西友、再上場へ、米ウォルマート戦略転換……売らなかった事業。

日経新聞社、ブルームバーグ、流通ニュースの記事である。各社が書いているのは、売却を予定していたという西友を、一転店頭上場させるというものだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46590750W9A620C1I00000/
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-26/PTP2G8DWLU6F01?srnd=cojp-v2
https://www.ryutsuu.biz/strategy/l062645.html

記事中では、比較的好感触に書かれているが、ウォールマートから見ると西友事業は、ウォールマートが期待していたほどの業績は上げていないと考えられている。実際、国内事業は黒字と赤字ギリギリの範囲を行ったり来たりしていると思われる。収益性が低く、amazonなどとの競争をしている現状で、人口減少が進む日本。経営資源を西友に投資する理由は既にないからだ。

ただ、今回の状況を見る限りでは、それだけではないのかもしれない。


最近西友は、大規模SCのザ・モールの売却を進めていた。
最初は、 ザ・モール小倉(福岡県北九州市)から始まった。西日本のザ・モール周南(山口県下松市)、ザ・モール姫路(兵庫県姫路市)のイズミへの譲渡売却と続き、昨年はザ・モール春日井Part1の土地建物も大和ハウス工業に売却されている。

これらの店舗は老朽化が進んでいたり、建替えるには競合店が多く周辺人口が足りない、または施設の建蔽率が既に限界に達している施設である。即ち、金を掛けて新施設を作るより売却した方が、旨みがあるという施設だ。



これを行ってきた背景には、米国での大型店の衰退の反省がある。
60年代から80年代にかけて、ウォールマートに限らず米国ではショッピングセンターが大量に地方出店した。当時は、割に合う規模での出店であると思われ、実際にそれで多くのテナントを入れた商業施設は黒字を出していたが、80年代に徐々に下向き始め、90年代後半~2000年代に入ると、地方都市ではその撤退が相次ぎ、批判も浴びることになった。

人口が減り大型店が維持できなくなると、既に街にある小さな小売店も潰れた後になっている中では、大型店が潰して逃げ、買い物難民を生み出したと批判を浴びることになったからだ。そこで、業績が一定を下回るなら、売却撤退するか小型店に切り替える戦略に切り替えたのが、ウォールマートである。


では、何故、一時噂されていた売却交渉は失敗したのか?この予想は容易い。
ウォールマートとしては、出店攻勢を日本で掛ける気は既にないが、西友との取引はある程度維持したいと思っていたのだろう。その条件で出資してくれる企業を探したが、相手は完全買収を望むかまたは、大型店を出店して売上げを増やせという発想だった可能性や、海外進出なども考えていたのかもしれない。

そうなると、ウォールマートは売却を望めなくなる。
だから、再上場してという道を選んだのだろう。こうすれば、本体への業績リスクを減らしつつ、自分が舵取りも出来るからだ。そういう見方が一番簡単な流れである。しかし、細かく見ると、西友側とウォールマート側で思惑が違うのかもしれない。


<日本の店舗事業は今後が難しい>

日本の店舗運営は今後急速に難しくなる。

まず1つには、今後消費が伸びる見込みは薄いという点だ。
人口は減るし、消費税は上がる。
国の税収は増えているが、物価から見た購買量は増えていないか減っている恐れが強い。即ち、店舗負担が年々増加しているようにも見える。(これは最近以下の記事で書いた。消費者物価指数と消費税、人口など動向を見ると見えてくる)
https://powerpro.at.webry.info/201906/article_14.html

次に流通が先細るというのも日本のリスクだ。
これは、人口が減れば輸送量が減るため、輸送コストが上がるからだ。海外からの輸入品も含めて、日本に寄港する回数を増やす理由が無くなれば、中国などに集めて、そこから日本専用便を作る形になる。実際にそういうものも今では増えつつある。日本がハブ拠点なら、安くなるが……。そもそも日本で消費が減るなら、そこに置くより、消費が多い場所に配置した方が全体の輸送コストは下がる。

3つ目は、日本人の甘さにもある。
端的に言えば、昔のように仕事第一は減ってい、向上心も下がり始めていることが問題となる。
これが低いと、バイトテロのような問題が起きやすくなるため、親会社のイメージに影響する。即ち、質が低くなると言うことだ。子会社から親会社に優秀な人材を上げることも減るため、必要性が本当に失われていく。

実際に、今や大学や高校は全入時代に入っており、選ばなければ金さえ出せば誰でも行ける。そんな時代だ。その金という問題も、今や政府が消費税を増やしてまで、拡充させている。ただ、行きたい人が大学に行くのではない。行かなくても良い人も大学に行って遊ぶそんな時代だ。その先に、総合技術職のような一部の専門職人が大卒という流れから、大学に行ってもちゃらんぽらんという状況が生まれる。すると、大卒だから良い仕事に就けるなどとは誰も言わなくなる。

むしろ、中卒や高卒で事情があって行けなかった人の方が、真面目に働き、夜間の学校などにも通いながら頑張るかもしれない。これが今の日本が抱え始めている現実である。日本の政治家は何を考えて、一律無償化を考えたのかしらないが、優秀な子を育てるなら、返済不要な奨学金枠を優秀な人材に拡充した方が良い。


ただ、実験場としては日本は良い。
人口が狭い範囲に集中しているため、人口が減り始めても多くの企業が生き残っていられる。だから、今後他の先進国で起きるであろう高齢化と人口減少による店の在り方を、ここで試すことも出来る。ウォールマートにとってはそういう部分があるのかもしれない。いや、西友の側が渋った可能性もあるが……。


<西友にとっては……>

尚、西友にとってはこれから正念場だろう。
西友は、大型店のいくつかを手放したことで、少しずつコンパクトにシフトしてきた。一方で、残っている店舗のスクラップアンドビルドは、まだ進んでいないところが多い。ライバルとの競争に勝ち抜くには、その投資が求められるが、ウォールマートは日本事業の業績が余り良くないこともあり、渋っていた可能性が高い。

すると、余計に競争力が落ちる。米国等海外のSCやSMではあり得ないことが日本では起きる。これは、日本の国土が狭い上に、平地が少ないため、人口密集地が多いからライバル店が犇めいていることが理由だ。しかも、日本は自然災害が多いので店舗などの老朽化も一部の海外地域より早く、ライバルが多いが故に店舗改装のサイクルも早い。日本はある意味では、奇跡というほど特別な国でもある。

外資が撤退しやすいのは、その競争が品揃えや価格だけでは無く、店舗の目新しさ、サービスの変化スピードにもあるからと思われる。

しかし、米ウォールマートはそれをやる気はない。今必要なのはリアル店舗よりも、ネット通販の方だからだ。日本でもAmazonが国内の小売り流通市場の3~4位付近に居るであることを考えると、リアル店舗に金を掛けている悠長な話ではなくなる。せいぜい食品関連の小型店に投資するか、スーパーセンターぐらいで良いのだ。その分をネットスーパー事業に掛けた方が儲かるし、効率は良い。しかし、日本ではそれが期待した程浸透していない。
むしろ、西友のネットスーパー(生鮮販売)は一部の地域で、店舗撤退からエリアを狭めているところもある。
https://sm.rakuten.co.jp/promotion/area.html?l-id=_footer_area

それが示すのは、日本に旨みがないということだ。


そこにギャップがある。まあ、近年の日本が持つ危うさが反映されていることを示している。サービスが多様化せず、一極集中することがふえているということだ。

iPhone然り、Amazonや楽天然り、LINE然りである。日本は報道などの番組構成が今やおかしくなっているので、流行があるとそれをずっと扱う。結果的に後から誰も入ってこれないような市場を生み出す。それが、日本に昔からあった多様性の文化を壊して面白味を無くしていくのだ。ウォールマートにとっては何の旨みもない。Googleがハードウェア事業などで日本をあまり重視していないのも、ハード事業では美味しいところは何もないからだ。


西友からすれば、ウォールマートが完全に抜けると、またこの先がどうなるか分からなくなる。スクラップアンドビルドをするには相当な金が掛かるはずで、小型店でも都市型が多い西友の場合は、郊外中心や地方中心の総合スーパーに比べて投資は大きく、1店舗の売上げ影響も大きい。ダイエーのようにでもなれば、結局最後の店名はイオンになるかもしれない。

だから、ウォールマートとの関係を維持したまま、上場することを選んだと考えることも出来る。市場で資金を調達すれば、上手くすれば建て替えなどの費用を捻出できるからだ。ウォールマートはそこまで望んでいなくても、日本で西友ブランドが生き残るには必要なことだ。










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