Snapdragon 835と820ではどこが違うのか?ついに”みちびき”に対応
やっと、Snapdragon 835の製品の詳細が発表された。今回の835の大きな特徴は、QZSS(みちびき)に対応する新型と思われるGNSSセンサーチップが統合されたことだろう。やっと、日本国内で高精度な位置測位が出来るようになる。また、Bluetooth5.0にも対応している。
スペックは以下の通りである。(以下の表はPC表示以外では崩れますので、ご注意を・・・スマートフォンでは、ビューモードをPC形式で表示してください。)
SoC名称 | Snapdragon 835 | Snapdragon 820(821) |
型番 | MSM8998 | MSM8996 (Lite/Pro/None) |
製造プロセスノード | 10nm | 14nm |
CPU クラスター数 最大周波数 Bigコア周波数 Littleコア周波数 ARM Arch | Kryo 280 × 8 4 2.45GHz 2.45GHz 1.90GHz ARMv8-A customized | Kryo × 4 2 1.8(Lite)-2.15-2.35GHz(821) 1.8(Lite)-2.15-2.35GHz(821) 1.36GHz-1.6GHz ARMv8-A Customized |
メモリーコントローラー | LPDDR4X 1866MHz Dual Channel | LPDDR4 1866MHz Dual Channel |
GPU名称 周波数 Unit performance Unit Num Unit generations API_OpenGL_ES API_OpenCL API_DirectX(FL) API_Vulkan サポートディスプレイ解像度 | Adreno 540 不明 不明 不明 Qualcomm 5G Shader 3.2 2.0 12(12_1) 1.0以上 3840×2160/60p 10bit | Adreon 530 500-650MHz 400-520Gflops 256 Qualcomm 5G Shader 3.2 2.0FP 11(11_2)※1 1.0 3840×2160 |
商用無線 LTE Uplink LTE Downlink Downlink MIMO FDD LTE TDD LTE LTE-U LTE BC LAA WCDMA TDSCDMA CDMA 1x EV-DO GSM/EDGE HD音声通話技術 Dual SIM/UIM | X16 LTE Modem 最大150.8Mbps(Cat.13) 最大979Mbps(Cat.16) 4×20MHz(Cat.16) ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ Ultra HD Voice(EVS) ○ | X12 LTE Modem 最大150.8Mbps(Cat.13) 最大603Mbps(Cat.12) 3×20MHz(Cat.12) ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○ ○ HD Voice ○ |
無線LAN(Wi-Fi) 802.11ad(60GHz) 802.11ac(5GHz) 802.11a(5GHz) 802.11b(2.4GHz) 802.11g(2.4GHz) 802.11n(5/2.4GHz) MU-MIMO Multi-band | IEEE802.11ac(+ad) ○ ○(Wave 2) ○ ○ ○ ○ 2x2 Multi | VIVE IEEE802.11ac -※1(以前は○だったけど消えた) ○ ○ ○ ○ ○ 2x2 Tri-band |
Bluetooth NFC/Felica | 5.0 ○ | 4.1 ○ |
GNSS(位置測位) GPS GLONASS Baidou Galileo QZSS | Q-Location ○ ○ ○ ○ ○ | IZat Gen8C ○ ○ ○ ○ × |
RF | Qualcomm RF360 | Qualcomm RF360 |
USB | USB3.1 | USB3.0/2.0 |
Camera ISP 画素数(Mega Pixel) 再生ビデオ解像度 録画(撮影)ビデオ解像度 Video H/W Enc/Dec | Spectra 180 16MP Dual or 32MP Single 4K/60fps 4K/30fps VP9/AVC/HEVC | Spectra 28MP 4K 4K/60fps AVC/HEVC |
DSP | Hexagon 682 | Hexagon 680 |
Audio サンプリングレート 最大アンプ出力 | Aqstic 384KHz/24bit(DSD) 4W | Aqstic 192KHz/24bit 4W |
Secure Boot | ○ | -(対応できそうだが・・・未記載) |
ストレージコントローラー UFS eMMC SD | 2.1 Gear3 2L 5.1(未記載) 3.0(UHS-I) | 2.0 5.1 3.0(UHS-I) |
充電技術 | QC4.0 WiPower | QC3.0 WiPower |
※1公式にダウン。
CPU部は8コア化で性能が大幅に上がると思われる。一方で、820側の仕様を見ていくつかSnapdragon820の仕様が当初の仕様より下がっている部分もある。特にGPUはDirectX12 Readyで登場していたはずだが、最終的に11止まりで終わっている。また、802.11ad(WiGig)は810で対応から820で対応予定にかわり、それも消えた。2世代続けて最終的に非対応扱いに格下げされ、今回が3度目の正直である。2度あることは3度あるにならなければよいが・・・今回、835ではadが明記されているが、果たして本当に製品が出るのかどうか?これが分かるのは、3月頃までに対応製品が大量に登場するかどうかに掛かっている。
この835で最も期待できるのは最初に書いたQZSS(みちびき)に対応したことだろう。これは、地図サービスを使う人には朗報になりそうだ。興味深い点は、Secure bootという項目がある点だろう。これは、Windowsのために対応を明記したと思われる。ただ、既に820でデモが公開されたことを考えると、820でも対応は可能であると思われる。あくまで、正式なサポートは835からということだろう。
835のCPUは8コアになり名称にモデル数字がついてはいるが、大きくアーキテクチャが変わったようには見えない。GPUも世代番号が変わっていないため、変更は僅かと思われる。一方で、GNSS、無線モジュール、インターフェースホストなどは、どうも刷新されているように見える。PCで言えばPCH(プラットフォームコントローラーハブ)が大きく世代交代した印象である。このことから言えるのは、PC向けへの展開を意識して、弱い部分を補完したということだろう。それ故に、仕様ではLaptopの名称がターゲット製品群に追加されている。価格にもよるがオールインワンという部分では、X86よりアドバンテージがあるかもしれない。後は、価格の問題だろう・・・Atom Z8xxx世代並みで出回れば売れるだろうが・・・Core Mの置き換えだと、厳しいかもしれない。
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