5Gスマホ試作機登場……3,276.8‬Mbpsという箱の中の速度と5Gの未来。

AV Watchの記事である。SHARPが発表した5G試作機の話である。この速度をメガビット換算すると3276.8Mbps(2048MB÷5秒÷8bit/1byte)となる。メガバイト換算だと409.6MB/sである。

https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1183327.html

これ実は実用では現状で実現できない速度だ。テスト環境だから出来る速度と言うことだ。
理由は簡単だ。まず現実の基地局では干渉波が必ずあり、減衰率が高いからである。そのため、これが最速だと仮定した場合、信号状態が最良の環境で基地局の入出力装置と一対一の通信をすると仮定して、この6割~7割がせいぜいだろう。即ち、毎秒200MB/s以下になるということだ。


但し、一対一でこれほどの通信強度があったとしても現実には、インターネットでそこまでの速度を実現するのは、各キャリアのスピードテストでも困難かも知れない。これはボトルネックが、既に電波ではなく基地局の先の回線やサーバーにあるからだ。即ち、最大速度という面では既にスマホにとってオーバースペックどころではなくネットワーク全体から見ても無線が既にオーバースペックなのだ。1つの通信で3Gbpsオーバーの回線スペックを維持できる商用通信ケーブルは少ない。何せ、大半は主幹でも100Gbpsの相互2回線(バックアップ系統を1回線もつ2線方式)である。

これはあくまで主幹の話であり、大抵の回線は1~10Gbpsである。その回線に1人当たり3Gbpsが乗っかられると、電波が幾ら高速でも、バックボーンがパンクする。これは、自宅で光ファイバーの回線を使っている人なら分かるだろう。1Gbpsや10Gbpsのサービスを使っているからといってそんな速度が出るコンテンツサービスはほぼ皆無だ。


では、何故それでもこの速度を凄いとアナウンスするのか?

単純だ。企業イメージの向上のためである。知らない人はこれが出てくるだけで欲しくなる人も居るかも知れないからだ。しかし、多くの人は既にこれにポジティブなイメージを持ってはいない。むしろ、ハードが高いだけで……そのうち、まだ使える4Gスマホが強制的に5Gにされるのかなとか思うレベルかもしれない。

本当の意味で心から、これを喜ぶのは、設備投資をするキャリア(NTT、KDDI、ソフトバンク)だ。帯域幅が増えれば増えるほど、機器の切替接続(交換処理)が容易になり、少ない基地局で接続出来るセッション数が相対的に増やせるからである。上手く配置すれば基地局を減らすことも出来るかも知れない。そうすれば投資コストは長期的に抑えられる。

消費者にとってメリットがあるかというと、定額サービスが本当に行われるのかなど、そういう部分が分からない限りは何とも言えないだろう。まあ、5Gだけ定額になっても、実際に5Gエリアがすぐに広がるかは微妙だ。5Gの最大速度が活かせるのは高周波数帯域かつ広帯域周波数であり、低周波数では期待するほど速度は上がらないからだ。

4Gを全てTDD-LTEベースの5G互換に置き換えればもう少し速度は増すだろうが、それはまだまだ先の話だ。


高周波数帯域は、壁などの反射や透過性能が低いため、減衰率が高いという点もあるため、開けた場所でなければ、圏外になるのも5Gの高周波数帯域における弱みである。これはWiMAXを使ったことがあれば分かるだろう。あれよりも高い周波数も5Gでは使えるため、簡単にはいかない。

SHARPのテスト機を見ると分かるが、今はまだ筐体がデカくなる。これは、基地局まで信号を伝えるための出力を維持する装置(RF/モデム)がまだ大きく、きっと消費電力もそれなりに大きいからだと思われる。これが、熟れるまで1年~3年はかかるだろう。(ちなみに、4G LTEは2年ほど掛かった)

ちなみに、5Gの本来の消費者への売りはスマホでも速度でもない。速度しか数字で示しやすいものがないから、速度で示しているに過ぎない。


<5Gの強みは速度ではなく遅延>

5Gで最も大きな利点は、遅延(応答にかかる時間)の少なさだ。呼んで答えるまでの早さ、呼応時間が短いため、リアルタイムに繊細なコントロールや情報処理を求められる用途で利用できるようになるということを意味する。

これが、クラウドでの演算を利用したロボティクス産業(機械工学/ロボット関連事業)や、計測機器、遠隔手術、MR(混合現実)の街頭での実用化、自動運転などの発展に使えるとされる。

これはいずれも、我々消費者が直接的に大きなメリットや楽しさを得られるかというのは別として、そういう技術を作るメーカーが頑張れば、それらがより簡単に正確に確実に実現できるようになるというものだ。

特に、リアルタイムでこれらの制御が出来るようになるというが重要で、今でもこれらの技術はある訳だが、実は今でもこれらの技術があっても使えない産業はあった。それらの産業が日の目を見る日が来るかもしれない訳だ。後は、それが儲かるかどうかだけだ。


では、スマホの製品化は意味がないのかというと、スマホにも意味がある。
端的に言えば、スマホはそれらの製品に応用するまでの入り口の技術を多く備えることになる。スマホという商品でまず市場に流通させテストさせ製品コストを下げて、IoTデバイスにそれぞれそこから派生した技術を必要なモードで盛り込んでいく。全部ではなく、切り取って実装していくわけだ。


だから事業者としては、5Gなど要らないと言われても困る訳だが、消費者から見れば今までのスマホに比べて凄く欲しいものだと感じない人が圧倒的に多い。なかなか売り込むのは難しい状況にあるという訳だ。これは、テレビ放送の4K8K放送に似ている。

要は、メリットがあるのは分かるが、そのメリットがお金を出してまで積極的に買いたい代物ではなく、買い換える時にそれが安かったとか、それしかなかったら買うぐらいの代物な訳だ。これを、消費者が何としても欲しいと思うまでに興奮させるには、それでしか出来ないことで、且つ消費者が何としても欲しい「便利そうだ」と思うものを出さないといけない。

大事なのは、画質、音質、速度などではなく今不便に思っている部分を「便利」にすることである。

だから、5Gは無制限定額でお安いみたいな売り込みでもしない限りは厳しい。
NTTドコモなどはそれを計画しているようだが、今の料金プランを見る限り、オプションで1000円とか足すやり方だろうから、なかなか簡単にはいかないかも知れない。結局、2000円前後で2GB/速度制限時1MbpsなどのサービスをするMVNOがあり、それでも十分だと思う人も多く居る訳で、基本料金そのものが安いことを求めている人から見れば、ただ定額で高速だというだけでは消費者は必ずしも付いてこないからである。


5G投資は進んでいるが、本当に5Gが4Gや3Gのような大きな利益をもたらすかは分からない。それは、4Gの初期まで続いた低価格化の流れとは違ってインフラ側はプレミアムな高価格路線を維持しようと必死だからでもある。契約者数の伸びもそれほどない今、これに掛ける思いが消費者の願いや企業の願いの通りになるかはこれから出てくる5G 対応のIoTデバイスに人々の心を揺さぶるものがあるかどうかと、キャリア側が如何に低価格プランを打ち出せるかに掛かっている。









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