消費税の現状を考える……1人当たり平均の負担額、下げることは出来るのか?

久しぶりにデータ記事である。
しかも、財政関連の記事である。こういうのもたまには良いが、これ纏めるのに結構な時間が掛かってしまった。主に文面整理と分析で……。まあ、他にももう一つこれとは全く関係ない仕様の記事を書いているのだがこちらは、未定である。完成度が低くて纏まらない。どういう記事かも書けないほど悲惨である。まあ、そのうち公開するつもりだが、ボツになるかもしれない。

こうやって時々、書きたくなる時期が纏まって来るのだが、全部が全部実るわけではないのが、不思議なところである。



実は2016年に以下の記事を書いたのだが、あれから時間が経って、今になって閲覧している人もいるようで、この記事が正しいのかどうかなどを今になって考えるようになった。
https://powerpro.at.webry.info/201603/article_21.html

考えて見ると、消費税がどれだけ徴収されているかは知っていても、1人当たりで幾らなのかとかちゃんと調べた事はなかった。そこで、そのデータを調べることにしたわけだ。

それが以下である。
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昨年の見込みでは1人当たり

約13万8861円の消費税を納付した扱いとなる見込みである。(後述するが予算なので見込み。)

一昨年(2017年度)は

約13万8224円を納付したことになる。これは決算なので確定である。

但し、消費税は個人だけの消費支出にかかるわけではなく、企業の購買でもかかる(後から一部還付が出来るが、基本的に企業も税の掛かるモノには税が必要になる)ので、全部が全部個人(一般の家計支出)から出ているものではない。それを理解して見て欲しい

各省庁で統計やら資料やらの偽装や隠しといった問題があるので、これが正しいかと言われると、信じるしかないだが、一応全て財務省と、総務省統計局が発行しているデータを元にしており、URLも掲載している。

それを元に、消費税額と、一般消費額(消費税を課税された消費額)を逆算し、
人口から逆算した1人当たりの年間消費額なども合わせて計算した。

データとして抽出した範囲は、画像記載の当該URLで2019年(令和元年)6月8日現在入手可能だったものを使っている。

<項目の説明>

では詳しく数字について説明しよう。

まず、人口統計は統計局のデータを元にしている。国勢調査の年はそのデータを元にしており、1人単位で数字が出ている。一方でそれ以外の年は、1000人単位となる。日付はその年度の10月1日現在(毎年5月発表)を元にしたものだ。人口は一番上の単位が1億である。

次に税収税法の項にある。決算・予算は執行状態を表す予算は、その年に要求している予算であり、実際に執行された額ではない。あくまで、想定している額だ。2018年の決算は調査時点でまだ出ていなかったので、予算を元にしている。他は全て補正も含めた決算(確定金額)であり、100万以下は四捨五入されている。その横が消費税率である。消費税収の上の桁は9~17兆単位となる。

税負担額は、1人当たり(赤ちゃんから亡くなる直前の人まで)の税負担額を、消費税÷人口で算出したものだ。負担増減率は、前年比の増加減少率である。


消費税対象消費額総額という項目は、消費税収から割り戻しを行って、実際に買った物品の金額を出したものだ。
内税の消費者が転倒で払った額と、税を除いて商品そのものの金額(価値)の2つを出している。
消費額の上単位は180兆~200兆単位となる。


1人当たりの消費額は、これを税負担額と同じように内税と外税で出したものだ。その年の全人口で割っているので、実際にどれほど1人の財布の紐が緩かったかが分かる。

CPI(消費者物価指数)は前年度比の%である。まあ、いわゆる物価上昇率だ。
消費税の項にこれを載せたのは、これを国内消費額の前年比と比較すると、1人1人の生活水準が上がっているか下がっているかが分かるからである。CPI物価が消費額より上がっているなら、基本的に生活は苦しくなっている可能性が高い。消費の増減率の方が上がっているなら、財布の紐が緩くなっており、沢山よいものを買おうとしていることを意味する。

但し、何度も書くが消費税は個人だけの消費支出に掛かるわけではなく、企業の購買でも掛かるので、その影響は計算していないことには注意が必要だ。まあ、その影響を加味すると余計に心配になるのだが……。


<苦しい家計の実態>

例えば、2018年度に物価上昇率(CPI)が0.7%上昇したとした場合、1人当たりの消費額が0.46%金額ベースで増えても、実質で沢山商品を買って生活は豊かになっているわけではない。実は-0.24%下がっていることになるという面白い計算が出来る。(まあ、CPIが物価指標の全てではないので、あくまで参考指標である)

2017年度は1%以上伸びているが、その前年が1%以上下がっているとか、計算していくと……消費者から見ると好景気という数字の危うさも見え隠れする。物価上昇によって確かに金額ベースでは前年より上がっていくのだが、人々の消費はそれに比べて増えないという現実が見えてくる。

即ち、賃金上昇率がそれに連動してないか、皆お金を使わず貯めようと必死と言うわけだ。

その結果、経済の数字は上がるが実際に物量として回る量や、回っている商品の質は下がっており、下がったものを探し選んで買っているという辛い状況を示す。

ちなみに、投資家や企業、及び当時の失業者(製造業関連の人)には嫌われているが、実は民主党政権時代の2009年~2012年の方がデフレの影響もあって、質の良い消費は伸びている可能性がある。こういうデータが出されることは今の日本ではほぼない。あの時代は常に暗黒扱いだが、私は円高の中での経済政策としては、悪くなかったと思っている。自動車など輸出業には苦しかっただろうが……あの頃の方が実は消費税を上げやすい環境であり、消費者側に立っていた可能性は高い。(あくまで、消費税などの観点ではということであり、政策全般では、良くも悪くもいろいろあったことは書いておく。尖閣問題後のレアアースの輸出規制とか……)

逆に言えば、日本は、こういう実態の総括をしない国になってしまっているのかもしれない。
国民より大企業や大口投資家に政治が向いていることを意味しているが、まあ、これが全て悪いとは言わない。これによって、一定の成長を維持しているのもまた事実であり、この成長というものが、日本の信用を維持しているという見方も出来るからだ。

ただ、後述するが消費税を10%に上げて良い環境かというのは……。私個人の意見を言えば、ダメだろうと思っている。


<消費税を5%に落とせば景気が良くなり、税収も増える?なんて嘘>


さて、ここからが重要だが、例えば消費税を5%に落とせば景気が下支えされ税収も増えるという話をする人がいるが、それは本当か考えて見よう。

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もしも、昨年度2018年に消費税5%にしていて、17兆5580億円の税収を得ようと思ったら、1人当たりの消費額は、291万6081円も必要になる。一言で言えば、1人100万今より金を使えということだ。
これは前年に比べて60%という内需成長が必要になる。1%や2%で苦労している中で、これはまず不可能な方法である。

逆に、有り得るのは上図3番目に記載している方だ。外税での1人当たりの消費額が173万5762円と2018年と同じ購買実績になるか、それより少し上向くパターンだ。この場合は、今より約6兆税が減る。まあ、よほどこれで景気刺激になり、5兆円減に留まると仮定して、法人税や所得税がそれをカバーするかというと、カバーしない。

まず、所得税は給与所得や雑収入が増えないと効果がない。日本の多くの人々は会社で給料を貰っているわけで、その給与所得が消費税減税したから増えることはたぶんほぼないだろう。そのため、これは殆ど変わらない。雑収入も株高ならとか思う人もいるだろうが、それほど額も増えやしないだろうし、何より日本の場合は内需より外需で経済が成り立っているので、外的要因次第で期待が持つとは言い難い。

一方で、法人税収は消費税より実は少なく12兆円~14兆円/年しかない。これが意味するのは、消費税を下げた減税効果があって、日本国内の売上げが数兆伸びたところで、5兆も増えないのだ。

即ち消費税を下げるという議論はまともな政治家や官僚なら誰もしない。する意味もないということになる。


そしてそれを、さらに逆手に考えると、消費税を1度充てにして予算組みをしてしまうと、今の低成長時代&人口減少社会では、もう2度と消費税は下がらないということも意味している。だから、下げるのは論外でも、上げるというのは慎重に議論していく必要があり、今まで税を使っていなかったことに対して、新設する目的で安易に消費税を上げるという発想をするのは好ましくないと考えないといけないのだが、まあ現状はそうなっていないのは、笑える。

では、ここからは消費税をもし、2018年にアップしていたらという前提で考えて行こう。


<2018年に消費税を10%に上げていたら……>


これも推定なので、あり得ないことだがまずは消費者が支払った消費額(税込消費額)が237兆(1人当たり187万4623円)と2018年の予算額と同じだったと仮定して、一体どれだけ経済や財政に影響を与えるかを考えよう。

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この場合、外税の物品の利益率(経済側の利益、内需)は、1.82%下落する。
一方で税金の負担額は13万8861円だったものが、17万420円までアップする。その結果、税収は4兆円近く増加する。経済は-1.8%犠牲になるわけだ。もしこれを消費のGDPに当てはめると、これがまるまる何らかの経済政策に使われない限り、GDPが総額540兆と仮定して、-0.7%マイナスになる。


これを2013年の実績に当てはめてより近づけると以下の表のようになる。(パターンは2パターン、範囲値で4集計)

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税収は19兆~20兆の範囲で2兆~3兆増す。一方で、商品販売額(企業の消費税対象売上げ)は196兆~207兆と219兆から一気に10~20兆下落することになる。これが、好景気の時期に行えばだいたい1年ぐらい続く。1年経過すると徐々に持ち直す。即ち、経済下落効果は最低で8兆となり、最大で20兆円(3兆が債務償還のみに使われた場合)落ちる。この範囲はGDP540兆円が標準として換算すると、年率1.4~3.7%の下落に相当する。

こんな計算になるわけだ。


<消費税が10月アップなのは何故?>


尚、10月にアップすると、駆け込み需要が9月まである。税金の集計は基本的に4月から翌年3月迄なので、間でやっておけば、駆け込みと、減退の両方を織り込むことが出来、見かけの財政事情が思った程悪くならないという理由が付けられる可能性がある。駆け込みが大きければそれが通る訳だ。

そして、10月から消費が落ち込み翌年の9月ぐらいまで続く、その後は景気が悪化していなければ前年同期比で成長が始まる。1年経過すれば、駆け込んだ人でも、その先食いによる消費停滞が終わり、買わざる終えない品も増えていくため、今まで通りに売れるようになる。

但し、不景気にこれをやると、翌年の10月を過ぎても景気が戻らない可能性はある。だから、消費税アップは好景気だと分かっているときにやるべきなのだ。


<消費税を充てにしているのは不味い>

ちなみに、このデータを調べる中ではっきりしたことがいくつかある。1つは、1人当たりの消費動向を見ると、金額ベースでは確かに消費が増え経済が上向いているように見えるが、CPIを加味すると、先に述べたようにちょっとマイナス傾向が見え隠れしているという現実もチラホラ見えるように感じることだ。

景気が良いのに、個人で見ると商品物価に対して、消費は節約傾向にあることが分かる。まあ、消費税は、企業も支払っている(企業の消費税は一部還付対象になっているものの企業も負担している)ので、設備投資などの増加から得られている分を加味すると個人消費はより厳しいかもしれない。

予想に反して、比較的良かったのは2011~13年というのも実はこれを出すまで私も知らなかった。消費も伸び、物価指数の伸びより、消費が高かったからだ。それ以降は横ばいか下降線で、金額ベースが増えたり減ったりという横ばいを示す。数字が伸びているから見えにくいだけで、物価連動の内需状況だけで見れば、2014年の増税でやらかしたままなのかもしれない。

消費額(外税の商品購買価格)も結構厳しい現状で、実は殆ど同じぐらいでホールドしていることも見えてくるので、消費者全体として、あまり消費を増やせない領域に突入しているのかもしれない。


ここで税を上げれば、確かに税を徴収する側は確実に数兆円の税収増が見込めて良いが……。外税での消費額が増えていくかというと、無理だろう。好景気が続いていれば物価の上昇に連動して、1年後から少し上がるくらいにはなる。現実はむしろ今だと下がり始めてもおかしくない。まあ、高齢者が減って行けば、1人当たりの消費は増えていくかも知れないが、さらに人口減少進む時期に入れば、それ以上に総額側の消費が減る影響も出てくる。

そこまで踏まえて、税金を増やすことだけでは無く、支出(歳出)を減らすことを国が本気で考えてくれなければ、話にならないが、それをやる気がないのが今の政治や官庁である。



<止められないドツボ>

今年最初のGDPが、殆ど公共投資に支えられている状況だったことは知られている。

経済の下支えが、古くからの公共事業や福祉活動になってしまい、それが、日本のGDP成長の結構大きなウェイトを占めるようになった。その結果、税を充てにして1度はじめた事を止めてしまうと、経済が低迷するという嫌な流れも生まれている。

それが、消費税の増税を止められない理由かもしれない。それが分かっていて、やり続けていれば今より景気が大きく落ちない限りは、暫く何とかなるからだ。

しかし、それが想定以上に下がり始めると、景気刺激策も打てなくなる。
経済政策でもっとジャブジャブ金を投入すれば大丈夫だろうと言うあなたは、甘い。

例えば、公共事業で4兆円の財政出資をしているとして、その事業を請け負う土建会社が日本全国から労働者をかき集めても、5兆円までの事業しか出来ないとしたら、倍の8兆円を予算計上して経済は潤い。労働者は増えるだろうかと考えると分かるだろう。それでは経済は成長しないのだ。ただ、労働者不足になり、4兆円で出来ていた仕事が5兆円になり、プラス1兆円分の仕事が部材や人材のやりくりを考えて2兆円で行われるかもしれない。そしたら残り1兆円が余る程度で、そこを新任の労働者や海外送金するような外国人労働者を利用して動かす……。

物価は上がるが、日本の景気が必ずしもそれで良くなるとは限らない。何故ならやっている仕事の量は殆ど増えていないからだ。物資も思った程使われないため、経済効果が薄くなる。

だが、公共事業を減らすと景気が落ちるなら、やるしかない。そんな経済である。
止められないドツボだ。

そして、日本で深刻な問題なのは、そのドツボが旧来の公共事業では無く、高齢者福祉産業や医療産業という部分に向いていることにある。福祉は1度始めると倫理感がウンタラカンタラと反発も多くなるので止められない。その上、福祉を削ればたいてい憲法等を理由にした訴訟になるので……1度始めて、その後止めると後処理が大変なのだ。
そして、その経済規模は今やバカにならない。

なのに、そこを制度的に未だに広げているから幾ら税があっても足りなくなる。もう破綻していると多くの人が思っていても、国がそれを段階的に減額しないのは、政治的な組織票はもちろん、景気も含めた市場の影響が大きいからであり、そこにメスを入れるのが怖いからかもしれない。

後は、あなたがその恩恵を受けたい側か、それとも健康だから受けなくても良いか?とか、自分に直結しているかいないかの差も大きいだろう。


<福祉やサービスを減らして税を今のままにするか?それとも……>

これからの選択肢は大きく分けて2つだ(間には沢山選択肢がある)。福祉やその他サービスを減らし、税を今のままか少し減らせる程度にスリム化するか?それとも、今後も福祉や医療を維持するために、税を増やし続けるかである。これだと2030年~40年頃までは少なくとも増やし続けることになる。

前者を取れば今の高齢者や中高年は大変かも知れないが(段階的に減らす政策になるので、全く死ぬような生活にはならないが、今計算上にあるような楽は出来ない。)、若い人は楽になるだろう。負担感が減れば、社会も上向きに考えるようになり子供も増えていくかも知れない。

後者を取れば、若い人は今後例えば、好景気でも税負担などを考えると、本当に好景気なの?と今まで通りに考えるだろう。何も変わらないが,何も変わらないから少子化も変わらないだろう。一時的にばらまいても、政策が手先足先でちょっと触った程度で、先が不安なら、意味はない。

まあ、これはあくまで持論であり、消費税の話とは直接関係しないものだが、医療費だけで見ても外来保健医療負担額を2年毎に1割アップで6割くらいまで段階的にアップするだけで、かなり効果はある。多くの人は6割までを容認するかはともかく、1割~2割アップぐらいなら仕方ないと思うだろう。(それでも半額保険適用があるので、薬局の市販薬よりよく効いて安いことが多いという逆転現象はまだ残る医薬品や材料は多い)、そういう部分に誰も議論の歩調を向けないから、消費税は上がり続ける訳だ。悲しいことである。


<税を考えるのは大事だが税だけで良いのか?>

もし、対応するなら消費税しかない?本当にそうなのかは考えるべきだ。今財政を圧迫しているのは、社会保障費だ。個人的な意見だが私は医療費の方は保険診療負担額を3割から4割または5割ぐらいまで見直せば、かなり改善するだろうと思っている。

90年代まではそれをやって来たが、それを2000年代からやらなくなったことで、財政はどんどん逼迫していく。これだけで、消費税を下げられるかは別としても、今を維持できるだろう。

そういう手もあるわけだ。あくまでこれは一例だ。もちろん、○○税を別に新設してそれを使う手もある。
国が行う政策を減らす手もある。こういう広い目線が求められるほど、消費課税前の支出は思った程伸びていない現実にもっと政治も、官僚も目を向けないと、いくら教育無償化をしても子供は増えないだろう。

金額ベースで成長しても、物価がそれ以上に上がっているなら、庶民の生活は苦しくなるからだ。経済にはプラスでも……。

社会経済は本当に複雑怪奇になってしまったんだなと思う。まるで、シーソーゲームやモグラ叩きのように、あっちを弄ればこっちがおかしくなるかなりそうだという状況が……。

だから、嘯くしかなく、最近の話で言えば、そんな報告書認めないとかいう国になるのかも知れない。

本当はそれはそれで受け入れて、どうすれば解決するかを議論するのが政治だが、議論もしない国だから、自分に火の粉が掛からないならそれでいいのだろう。そして、世の人々もそれで良いと思っているとしたら、末期的だ。











この記事へのコメント

Yura
2019年06月15日 13:42
高齢者福祉や医療ばかりになってしまうのは、若者の選挙投票率が高齢者よりも低いのが原因だろうと考えています。
高齢者が若者以上に投票してくれるから、政治家も高齢者寄りの政策ばかりしてしまう。

若者が選挙に行かないのは、白票=悪という固定観念のせいじゃないかと思います。
白票=悪ではないということを広めて、若者を投票所に行かせるようにしないと、若者の声が拾われません。

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