微妙なDynabook30年記念モデルと、モバイルらしい進化を示すVAIO SX14

昨日は東芝からSHARPに親が変わったDynabookの新製品と、VAIOの新製品発表があったが、

VAIO SX14はそれほど凄い基本スペックではなく、大人しい仕様ではあったが、4KディスプレイやUSB Type-CによるPD給電充電もサポート(電源端子も別にある)するという、ビジネスノートとして使う上でちょっと嬉しい心遣いのあるPCを発表した。
最廉価を除けば、メモリーが標準8GBに達しているのは当然だが、ただ軽いPCを目指さなかったことはかなりポイントは高い。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1163804.html

ちなみに、USB PD充電が出来ると、PC用電源アダプターをType-Cのスマホ急速充電器と共用できる。電源アダプターはたいてい250~300gぐらいあるものが多いので、結局、旅行カバンなどに入れて持ち歩くと、700gのPCでも1kgを超える訳だ。そう考えたときに、1kg前後でPD対応というのは上手い選択であるといえる。

そういう点を加味すると面白い。ただ、最上位は4Kディスプレイである割に、GPUが微妙だ。これで、最上位だけでもCore i5-8305G辺りのKabyLake-Gだったらとも思うが、TDP枠には収まらないだろうから、せめてCore i7-8559U(TDP28W/cTDPは20W~35Wぐらいかな)ぐらいをクロックを調整して何とか載せて欲しかった。ちなみに、SX14のCPUはTDP15W枠(10~25W)である。

それから、バッテリー容量が少し少なく持ち時間が上位ほど短いのも気になる。まあ、Type-C PDをサポートしていると言うことは、スマホに使うPD対応のモバイルバッテリーも使える訳で、それを上手く活用すれば良いだろう。これも、強みになる。



Dynabookの30周年記念モデルは、たぶん売りがMIL-STD-810Gと軽さ、バッテリー寿命が売りなのだろう。
ただ、重さが、779gと富士通やNECが同じレノボグループ内で競っている重さ競争に参入するのというのは、あまり得策とは思えない。軽さは確かに重要だが、この重さ競争に入る3社は、総じてメモリー容量が4GBを半数に残し、しかも店頭モデルではその殆どがメモリー4GBとなっているという信じられないほど酷いスペックを維持している。

これで、NVMeやSATAのSSDを使っているから余計に質(たち/しつ)が悪い。素人さんに売って、SSDの寿命を下げ、買替えを早めにさせるつもりかと言いたくなる。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1164816.html

過去にも何度も書いているが、Windows 10はメモリー容量が3.5GBを超えると、Creators Update(1703)より後のバージョンからsvchost.exeがサービス毎に分離して起動するようになった。そのため、メモリーが4GBしかない環境では、高い確率である程度の仮想メモリー(ストレージ上に仮想的なメモリー領域としてPagefiles.sysを作成する)を起動直後から利用する。

東芝系のメーカー品だと標準で入っているソフトウェアも結構あるため、100%の確率で最大コミットチャージが5.3~6GBにはなるだろう。

仮想メモリー自体はどのPCでも無効にしていない限り作られており、常時予約されるため、悪いことではないのだが、SSDは書き換え回数の限界があるため、ここを頻繁に使うとメモリーが十分にあり仮想メモリーにあまり頼らない環境よりSSDの信頼性は早く下がっていく。

しかも、SSDはウェアレベリングでアドレス隠蔽することで欠陥の発症を抑えているため、空き容量が減るほど信頼性低下は早くなる。だから、メモリーは不足しない程度に最初から搭載しておくべきなのだ。Windows8.1頃まで、メモリー8GBモデルが多かったのはそれが理由だった。これが大量に使われると、動作も鈍くなったからだ。

ただ、SSDではそこに厄介な点がある。SSDはランダムアクセスがHDDより格段に早いため、恒常的にメモリー不足の状態でも、利用する側は気が付かない事が多い。特に、NVMeなどSATAより数倍高速な接続だと、4GBでもメモリー不足には陥っていないと思いこむことが多いのだ。
結果的に、ストレージの書き換え寿命を短期に全うさせることになる。

これを、富士通、NEC、東芝ブランドのPCは悪い方向で使ってしまい、主に玄人からの評価を劇的に落としているのが昨今の状況である。一方で、VAIOや、Panasonicは素人さん向けに価格対抗上の4GBモデルを残しているが、主に玄人やビジネスで拘る人向けであるため、メモリー8GBを標準ラインのままとしている。


ここを今後SHARP主導になってからどう変えていくかは課題だろう。

特に、性能の割にお値段がちょっとというのは気になる。LTEもサポートしていないし、法人向けは指紋リーダーをオプション(+5000円)で取り付けられるようだが、一般向けのスペック表には顔認証を一部でサポートしているだけに見える。この辺りも、屋外に持ち歩くことが多いであろうモバイル、ビジネスノートとして見ると落第点である。学生さんが課題などを処理するのに、持ち歩くなら良いのかも知れないが……。


この辺り、VAIOは良く考えているなと思う。狙っているのが間違いなくビジネスマンやそれに近い使い方をする人である。パソコンの電源アダプターを持ち歩くと200~300gあるから、それも省きたい。モバイルバッテリーをスマホと共有出来るし、それを加味すれば持ち運ぶものは減少する。LTEを内蔵することで、モバイルルータやテザリングも必要なく、格安のMVNO-SIMを手持ちのスマホとは別に挿しとくか、会社名義のSIMがそのまま使えるだろう。
1機種を除けば、メモリー8GBでサクサク動き、認証にも指紋や、Webカムも選べる。ビジネスを良く研究している。


一方で、東芝は確かにバッテリーは長持ちするが、電源は専用アダプターと思われる。軽量でも出張などでは、添付の電源ケーブルが必須になるだろう。屋外でネットをするなら、LTE対応のモバイルルータか、スマホのテザリングを使う必要がある。これらは電源をPCとは別に喰らう。まあ、だからPCバッテリーが大きいのかもしれないと前向きに行くしかない。
生体認証を使うならWebカムが前提だろう。指紋は原則オプション(法人向けでは+5000円)のようだ。そして、メモリー4GBが半分を占め、ストレージはメモリーが少ないのに高速なNVMeを採用している。先にやるべきは、メモリーを全製品8GB以上にすることだろうと思うが……。

という形で差は、歴然となる。
いや、決して東芝の製品の全てを悪いとは言わない。実際に、あの軽さで、バッテリー性能はIGZOのお陰もあってか良いし、省かれがち有線LANもあり、何よりMIL-STD-810Gに準拠しているのは個性として良い。Al-Mgボディーも良いと思う。しかし、致命的にスペックバランスが悪い。そして、VAIOと販売発表が重なったというタイミングもまた悪い。(これがなくてもたぶんスペック面での私の評価は悪かっただろう。PCでメモリー不足は目も当てられない。)



しかし、とても単純にメモリーを8GBにするだけだというと、昔は大手だった国内メーカーがこぞってこんな状態になり続けていて、唯一国内大手から外れスピンオフされたVAIOと、PC市場ではそうでもなかったPanasonicが、そこそこの玄人向け製品を出せるのは、皮肉なことだ。

これは、狙っている(買ってくれる)消費者の差と販売チャンネルの差なのかも知れない。
前者は、基本的に玄人素人は関係なく、満遍なく売っていた店頭モデルを重視していたことと、販売数量が元々多かったことが響いているのだろう。VAIOのように一気に事業を切り離し縮小された事業とは違い、大きな事業が徐々に撤退して残ったことで、原価率が悪いのだろう。その結果、なるべく部品をケチって、高くした製品を売りたいというのが最初の考えだったのだろうと思われる。そうすると、徐々に玄人は逃げていくため、素人向けに安くて、性能の低い製品で且つ、遅くは感じないものを作るようになる。なるべくコストを抑えて。それでは、玄人は帰ってこない。

最終的には初心者相手から抜けられなくなった。法人も大規模が中心で性能など二の次でもよい大量に売ればよいのだ。NVMeの製品を出したのは、きっと東芝のストレージ事業がグループにあったため、ここでのコストが抑えられるからだったのかも知れない。ある意味では個性だが……。この個性とこれから話す個性は似て非なるものだ。


後者は、基本的にある時点(または最初-2度目にPC市場に参入したとき)から個性が売りだった。ビジネスに特化していたり、エンターテイメント性やデザインを重視して開拓してきたのだ。その結果、今になって大手が壊れてくると、それを維持してきた流れが、相対的に玄人を中心に評価を得られる形に至ったのだろう。まあ、これが本当のPCメーカーである。


ただ、Dynabookにとってこれは始まりであり、終わりではない。
Dynabookはこれまで東芝だったため、30周年モデルまではその流れを完全に止められなかったと考えると、妥当か、以前より良いものを作ろうとしているのは確かだと考える。ただ、ストレージで東芝を液晶でSHARPを採用するだけみたいな売り方を今後も続けるなら、たぶん評価は出来ない。東芝を脱して売れるために必要なのは、そこではなく、誰に向けてそのパソコンを売りたいか、どういう使い方を前提に開発したかである。

音と映像に拘ったPCと富士通などで出されるPCは、映像を扱う(本来映像をPCで扱うとは編集などのエフェクト処理などでも十分な性能があることが重要)には貧弱なGPUと、オーディオを扱うには貧弱な、オーディオチップ(筐体内コンデンサやオペアンプを含む)を搭載するとか良くあることだ。

それが、玄人から見れば失笑になり、幾らプロのレビューでそこを回避する記事を書いて貰っても、徐々に一般の消費者も玄人がダメだと言い始めれば、離れ始める。そういうものだ。自社の技術グループ(資本関係のある会社)の技術をコスト削減や性能の一押しに使うのは良いが、それがコスト削減の際に欠点になり得る部分を見た目上塗り隠すようなものにならないことを願いたい。


そして、VAIOは相変わらずなのが分かる。資金力やシェアなどの問題、販売ルートや知名度の問題があるため、一気に凄い物を投入することは難しいが、面白いもの、望まれる進化を目指して、そしてラインナップを増やして行こうという気概は今も強い。PC市場で生き残るのは並大抵のことではないが、この調子であって欲しいと願う。これ以上、日本メーカーが消えるのだけは、避けて欲しいし、CESでいつか海外メーカーが度胆を抜くPC製品を見せられる日がもう一度来て欲しいと、思っていたりもする。

いや、最近は格安のタブレットとかに浮気していた奴が言えた話ではないが……






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