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zoom RSS IEEE802.11axの8ストリームモデルが出る日は来るのか?

<<   作成日時 : 2018/09/12 10:09   >>

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最近、IEEE802.11ax対応の変調用半導体が登場し始めている。既に、QualcommがDraft対応としてQCA6290を昨年の間に発表し現在量産に入っているが、BroadcomもBCM43684の量産を開始したようだ。

この勢いだと、ルータや無線親機(アクセスポイント)としてDraft製品がこの秋〜冬にかけて一気に投入されるだろう。
まあ、WPA3への対応もこの機会に行われるため、久々にルータや無線アクセスポイントの買い換えラッシュが起きるかもしれない。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1142332.html

しかし、無線の規格を知っている人なら分かるだろうが、IEEE802.11acは未だに最高速モードである6.9Gbps(MU-MIMO 8 Stream/VHT160/GI-0.8μs)に対応した製品は殆ど出回っていない。国内のBUFFALOやNECといった大手では皆無である。そんな中で、IEEE802.11axが製品化され、最大10Gbpsに迫るというのは、オーバースペックに見える。では、何故そんな規格が出来ていくのか?


<無線LANの最高速度が上がる理由と、日本で登場しにくい理由>

元々、無線はアクセスポイントに近いほど最高速度に匹敵する速度が出る。しかし、そこから遠くなれば遠くなるほど、四方八方に飛ぶ電波であるため、周囲の電波や環境波(雑音)及び、障害物によって徐々に減衰する特性がある。

そのため、最高速度を上げることは、遠くでもそれなりの速度を発揮できるようにするための一つの手段となるため、速度を上げているわけだ。

しかし、無線の先にある有線の速度は未だ1Gbps未満が主流であり、日本の場合は住宅環境としてマンションなど集合住宅住まいが多いこと、部屋が狭いなどの理由から、ストリーム数の多い大型で大電力な親機が好まれない傾向にある。それが、結果的にストリーム数を増やした製品が登場しない理由となっている。

海外製品だと、4ストリーム〜6ストリームぐらいまでなら出はじめており、8ストリームはまだない。まあ、クライアントは3ストリーム〜4ストリームが最高になっているケースが多く、単一でそれほどの速度を必要とする用途は、無線を使うような一般ユーザー用途では殆どないので、ある意味ではこれでもオーバースペックに見える。

ただ、先に述べたように親機(アクセスポイント)にとって、特に沢山の無線機器を同時に1台の親機で運用する場合には、同時通信可能な空間ストリーム数が多い方がありがたい。何せ、通信が途切れたり速度が低下する心配が減るからだ。

しかも、遠くと通信する機会が多いほど、近くの速度が引き摺られるという無線の特性を受けにくくなる。


「えっ」と思った人もいるかも知れないが、無線LANに限らず無線機というのは減衰率が高い無線機が同じアクセスポイントにあると、減衰率の低い無線の速度がそれに引っ張られることになる。まあ、だからこそ空間ストリーム数と同時アクセス数が1→2→4(ac)→8(axの場合)という具合に増えている訳だ。


何故減衰率は、近くて無線強度が高い物の方が高いのか?
これは簡単に言えば、エラー訂正が少なく確認のシグナルがすぐに届くからだ。

端的に言えば、AさんとBさんが、AさんとCさんが毎日1つの電話で情報をやりとりするとしよう。電話は必ずAさんから行う。ただ、その電話、Bさんにはすぐに繋がったがCさんは圏外で繋がらないことがあれば、きっとAさんはCさんに何度も電話をして状況の確認をしようとする。その間にBさんがAさんに連絡しようとしても、話し中になることがあるという流れと一緒だ。

無線LANやセルラー回線(LTE/3G)などの常時接続通信の場合は、一定の間隔で基地局(親機)との接続状態を確認している。その前回繋がっていたビーコンが消えると、一定のタイムアウト時間(ミリ秒〜マイクロ秒単位)が過ぎるまで、親機はその捜索を行うように出来ている。その間、他の機器は通信が滞る。

そのため、近い物の速度が1Gbpsだったとしたら、500Mbpsまで落ちるといった具合で大きく速度が低下するわけだ。逆に、遠い物は元々減衰率が高いため、リンクアップの速度そのものが16Mbpsぐらいしかないことも多い。しかも、親機も子機も常に必死になって繋がりを維持しようとする。そのため、よほど繋がりが悪化する距離に現在進行形で遠ざかっていない限り、実はリンクアップの速度に近い速度が出ることも結構ある。


こういう問題を無くすのが、同時利用可能な空間ストリーム数を増やすという手法なのだ。ただ、日本の一般的な住宅では建物がそれほど広くないこと、さらに近隣の住宅が近いことなどがあり、160MHz(VHT160)帯域を使って近隣の住宅の無線と競合せずに最高速を出すのは無理がある。
要は、電波が輻輳してしまう訳だ。そのため、国内メーカーは省エネルギーの製品の方に力を入れる傾向がある。


まあ、そういう点ではaxも必要性があるのかと疑問がついてもおかしくはないが、まあ、ラスト1mで繋がりが悪い場所などでは、大きな改善が期待出来る面もあるので、実はその価値が結構大きい。


<IEEE802.11axの仕様>

尚、IEEE802.11axの仕様はほぼ完成に近づいているようだ。この規格で使われる技術はLTEで使っている技術、IEEE802.16(WiMAX/TDD-LTE)で策定した技術などを強化最適化して組み込み、より遅延や電波干渉による速度、到達距離の低下を抑えるように設計されている。特に、802.16に使われた技術は中核を占めている訳だ。


その802.16の技術というのはOrthogonal frequency-division multiple access(OFDMA/直交周波数分割多元接続)と呼ばれる接続変調方式である。実は、記事によってaxの新技術がまちまちに書かれているのだが、大半はOFDMAの変調過程で実装されており、新たに新設で追加されたのは、可変(動的)フラグメントと呼ばれる機能ぐらいだろう。その他は、ガードインターバルなどの間隔を短くし、波長変調に1024QAMを追加したことなど、いわゆる既存技術の延長に当たるものだ。

ただ、波形変調に1024QAMを追加したことなどから、規格名称がacからaxへとレベルアップしようとしているわけだ。まだ、Draft状態なのでレベルアップは完了していないため、最終的に変わる部分や追加される物があるかもしれないが、極端に大きな変化はないようだ。

以下に以前も一度アップしたもののアップデートだが簡単な比較表を上げておくが、あくまでDraftベースである。
画像



上記を見れば分かると思うが、機器間同時通信接続が8へと倍に増えた。
これは、空間ストリーム数の最大と同じ数の同時接続が出来るようになったことを示している。尚、ストリーム数が4〜6つでもUplink MU-MIMOが使えるようになったので、8台接続出来る親機は登場する可能性は高いが、流石に2だと厳しいと思われる。

また、この8ストリーム通信をするには、それに対応した親機が必要となる。子機側はaxに対応してさえいれば、問題ない。尚、暗号強度は正規発効された製品ではWPA3が推奨されることになりそうだ。WPAについては、原則対応不能を維持するか、廃止されると思われる。まあ、親機側でそれが実行されるかどうかは、難しい判断だが、ax接続を有効にすると、認証/暗号化メニューに表示されなくなるという仕組みが広がるかも知れない。


尚、この次にやってくるIEEE802.11規格(無線LAN)はIEEE802.11ayである。これは、普及に失敗したadのリベンジ規格となる。いつ策定完了するかは今のところ未定で、2020年とも2021年〜22年とも言われる。まあ、正直な話通常無線LANのaxがここまで高速化した今、果たして短距離の60GHz帯域の無線が普及する余地があるのかは、分からない。

ただビジネスシーンでは、NFCより高速で且つ少し遠くでも通信できることから、使い途を限定すると、普及の見通しもあるのかもしれない。


<日本で8ストリーム時代をaxで開けるか?>


今の状況だと、acで8ストリームが出る可能性は低く、出てもacまでの対応だと大きく普及することはないだろう。まあ、そういう必要性がないということと、そもそもそれ以上の速度を求めていないから、出しても選ばないという人が多いのも影響する。

これは、最高速度だけで売るメーカーの売り方が決して良くないことが影響しているのもある。本来なら空間ストリーム数が増え、同時接続数が4つになるとか、そういうところの方で、多数繋いでも速度が一定より落ちにくいことを売りにした方がよいのだが、その浸透率は比較的低い。

有線が1Gbps未満だから意味がない訳ではないのだ。無線でデバイスが沢山あると、有線のベストエフォート型より遙かに欠損率が上がるからこそ、過剰な速度を示しているに過ぎない。これは、商用の無線のLTEも同じだ。そこの部分に消費者の目線を向けることが出来なければ、日本でac/axの無線を8ストリーム運用する親機は登場しないということになるかもしれない。

まあ、一方で8ストリームになればそれだけ電力を食うという側面もある。MU-MIMOはコントロールにそれなりの物理演算が必要になるからだ。これにビームフォーミングを加えるなどすれば、電力は増し筐体は大きくなる。それが、嫌われるのも狭小な住まいが多い日本の特徴だ。

これだけは、どうにもならない。
また、acで既に十分納得の製品を使っている人は、axでそれ以上をわざわざ買うことも少ないだろう。
axはミッドレンジに移るかも知れない。私のように、未だにnの無線を使っている人なら別だろうが……。そういう傾向が日本にはあるので、海外から見ると今の日本で最上位を買う人はこのところ少ない傾向が見られる。まあ、不満が無い程度に使えれば良いからだ。


考えて見ると、3G→4Gと似たような状況に今の無線LANはなりつつあると思える程度には、無線は既に繋がるようになった。その無線機器を売り込むには、それが、買う人にとってどんなメリットを与えるかを伝える必要があるが、それに困っている人は既に少ないのだ。だから、安い物がよいとか、今のが壊れるまでは使い潰そうと思うようになり、そして買替えは軽い物に向かう。

すると、メーカーは上位より中途半端に軽い物をどんどん揃えるようになる。その結果、最上位はいつまで経っても出ないという流れもあるのかもしれない。メーカーがどっち(上位方向に向かうか、廉価に向かうか)は、メーカーの気合いの入れ方次第だ。

Appleのように最上位だけに拘るところは、少量を高く売る流れに向かうだろうし、中華メーカーように大量生産大量消費でシェアを取る戦略をするメーカーもある。今そこに違いがあるとすれば、昔は日本国内は日本メーカーだけでそれが成立していたが、今は海外メーカーの方がそれをやっているという点だろう。

出来れば、8x8の製品が出てくる日があって欲しいが、今のBUFFALOやNECなどのメーカーにその気力があるのかどうか?難しいかもしれない。




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