020)やその次のAlder Lake(10nmか7nm/2020-21)以降のどこかだ。最悪の場合、さらにその先のMeteor Lake(7nm/2021-2022)辺りになるのかもしれない。


本来なら、IntelはIce Lakeで第10世代Coreではない別のブランドネームや、新しいモデルナンバーを考えていたと考えられる。
Ice Lakeの歩留まりがよく、高クロックで動くなら、Y/U/H/S/EX/EP(X/W/SP)を全て性能面で凌駕する全く新しいものに置き換えられるため、節目として最適だからだ。しかし、こうなることが明確になったことで、分かり難いと評価が下がることを理解した上で、モデルナンバーを今の延長のままで2重化したのだと思われる。

即ち、Intelが自信を持ってAMDと対抗できる製品を全てのSKUで投入できると革新したら、この混沌は終わると考えられる。それが一体いつになるのかは、もう誰にも分からない。そして、当のIntelも次こそ上手く行くという自信があるのかというと、この新旧が混在する第10世代のモデルナンバーを見る限り、保証はできない。


<今後の見通し>

業績だけで考えると、
Ice LakeのSPやX、WといったEP/EX製品はまだキャンセルしていないはずなので、一応GPUレスなら見通しが立っていると考えられる。これがキャンセルされることがないなら、TigerでもIceと同じ状態になったとしても、サーバー/エンタープライズ事業が不景気などで後退しない限りは大丈夫だろう。後は、モバイルのLakefieldがいつどれだけの数量市場に出回り、性能がどの程度になるかで、もう少し評価が上下するぐらいだ。
歩留まりがよければ、大きなダイのEX/EPとモバイルで10nmラインも結構埋まるだろうから、悪くはないはずだ。

ただ、サーバーセグメントのIce Lakeもキャンセルされることがあれば、事情は悪くなるだろう。EPYCやARMが市場を奪い始めると同時に、10nmのラインが瀕死になるからだ。これは、最先端の設備投資をしたラインが役立たずで重しであることを意味する。すると、7nmの投資も動くかどうかが問われることになる。ここがIce Lakeのサーバーは維持しなければいけない理由でもある。まあ、14nmでもGPUレスの製品は、問題なくフル機能で投入されてきたので、AVX-512とGPUの共有がなければ、Ice Lakeも動くのだと思う。

これが失敗しなければ、問題はないと思われる。

ただ、デスクトップ(S)やH系SKUのノートは、これが少なくとも1年近く続くと思われるため、今までより苦戦するのは明確だろう。これが来年の今頃以降も続くかは本当に不明だ。しかし、長く続けば続くほど、流石にサーバーやノートパソコンでもAMDの知名度が向上することになるだろう。もう流石にプロセスノードの延命猶予は、長く残されていない。だから、Ice Lakeは数量が少なくても、14nmと共に販売することにしたのだろう。



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