離れるIntel、和解するApple、勝者Qualcomm。

17日早朝、(現地時間16日)に発表された、AppleとQualcommの和解と、Intelのモバイル向けLTEモデルからの撤退のニュースは、市場からは総じて好感された。正直、AppleとQualcommの訴訟は、この2社にとってデメリットだったからだ。一方で、Intelにとってもメリットは薄かった。
投資家は、5Gからの撤退を望んでいたとされる。

結局は、Appleしか顧客もおらず、Appleだけ相手だと買い叩かれるのが落ちだ。利益が見込めないことは、Intelも理解し、そういう発表をこれまでずっとしてきたからである。まあ、実際にはそれだけではなく、Intel側にとっての理由、政治的なものなど、いろいろあったのだろうと思われる。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1180547.html


<誰が最大の勝者か?>

この3社の中で明確な勝者を選ぶとすれば、それはQualcommだけである。特許の問題も和解によってAppleが料金を支払うことで合意し、5G関連の知的財産はAppleより、Qualcommに集約される。Qualcommの優位性はこれで揺るぎないため、Appleから買い叩かれることも少ないだろう。

これが、勝者である。

<敗者は……>

ちなみに、敗者はAppleとIntelなのかというとそうではない。最終的に、これによって敗者となるのは、消費者だろう。Qualcomm一社に集約されれば、LTEモデムの単価は上がる。価格競争がなくなり、寡占化が進むからだ。その分、商品価格(LTEモジュール価格)に転嫁される。

最終商品が、LTEモジュールのせいで目に見えて上がることはないだろうが、50セントから1ドルでも、部品単価は上がるかも知れない。

投資家の思惑からすれば、これはQualcommの稼ぎが増える可能性に繋がるため、メリットだし、Appleも訴訟を続けるより、その訴訟をさっさと終わらせて、製品の安定共通化に努めた方が、遅れている5G関連デバイスにおいて、良いものが早く投入される可能性が高まるため良いといえる。

Intelは言わずもがなで上記したとおりだ。まあ、詳しくは後述する。
即ち、企業はどれも今の段階でマイナスな要素はない。あるのは、消費する側が、将来的な価格競争を見た時に、部品の価格競争が起きないため、値段が上がっていく可能性があるというだけだ。まあ、もちろん、今後も台数ベースで伸びが続けば、大量生産による価格下落効果が望めるが、少なくともスマホでその見込みはないだろう。


<何が起きたのか?を考える>

ここからはIntelの話が中心である。
何故Intelは撤退することになったのかを考えると、投資家からそういう突き上げを受けていたのも確かだが、米国の政治的な思惑もあったのだろうと思われる。トランプ政権と中国の習政権とのIT分野での対立である。現在、欧州や日本企業は、先端ソフトウェア開発やハードウェア開発で、中国の技術を使うことが増え始めている。

トランプ政権前の以前に比べて比率は増しているとされるのだ。これは、トランプ氏が米中対立を加速させるほど、加速しているという噂もあるほどである。何故なのかというと単純だ。トランプ政権前までの欧米や日本などに学習しに行く人の多くが中国人だったからだと考えられる。

米中対立が起きた時に、その中で米国という国で学んだ人が、本国に回帰するのだ。
すると、中国でイノベーションが起きるため、そちらとベース技術で組む企業が増えるのだ。シリコンバレーが中心だったのは、今や昔の話である。これは、今後、不法移民の強制送還後にも、何か違う底辺層のイノベーションが、中米などで起きてきてもおかしくはない。

話を戻すと、そういう米国の現状を考えたときに、自国の中で最先端を持つ企業同士が争っていると、より疲弊するという、現実が政治的に働いたというのも、市場では見られている。


もう一つ、これはIntel自身の問題でもある。

これは今利益が出ていないことも含めて、たぶんかなり影響しているはずだ。

この1つの中にはいくつか原因が含まれている。

14nmの製造ラインが未だにフル稼働状態で不足しているという状況が続いている。そのため、実は無線チップの納入先が殆どAppleだけなら、Intelにメリットはない。無線モデムは欠陥があった場合に、機能を止めてランクダウンする要素が少ない上に、それが仮に出来たとしても、単体でモジュール販売されるケースは少ないからだ。OEMで組み立てメーカーに送られ、そこで取り付けるのが一般的で、それも無線の電波特性から、各国の規制に基づいたテストが必要になるからだ。(これをやらずに無断でやると違法無線となる国が多い)
即ち、今の段階で利益が出ないというのは、当然の結果と言える。たぶん、今使っているモデムチップは14nmのIntelにとって量産先端プロセスのはずだからだ。本来なら、去年の段階でこの先端が10nmで、モデムが14nmだったなら、きっと現段階では、今ほどは悪くなかったことだろう。

元々Intelは、最先端ノードでCPUなどの高付加価値かつ、歩留まりが悪くても、機能を停止すれば廉価版として売り出せるような製品を製造し、技術が熟れ、製造ラインの建設コストを完全にペイしたラインで、チップセットや、周辺半導体などを作ってきた歴史があるからだ。
しかし、昨年それが出来なかった。それが痛手となっているワケだ。


そして、次の10nmで製造される5Gチップは2020年に出荷の予定である。それが上手く立ち上がるのかどうかという点と、もう一つ10nmをいつまで続けられるのかという問題の2つも影響している。

実は、2020年になったその頃、TMSC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.)は5nmが最先端量産プロセスになるだろうとされている。実際に、既にテストレーンの5nm製造棟は完成したとされ、量産はまだ先だろうがIntelより1世代から1.5世代先を進んでいく。

元々Intelはハイパースケーリングで10nm世代を他社の7nmとしていたが、現在の10nmはハイパースケーリング換算だと11nm~12nmだとされ、TMSCやSamsungで考えると、10nmより少し進んだハーフノードプロセス、8-9nmであると考えられる。Intelの10nmは他社の7nmと言われていたが今は、それがより複雑になり、他社でいえばハーフノードになったのだ。

ここにTMSCやSamsungが5nmで投入してくれば、Intelのハイパースケーリング世代で7nmと同等になるわけで、結局遅れは取り戻せない。


そこで、Intelは10nmにどれほど投資し、7nmをいつ始めるのかという話題が出てくるのは必至だ。
きっと、2020年は投資家にその話を始めないといけない。その時、2020年から10nmの先端ラインで5G向けの上記したような歩留まりの悪いLTEモデムを一社だけを中心に納入しますという売り方をして、投資家の許可を得るのは難しい。

むしろ、10nmはそこそこに7nmのアピールを始めなければならないとしたら、10nmのラインは急いでコスト回収して、チップセットなどのペイに向けるか、10nmそのものを段階的に7nmに転換し、今大量に投資して動かした14nmを延命させて回収した後、先端が最終世代と考えられる5nm(ハイパースケーリング世代換算)になるタイミングで、10nmをスキップして7nmに移行するのが好ましい。

LTEモデム等を10nmで量産している場合ではない。

そのように考えた場合、AppleがMediaTekやSamsungの5Gモデムも検討しているという噂も、いくつか出ていたが、その理由も見えてくる。Intelは5GモデムをAppleのために開発はしていたが、昨年のどこかのタイミングで無理だと打診したのだろう。やるなら、もっと高いロット単価で取引するか、数量を限定するか、量産を遅らせることを求めたと思われる。


それに対して、AppleはSamsungやMediaTekなどにも、Appleの要求通りの製品を製造(開発)できるのか確認した可能性がある。しかし、どの業者とも数量や製造計画で折り合えなかったとすれば、戻る先は既に技術を開発し終えて、製造を始めているQualcommだけである。まあ、現実を言えば、もう一社作ることが出来るメーカーがある。

それは、米中にとって摩擦の要因となっているHuaweiである。Appleがここと組むことは今の政治ではまずあり得ない。だから、和解することになったとしたら、噂が出たMediaTekなどの情報の回収も出来そうだ。


<もしもの話>

ちなみに、もしHuawei問題がなければ、AppleはHuaweiと組んだのか?は分からない。今回は交渉もしていないだろうが、もしもパラレルワールドがあって、クリントン政権で今ほどHuaweiの問題がない世界なら、AppleとHuaweiという世界があったかもしれない。

政治や社会、個人情報などの問題、感情の問題を考えないなら、そちらの方が技術革新(イノベーション)という観点では、可能性が高くなる。まあ、これはあくまでもしもの話である。

まあ、他にも可能性は沢山あって、Intelがもしも10nmを最初期の予定通りに進めていたなら、IntelはIntel AtomにLTEモデムを統合した製品を、PC向けに出していた可能性は高い。今、Intelの半導体プロセスノードは7nmのハイパースケーリングで他社で言えば、5nmに達し、7nm~10nmで製品をラインナップし、Appleには10nmで5Gを提供できていた可能性が高いだろう。

もっと言えば、QualcommをIntelやBroadcomが買収していた現在だってあった。特に、QualcommをIntelが買っていれば、和解とかそういう話ではなくなっていただろう。

今に繋がる選択肢は、選択していった過去の延長線にあるわけで、この先もそれが続いていく。今を悲観するだけでは意味がなく、未来に対して何をすれば良いかを考え提案することが大事だということでもある。


<この先の各社>

今後、Intelはモバイル5Gからは一端離れていく。ただ、今後戻ってこないとは限らない。入る余地があると判断出来る市場が見つかれば、戻ってくるだろう。今後Atomにでも統合してUFS対応させれば、今でもまだQualcommのSnapdragon Compute Platformと十分戦えるからだ。ただ、今はその余裕はない。その余裕が戻ってくるのかが、期待される。

Appleは、これで一時的にIntelに移っていたモデムが再び、Qualcommに戻り共通化される。ここ数年、一部機種と地域向けを除いて、Intelに移っていたが開発コストを考えると、これは短期的にはAppleの製品にメリットを有むだろう。中長期的に考えると、中途半端にIntelモデムがあることが、Intelモデムを内蔵した製品の保守にどう影響していくかが気になるところだ。
逆に、これが計画キャンセルされたというiPhone 2 SE開発復活を試すものになる可能性もある。今後、そういう流れを生み出すかどうかが、期待される。

Qualcommは、今回は勝利した。しかし、これから先もそれが続くのかは分からない。Huaweiは、米政府の後押しもあって、抑え込まれたことで、大きく伸びていないが、HiSiliconブランドで開発しているチップセット(SoC)の技術は、価格との兼ね合いで見ると、性能は下でも、利用に当たっての必要要素では十分に対抗しうるものとなっている。それが、今後の米中協議の行方によって変化する可能性も、さらに今はまだ見えぬ他から生まれてくる可能性もある。既に、モバイルプラットフォームは、最先端最高速ではなく、如何に値段と先端とのバランスを取るかにシフトしているのだ。だから、先は分からない。








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