Core iファミリーは10年でどれほど進化したのか? フルバージョン~Core i登場10周年~

昨日で、Core i(NehalemコアのCore i7-920等)発表から10年である。
前回、CPU部だけ公開したのだが、それも含めたフルバージョンが出来た(18日に)ので公開することにした。

尚、先に注意点を書いておくと、

初見の人はご存じないかもしれないので、一応書いておくと、
GPU部のFP32性能は、一般的なソフトウェアベンチマークの数値ではなく、floating Point Processing(浮動小数点演算)の推定性能である。そのため、この結果がゲーム性能の結果にはならないので注意して欲しい。APIの対応レベルによって、命令セットやドライバーによる性能向上効果もあるため、あくまで物理性能の参考値であることに注意して欲しい。

また、エンコードやデコードエンジンの世代は、あくまで便宜上このBlogで設定したものであり、Intel Corporationが発表会などで世代を発表しているわけではない。可能な限りIntel社のデータシートやBlogを確認して調べてはいるが、一部Intel以外から集めた情報でも補完しているため、間違いがあるかもしれない。

尚、無断転載は禁止である。

画像



上記を見て貰って分かるのは、Core i7-7700Kより後の製品は、予想以上に進化がない。実は前回の記事では、GPUが進化点みたいな思わせぶりを書いていたが、あの時点で、一部のデータは調査、集計中であったため、出ていなかった。
そして、調べた後でMA・JI・CAと思ったのである。いや、考えて見ると当然である。Skylakeから世代交代していないのだから……。

HD Graphics 630→UHD Graphicsになって変わったのは、メモリー帯域幅が上がったお陰で伸びた性能ぐらいしかないように見える。これは、CPUコア側のCore i7-6700K→Core i7-7700Kと型番を変えた時以来の驚きのデータだった。UHDになっているので、世代番号は9.1と一応しているが、何か変わったような情報はないので、大方売るためのリネームである。強気だったHaswell頃までのIntelでは考えられない状況にある。


しかし、Intel GPUが遅いと言われる理由は、何となく、このデータを集計していると見えてきた。多分、キャッシュの多くがCPUを優先しており、GPU演算とのバランスが超絶に悪いのではないかと思われる。そのため、EUの数が増えると、EUの性能がメモリー帯域の不足から徐々に落ちていくという酷い流れになっているように見える。

CPUも同様の傾向があるのだが、GPUの場合は同じ命令を繰り返すことが多いため、キャッシュ容量と帯域幅がとても重要なウェイトを占めている。GPU内のキャッシュ(バッファ/レジスタ)を調整すればもう少し性能の低下を抑えられそうな気もするが、Intelの事を最大限擁護する書き方をすると、CPU側との廃熱考慮の問題もあり、GPUに力を振り過ぎると発熱が増えてダークシリコンを増やさねばならないといったことでもあって、低くなっているのではないかと考える。

擁護しなければ、CPU部が突出している割に、拙いとしか言いようがない。


尚、GPUの物理性能はIris Pro Graphics 6200を除いて、Snapdragon 835(570GFlops)より下である。
但し、これがSnapdragon版のPCにおけるゲーム性能の優位性を示すわけではない。ドライバーの完成度や、Windowsとの親和性も影響し、さらにゲーミングではSIMD関連の性能が影響するため、CPUの種別の差が如実に表れやすいという特徴があるからだ。

Appleが同社のMacシリーズに未だAプロセッサを使わない理由はそこにもある。まあ、アプリケーションソフトなどの準備が出来れば、ある程度性能は上がってくるだろうが、物理性能や命令セット(API)のレベルを超えることは出来ない。まあ、これはIntelのCPU/GPUとは関係のない話である。

それから、Clear VideoやQuick Syncの世代である。Clear Video HDが投入されたのは、Arrandale/Clarkdaleからである。そのため、Clear Video HDはそこからが第一世代になるわけだ。Arrandale/Clarkdaleはこの中にはないので、説明する必要も本来はないのだが、どうも一部ではSandy Bridgeで第2世代のように見える部分がいくつかのサード資料では見られていた。

しかし、Intelの情報を調べた限りではSandy BridgeでClear Video HDの機能追加が行われた形跡はなかった。だから、Sandy Bridgeも第1世代としている。
海外WikiなどではVC-1のデコードが初代になかったりするのだが、あれは間違いでVC-1のデコードはGMA4500HDからサポートしており、ArrandaleとClarkdaleからデコード時の追加ソフトウェアコマンド(ノイズ処理やxvYCCカラースペースへの対応)などが追加されたことで、Clear Video というブランド名からClear Video HDへと変わったようだ。
そして、SandyではClear Videoの拡張は行わずに、Quick Sync Videoというエンコード機能を追加したのである。

そこからは歩調を合わせて世代交代したのではないかと思われる。

尚、ここで上げているのはエンコードやデコードに対応する動画形式のみであるが、ここにはパラメーター(コマンド)の追加も世代毎に行われプログラマブルになっていく様も見えてくる。昔はただ早いだけ、CPUの処理を軽減するだけだったが、今は結構使える子になっている。

しかし、それもCore i7-7700Kを境に進化を止めているのが見て取れる。もちろん、メモリーバスなどの周辺部の進化があるため、エンコードやデコードの速度などは上がっているかも知れないが、コア数しか救いはないほどにIntelが苦労している様が、垣間見えるのはこれまでのIntel始まって以来のピンチであることを示している。


<次で仕切り直し>

進化が止まったのは、Sky Lakeが登場してからである。いや、このスペックを見てCPUコアやGPUコアの性能を考えると、Sky Lakeでさえも、何か微妙である。AVX-512Fで利用するSIMDポートを殺したことで、輝きを失ったのは間違いないからだ。それでも、Intelが評価されたのは、iGPU内蔵で、SIMD性能が高く、発熱耐性が強く、そしてラインナップが豊富だったからだろう。

しかし、10年のうち既に1/3が進化を止めている期間に入っているIntelが今のままで耐えられるのかというと、多分既に時間はない。AMDが追いつき、ARMが上位に食い込もうと力を注いでいる中で、Intelはもう後がない状況に追い込まれたというのが現実であると思われる。

その一方で、横に並べて比較すると思った程進化点はないのに、よくもまあここまで耐えてきたなというのも感じる。これは、14nmのプロセス技術が高く、Intelがこれまで余裕を持って開発してきた証拠であろう。まあ、逆に言えば、当時の技術は優れていたということであり、今の技術は既に枯れている(他のメーカーでも当たり前の水準)ということを意味している。
即ち、全て吐き出し尽くしても、AMDより若干のアドバンテージが残っているのが、数歩先を行っていた証拠である。
それが、既に過去形になりつつあることが、厳しい部分である。

ただ、来年はそうも行かない。一時的にでもAMDがIntelを追い抜く可能性が高いと思われる。
その後に、Intelは再び引き離せるのか?それとも、プロセス技術が10nmの次(7nm)でも引っかかるか?そこが、重要なターニングポイントになるかもしれない。


まあ、大半の消費者はそれを知らない。

いやもっと言えば、私だって横に並べてここまで調べ上げてみてやっと見えてきたのが、力業(ちからわざ)ともいえるコア数の強化と、メモリーホスト等の進化、そしてブランド世代を上げることによるイメージ戦略という現実なのだと実感できるようになったぐらいだ。調べなければ今でも、ここまで切羽詰まっているとは思わなかったぐらいだ。
商品名(モデルナンバー)効果も大きいというわけだ。


今後これらの問題が起きないようにするためには、AMDとIntelの競争関係が末永く続いてくれる必要がある。Intelが弱すぎてもAMDが強すぎてもダメで、互いが切磋琢磨することが大事なのだ。そして、末永くそれが出来る環境を作るには、Ice Lakeが失敗してはいけない。Intelがこれ以上遅れると今度は、Intelが昔のAMDのように窮地に陥りかねないだろう。幾らシェアが高くても、製造を支えるだけの競争力ある商品を出し続けなければ、いけないのだから。














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