データ復旧業者が直面するSSDのデータ救出困難……知らないと詐欺に遭う話

PC Watchの記事である。そもそも、2000年代最初の頃まで、故障データ復旧は凄まじいお値段だったし、復元も困難だった。しかし、2002年~5年頃にお値段が下がり始めた。これは、回復のためのソフトウェアやハードウェアが開発され始めたからだった。その頃からデータをバックアップしていなくても戻せると思いこむ人も増えて言った。

それが有効なのは元々HDDが中心であったが、USBメモリーなどでも確実に復元出来ると思っていた人もいた。これらの製品は、磁気記憶では無いため、電荷が抜けてしまうと読み出せなくなると言うのに……。

まあ、その誤解が続いた状態で今の時代になり、再びHDDもいくつかの条件を満たさないと、復旧が困難な時代へと返り咲いた。暗号化の進歩と瓦書込(SMR)によるデータビットの多重書き込みが始まったからだ。
常識だと思っていても、その常識が技術に裏打ちされている場合は、その技術が変わると常識が崩れる。それを知っているかどうかが重要だ。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1192004.html


<10年~15年だった>

ちなみに、データ復旧が業者に出せばそこそこ容易に出来たのは、だいたい10年~15年ぐらいの期間である。値段も安く、HDDの大容量化が進んでいた時間でもある。

しかし、今のSSD中心になると回復は困難で、HDDとは真逆の復元率になる。HDDが8割で復元出来るなら、SSDの復元率は2割ということだ。これは、ハードディスクが磁気記録で重ね書き(Over Write)出来るため、過去の磁力を僅かに保持する特性があるのに対して、SSDはデータを消せば、記録されている電荷も抜き取られるという特性にある。

記事にも書かれているが、今のSSDに対応したOSではData Set Management Command(Trim)を自動発行する機能が搭載されているため、実データの消去もシームレスに行われていることが多い。その結果、救出など出来ないケースが多いというのが、当該の記事の説明である。

また、寿命故障などになるとそもそも浮遊ゲートが死んでいることが多いため、セルに入れた電荷が入れた側から抜けてしまったり、電荷の閾値が大きく化けてしまってECCでは戻せないケースも多い。その状態では、例え読み出せたとしても、意味のあるデータとして使うことは出来ないだろう。


HDDなら可能な事がSSDなどのフラッシュメモリーでは出来ないのだ。

だから、容易と言われた時代は10年~15年ぐらいしかない。コンピュータの歴史からすればほんとうに少しの時間だが、パソコンが普及し始めた頃に使い始めた人から見れば、半分以上かもしれない。

それが、広告の騙し記事にのせられる人を作り出す。怖い話である。


<知らないだけで詐欺に遭うが……コールド保存メディアが個人向けでは不在>

しかし、世の中物騒になったものだと思う。この手の話、知らないと詐欺に遭うこともあるからだ。
データを取り出せるはずですといって、取り出せないけど着手量だけまんまと取られるなんてこともあるかもしれない。だから、大事なデータはバックアップすること、最低でもRAIDなどで冗長化しておくことが大事である。


ただ、それも限界がある。
正直、データは増えていくのに、アーカイブするストレージ(コールドアーカイブ)の個人向けメディアが不在だ。未だに、Blu-ray Discが最大である。100GB~128GBという容量で、3TBをバックアップするのに掛かる枚数は、100GBで30枚である。LTOのようなテープドライブが欲しくなるが、これらのドライブは恐ろしくお値段が高い。

そのため、多くのデータを持つ人はHDDやSSDのドライブ本数をアクティブアーカイブのまま増やしていく。確かに、すぐに見られて便利だが、現実にはあまり扱わないものも多く、使わないものはコールドに固めて、10年使わないなら棄てるぐらいでも良いものもある。ただ、アクティブで起き続けると、その決断が出来なくなる。

だから、貯まる一方で困り、そのうちバックアップドライブを付けることも面倒になっていく。

以前から書いているが、本当、個人向けの安価な大容量テープメディア(容量がTBクラスのもの)が欲しい。
それがあれば、大抵の人はそのテープドライブだけでシステムからデータまでの全てをバックアップ出来るだろうに……。敢えて、そういう低廉に普及させることが出来そうなメディアを一般に出さない辺りが、コンピュータ業界の限界と強かさを示しているようにも感じる。








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