教えて貰おうか、HDR Videoとやらの違いを……

まあ、私個人としては、別にこれを搭載した製品が欲しいとも思わないのだが、仕様としてはずっと気になっていた。ディスプレイHDRも出てきたことだし、この機会にというわけだが……実は以前、HDR Video規格について書いた時には、実は不十分な情報を元に書いていた面もあり、今回改めてここで書くことにした。

<HDRってなんだろう?は飛ばしたい。>

一度過去に記事で書いたが、HDRはHigh Dynamic Rangeの略である。ディスプレイ表示(映像)向けのHDRと、スチルカメラ(静止画)撮影向けのHDRがあり、前回はディスプレイHDRとカメラHDRと呼んだが、正確にはHDR VideoとHDR (still)の2つのようだ。
ただ、Videoはディスプレイ向けのHDR技術であることに変わりはないので、HDR VideoでもHDRディスプレイ(ディスプレイHDR)でも構わない。今後は、ディスプレイHDRと呼ばれることだろう。

まあ、詳しくは前回の記事を読んで貰えればある程度は分かるだろう。
http://powerpro.at.webry.info/201703/article_12.html


<説明が面倒で複雑になったHDR Video(HDRディスプレイ技術)の基本>

HDR VideoはディスプレイHDRという規格が登場するほど、スチルカメラ向けのHDRに比べて面倒になりつつある。
その理由は、規格とフェーズが乱立し始めているからだ。

まず、規格の基本的な部分から表を用意した。規格は以下に示したようにPQとHLGの2つがある。PQは専用のメタデータに輝度の拡張情報を量子化して格納する方式、HLGはエンコードされている映像のガンマ中(濃淡を示す信号、輝度の一種)に互換性を維持した状態で、追加情報を内包する方式である。
HLGはテレビ放送互換用に開発されたが、輝度情報の上限値は、テレビ放送のそれに対して、極端に大きくは変わらない。変わるのは、今までより一つの映像の中に含まれる暗い部分と明るい部分の差をはっきり表現できるようになるという点である。

尚、表では㏅/㎡を輝度単位に使っているが、これはnitで示される値と同じである。nitは言葉として使いやすいが、一方で、それだけを見ても、どの範囲の明るさなのかが分かり難いので、1平方メートル辺りの明るさ(カンデラ)の方で統一している。

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一方で、PQは最大輝度が大幅にアップするが、この輝度をキープするわけではない。よく間違う人がいるが、これはあくまで理論上格納出来る上限値である。そもそも、そこまでの輝度を常時キープできるディスプレイなどディスプレイHDR 1000でも、いくらあるか……。というのは、後述する。


<HDRの規格>

ここからは詳細な規格差である。最終的に纏めると、以下のようにシンプルに収まったが、結構調べるのには苦労した。

画像



最も、優れた規格は、Dolby Visionだろう。この規格は輝度レイヤーを2層(輝度ピーク層と下限リミット層)で確保しており、さらに12bit処理に対応している。そのため、高品位なディスプレイが必要になるが、優れた再現性を持つと考えられる。
一方で、このDolby Visionはライセンス料が発生する。シアターなら認証取得のため、基準を満たしているかを確認するため、定期的に検査が必要になるだろう。まあ、12bit演算までして細かに輝度を調整するのだから、当然といえば当然である。loyaltyが高いのだ。

それに対して、HDR10というのは、PQ10と呼ばれる現在スマホやPC、4Kテレビに実装されている技術だ。また、HLG10もHDRテレビなら殆どが対応していると考えられる。これは、標準化をITUで最終的に行う見込みの標準規格をベースにしているため、気にする必要は殆ど無いだろう。

気になるのは、昨年登場したHDR10+(Plus)だ。これは、HDR10の上位として認識されていることが多い。一番の特徴は、輝度ピークを可変調整できるDynamic Metadataという機能である。

SL-HDR1は、実はよく分からない。策定された?のか策定中なのか分からないが、劇場用などを中心に売り込んでいるのだと思われる。12bit処理に対応するがHDRレイヤーは1つということで、HDR10+とDolby Visionのちょうど中間に位置する。

ここまでが、メタデータとしての規格である。尚、大半のテレビがサポートしているHDRというのは、Dolby Visionのロゴがなければ、HDR10とHLG10である。その他は、互換HDR処理は出来るだろうが、本来の性能で処理するには、対応したディスプレイが必要となるだろう。


<対応ディスプレイ規格、Displya HDR>

そして、そのHDR処理を行えるディスプレイの基準を定めた規格ブランドが、Display HDRである。また、誕生してあまり日も経っていないが、400/600/1000の3規格がある。
まあ、端的に説明すると400はHDRっぽいもどき、600はHDRみたい、1000はHDR(並)である。即ち1000でさえも特に最高輝度においては、最低基準だけを定義している。むしろ、最高基準を示せば、多くが脱落しかねないので、当然と言えば当然だろう。
これは、主にLCD(液晶ディスプレイ)を前提に考えているが故の仕様とも言える。基本的に、600を超えないと、本来の品質は達成できない。ローカルディミング(エリア駆動)がないディスプレイではダイナミックレンジ拡張の骨頂となる下限値と上限値を両方確実に再現するという部分が達成できないからだ。

そして、1000の基準に達したから全てのHDRを制作者の意図に合わせて再現できるわけではない。これは、あくまで最上位の性能を求めるものではなく、製品を販売する上で、多くの上級製品が満たしている性能を元にした、上位機の最小要件だからである。そして、これはOLEDなどの自発光ディスプレイだと輝度さえ高ければ簡単に達成できるだろう。

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上記を見れば分かるが、Display HDRはテレビなどを目指したものというより、PCやスマホなどモニターデバイスや制作用デバイス全般に対して、基準を示したという意味合いが大きいだろう。


個人的には、あまりHDRに興味がないので(正直、既に画質は十分に達しており見られるならそれでいい)、これを書いている過程やそれらのディスプレイを店頭などで見て再生するシーンを見ても、HDRディスプレイすげえと思うことはなかったのは、映像コンテンツの内容にHDRの利点が上手く作用するケースとしないケースがハッキリ分かれるという点と、そもそも既に十分な輝度域にあるという点もあるのかもしれない。

拘りを持つ人なら、欲しても、そこまでの拘りを持たない人には興味もないということだ。

もう一つ気になるのは、我が家のテレビには、4倍速駆動と、ローカルディミングが装備されているが、HDRディスプレイ(たぶん400/600クラスかな)より、性能が低いように見えるものもあることだ。うちのテレビは最小輝度の下限値は下がるし、ピーク値は300cd/㎡を超えて明るいと思われる。しかし、我が家のテレビではHDR処理が出来ないためHDRはサポートしない。しかし、HDR400はそれでもHDRを名乗れる。そう考えると、なかなか微妙なところまでHDR準拠を入れたなという印象になる。


まあ、何をしなくても今後買うディスプレイは数年以内にほぼ全てが、HDRサポートになるだろう。だから敢えて、HDRディスプレイを探す理由もないわけだが、Dolby Visionは認証が必要なので間違いないとして、ロイヤリティフリーの他の規格は、品質として考えると制作者が意図した品質になるかはなかなか難しいところだ。それはDisplay HDR400が存在することが大きいだろう。まあ、小型ディスプレイや安価ディスプレイでDisplay HDRを売りにするには、400が必要なのだろうが、結果的に、普及する過程において、これが主軸になりすぎて、別になくてもよいHDRという印象を与えてしまう可能性もあるかもしれない。


<HDRを再現するならHDR規格よりディスプレイが重要>

とにかく、HDR Videoの品質を十分に堪能するなら、ディスプレイの品質が全てを決めると言っても過言ではない。それを確実に示せるのは、今の所Dolby VisionとHDR+のロゴ付きディスプレイになるのではないかと、予想される。
特に、Dolby Visionはロイヤリティも必要だが、その分、管理もしっかりしているからだ。今の所は……将来は分からないが……。

ただ、この技術を完全にサポートするのは、今の所劇場が中心である。家庭向けはDolby Atomsもそうだが、簡易版扱いになっていると思われる。そのため、家庭向けで本格的にそこそこの品質保証が成されるとすれば、HDR+になるだろう。

これも、結局は再生条件を満たすだけの話なので、ガンマ品質の厳格化を徹底して求めるものではないが、ないよりあるに超したことはないだろうから。
実際に、色味や輝度の上限をちゃんと見るなら店頭でチェックするしかないと考えられる。

では、それが映像再生には必ず必要なのか?といわれると、正直微妙だ。HDR対応の映像だから、HDR対応のディスプレイじゃないと再生不能になるという訳では無い。再生だけなら実はHDR対応ディスプレイがなくても、再生出来るからだ。そして、安物のHDRディスプレイだと、高価なSDRディスプレイより下手をすると輝度変化が小さかったり、下限が浅くなることもある。それが、欠点となる。

即ち、HDRディスプレイだから、今までのSDRディスプレイを全ての面で上回る訳では無いということだ。HDRコンテンツを再生するときに、ダイナミックレンジ拡張の効果が発揮されるに過ぎない。そこを忘れてはいけない。
大半の人は、今急いで搭載品を買うものでもない。欲しい人、拘る人が選ぶものだろう。そして、将来はきっとこれが知らないうちに搭載されている機種の方が多くなると思われる。そうならないなら、きっと、頑張って、規格まで作って販促したのに、それほど普及しなかったということになるだろう。






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