JOLED、INCJらから総額255億円の資金調達……驚きの少なさ!

CNETの記事である。産業革新機構系が噛んでいるのでこの程度なのだろうが、ちょろちょろと垂れる程度しか出資しないなら、傷が深くなる前に撤退した方が良いのではないかと、思ってしまうのは、JDIがあれだったからだ。

これも最終的には中華系に食われそうな予感がする。
https://japan.cnet.com/article/35135419/


<技術を生かすのか、殺すのか?>

例えば、SHARPがなぜ再建出来たのかというと、液晶事業と家電事業などの全てのシナジーをSHARP内に残した状態で、大きな経営改革を行ったからである。また、今でも攻めの姿勢を貫き、投資も相応に行っているからだ。

JDIが失敗して外資に身売りされてしまった原因は、今の富士通クライアントコンピューティングリミティッドと似ている。端的に言えば、庇護下にあることを望み、親会社が望む製品しか作ろうとしないからだ。

自社で開発したパネルを、量販店に置こうとすればJDIも庶民や市場から評価されたかも知れないが、そういう組織としての新しい市場開拓をしなければ、売れるようにもならないし、個人投資家などが投資したいと興味を持つこともない。既存の利害関係者を超えることが出来ないままに、利害関係者(ステイクホルダー)が飽きたり、失望したら点々と身売りを続けることになる。

しっかりした売り先にたどり着くまで、不安定な状況が続くだろう。下手をすれば、会社が細切れにされるかもしれない。その状況を作っているのが、産業革新機構系列の投資法人だろう。何だこの金の出し方はという大きな水面に僅かな水を垂らす程度の投資をして、大きな見返りがあると思っているのなら、やらない方がよい。

それが、成長すると本当に思っているなら、相応に大きな投資をしなければ、利益は出ないのだ。

もちろん、少し儲けが出たらすぐに売却したいと言うなら別だ。投資法人にはそういうスタイルの事業者もある。ハゲタカなどと揶揄されるファンドだ。それらは、事業の当面の利益ではなく、短期で上向かせ、投資家がこれは成長するかもと思ったタイミングで売ることで、利益を出すのだ。

革新機構は本来革新をさせるためのエンジンのはずだが……。ソニーから求められたから、あまりやりたくないけど、渋々やったとかじゃないよねと聞きたくなる。それをやったら、本当にソニーなどの企業が見込みがないと見たタイミングでJDIと同じ流れに変わる。体よく、国費を元々の原資にするファンドの金が大手に使われるだけだ。


<有機ELはJOLEDでなければダメなものがあるのか?>

というのは、なかなか難しい。RGB印刷技術を持つJOLEDの有機ELは世界でも初だが、現在主流の白色OLEDをRGBフィルターでフルカラーにする方式が使われ始めた理由は、輝度変化が起きにくいからだ。R、G、Bで有機ELでは異なる素材が使われる。
有機素材は、実は太陽光線などに含まれる紫外線(パネル内はUVカットされている)や、酸素などによって徐々に劣化していくが、使っていても劣化は進む。その速度がR、G、Bで異なるため輝度の下がるタイミングが、3色で変化する。輝度半減が早い物と遅い物では2倍ぐらい差があるのだ。

そのため、同じ素材に統一しRGBフィルターを噛ませることで、輝度半減期を同じにした製品が今は主流になった。
JOLEDでも、きっと白色版を製造すると思うが、売りはRGB印刷で、フィルターレスである。そこで、大きく成長するのはなかなか難しい。

それも、売りにするにはまずは今主流のステージである程度のシェアを獲得し、軌道に乗せることと、JDIではやらなかった一般向けの販売もJOLEDブランドで行い知名度を上げることだが、ソニーが噛んでいる時点で難しいかもしれない。ソニーが自社で販売するテレビなどにTrinitronやExmorのようなJOLEDのブランドロゴを付ければ別だが……JOLEDはJDIと生い立ちが似ているので、やらないだろう。

本来なら、もっとしっかり最終製品でも示せるぐらいのブランドを前面に出させばよいのだろうが、そうなってくれることを望むが無理っぽい。


<既に周遅れで終わりが近い恐れもある有機EL>

尚、既に周回が何周か遅れているのが日本のEL事業である。当初は最先端で携帯電話で最初に有機ELを使ったのは日本メーカーだったはずだ。カラーもモノクロも……。テレビも世界初はソニーだった。
しかし、その後はダメダメになった。

そして、今になって再びという話だが、これが吉と出るにはかなりいろいろ問題がある。実は既に多くの次世代ディスプレイ研究ベンダーは、ELの投資を抑えつつある。もう、市場の勝敗は決しつつあるからだ。SamsungとLG、廉価は中華系だ。そこに入り込む余地はない。

その一方で、ポストELはソニーがやはり製品化したCrystal LEDの延長線上にある。いわゆるμLEDディスプレイやnano-LED Displayである。輝度劣化も恐ろしく少なく、液晶(LCD)と同等の6万時間ぐらいの寿命が確保出来る。小型化出来れば、量産も容易と思われる。なぜなら、発光ダイオード(pn接合半導体)の集まりである。効率的な製造ラインと、小さな色ドットの製造を歩留まりよく簡単にできる技術さえ確立すれば、量産はすぐに始められ、生産が多いほど製造コストは下がるため、莫大な利益を生むだろう。

簡単に言えば、もしどこかのメーカーがこれを最初にスマホ向けに開発すれば、その段階で折り畳みモデルを除く、有機ELの時代は終わりを告げる可能性の方が高い。

だから、金額が少ないという考えも出来ないことはないが…旨みがあるようにも見えない。

個人的には、JDIの方がまだ旨みがあったような気がする。FULL ACTIVE FLEXなどJDIにしかなく、有機ELほどではないが、曲がる技術だったのだから。液晶の欠点は大幅に減らすこともできたが、それを使った製品は思った程開発されていないようだ。
ここで、結局足りないのは、その個々技術があっても、それを使う最終製品が日本には生まれてこなくなったことなのかも知れない。






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