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zoom RSS 破綻した「てるみくらぶ」の問題点

<<   作成日時 : 2017/03/28 12:06   >>

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中小旅行会社の破綻は過去にも何度かあるが、今回のてるみくらぶほど終わりが酷い業者は少ない。売上高は大手と言ってもおかしくないレベルでありながら、店頭上場(東証またはマザーズ上場)もしていない。そのため、資金繰りがどんな状態なのかは、最後まで見えなかったようだ。

そもそも、私はこの事業者を破綻するまで知らなかった。ということは、世間にとって、その程度の事業者なのだ。しかし、売上げが100億を超える規模であって、ぎりぎりまで、予約を仲介していたというのは、正直驚きだ。そのつもりは無かったのかも知れないが、どれほどあくどい事業者だという話になる。
http://www.tellmeclub.com/20170327_info.html

<詐欺告訴もあり得る>

調べて見ると、破綻直前まで、新規予約を行っていたらしいという点と、実際に現地にツアーや個人で旅行している人がホテルやバスなどの観光・宿泊・交通手段が手配されていないなどの問題が起きていたという点を見ると、既に経営そのものはもっと早い段階で出来ない状態に、なっていたことが予想される。

これは、企業として見ると悪質な詐欺事件として警察に被害届が出れば、刑事告訴される可能性が非常に高い。
要は、既に予約を受け付け履行できないことを知りながら、お金を先払いで支払わせたのだ。債務の補填のために・・・。悪質としか言いようがない。今回は、2500名がまだ海外に渡航中という状況を考えても、最悪である。

-同じ株式会社でも上場企業との違い-

これが、大手の旅行代理店で店頭上場の企業なら業務継続をした状態で、破綻処理がなされるだろうが、この手の非公開株式会社は、出資者が債権を放棄するかそれとも、差し押さえるかだけになり、破綻処理=廃業になることが多い。何せ、株式を市場で処分する方法もない上に、業績も一般世間の人は知るよしもないことが多い。結果的に、経営途中で突然という方向になる。

まあ、非上場で優良企業も世の中には沢山あるが、急成長する企業の場合は、一度の躓きから立て直すのに失敗することは、よくある。そこを越えると、一段と成長するが・・・。この企業は、越えられなかったのだが、1度に扱う金額とネット企業であることを考えると、優良サービス企業なら早い内に上場すべきだっただろうが・・・。


<はっきりしない財務状況>

平成23年の売上げは130億円あったようだ。そして、昨年9月期は200億円(195億円か?)近かったようだ。EC系から始まった旅行業者であることが格安の原動力だったようだ。気になるのはネット評価だが、下から上までバラバラした評価というのは、私的にはリスクが少し高いと思っている。ちなみに、成長企業は基本的に安くても、中以上の評価比率が圧倒的に高くなる傾向がある。☆3つでも3つの☆が集中している業者と、☆1つと5つが極端な業者なら、3つが集中している方が、信頼性は高い。

逆に落ち目だと、評価が安定しなくなる。価格が安いだけの事はあるが、相対的には高評価というケースと、価格が安いから悪くて当然、安いからやっぱり悪いというのが、出始めてくるわけだ。


この会社の財務状況だが、流石に店頭上場企業ではないため、わからない。
ただ、確かな事は凡そ150億円以上の債務があり、約99億円の不履行契約(9万人分)が残されたと思われる点だ。しかも、破綻の原因になったのが、ITAへの支払い4億円が出来なかったという辺り、これは相当酷い資金の補填(新しく来る契約の代金を、既存契約の代金に充てる)をしていた可能性が高い。

これでは、店頭上場は無理だ。

2016年9月期の売上高は約195億円と各社が書いていることを考えると、99億円の不履行契約があるということは、年間売上げの半分以上が不履行になっていることを意味する。普通に考えると、1年とは言わない期間の間、債務を回し続けなければ、こんな状況にはならない。少なくとも2年や3年は綱渡りが続いていたのではないだろうか?

ちなみに、数年前から高齢者などをターゲットにした広告も始めていたようだ。その失敗が原因と社長は述べたようだが・・・。


<発想が迷走>

そもそも、広告を始めてから徐々に悪化したような事も言っていたようだが、それはおかしい。もし、そうだとしたら広告を再び止めれば、経営は安定したことになるからだ。

もっと、はっきりと言えば、ネットサービスが安いのは、広告や制作維持管理などの販管費のコストが安くできるからである。だから、価格を落としてサービスが展開できる。この会社の場合は、成長の過程に円高という利点も働き、大きく伸びたようだ。しかし、その後の円安と、資源高がダブルパンチとなった。さらに、航空機も小型で燃料費が安い航空機に変わり、薄利多売がうまく機能しなくなったようだ。
その後に、何故広告をとなったのかが、よく分からない。

もう少し詳しく書いていこう。

-薄利多売-

薄利多売というのは、簡単に言えばバス旅行で30人乗りのバスを20万円で1日チャーターするとしよう。旅行代金は1万円である。そこに旅行客が一人しかいなければ、19万円の赤字になる。しかし、30人の満席なら、10万円の黒字となる。これが、一般的な日帰りのツアーバス旅行だとして、格安というのは60人乗りのバスを30万円でチャーターし、40人以上の客を集め9000円にするという方法だと思えばよい。40人いれば6万円の利益が出る。45人になれば10万を超える利益になる。

この大型化による輸送コストの低下が、結果的に価格を下げても、利益率を上げるというのが、薄利多売の醍醐味である。

−輸送方法の変化と円安−

しかし、これには常に一定の成長が続き、客が規定数より多く旅行してくれることという条件が付く。
簡単に言えば、価格を下げるには10人より20人、20人より30人と同じ旅行をする客が増えていくこと。1台の乗り物に搭乗できる人数が増えていくことという条件を満たす必要がある。

海外旅行なら、少人数100人乗りの航空機で100人運ぶより、300人乗りの航空機で300人一度に運ぶ方が、団体時の運賃を抑えられるということだ。しかし、100人乗りの航空機で300人を運ぶには3回に分ける必要がある。3回に分ければ、添乗する添乗員も3人必要になる。手配する航空機も3便に分けなければいけない。

そうするとコストが上がる。
どうも、記事などを見る限りでは、最初のきっかけはここだったようだ。

これに円高(1ドル100円なら、10ドル1000円)から円安(1ドル115円なら、10ドル1150円となり同じ10ドルの商品を買うのに掛かる額が150円上がる。)になったことによる、為替差損が生まれ、安さを曲げることも出来ず、失敗した可能性はある。この段階で、価格を利益が出る範囲に変えたのかどうかは分からないが、変えていたとしたら今度は契約者数が減っただろう。

それが、薄利多売の原理を崩した。先に書いたように、60人乗りのバスだから安く出来たサービスが、30人乗りでもぎりぎりになったなら、利益率は大きく低下するだろう。それを補填するために・・・


−広告が命取りになる−

広告を始めたとしたら本末転倒である。ネットの口コミやネット広告だけであれば、きっと広告コストは今まで通りである。しかし、新聞や雑誌などの広告を始めた場合、それ一回につきいくらかの広告コストが掛かる。ネットでこれまで通りの顧客が買う商品と、広告を見て買う商品の客単価が同じだとしたら、どうなるか?考えて欲しい。
確かに、60人のバスのうち30人がネットの客で、20人が広告でやってきた新規なら、広告コストを考えても一時的に黒字化するだろう。しかし、徐々にネットの客が減り、10人がネットだけで調べた客、残りが新聞などのチラシ客だと、広告宣伝費からやってくる客の方が増えてしまう。

そこで広告を打ち切ったら、
それを止めたときに、今度は反動減が起きてしまう訳だ。

本来ならこれが理解できたタイミングで価格を上げたプランに注力するという高価格かを目指すか?(広告あり)

または、旅行エリアを儲かる場所だけに減らして、価格的に利益が出るものに戻すか決めれば(広告なし)

状況によっては生き残りもできたかもしれないが・・・。たぶん混同した状態で、売上げだけを増やし続けたのだろう。

結果、利益が出ずに潰れたという見方は出来そうだ。
一般に広告を打つ企業は、販管費が高くなるため商品の値段もある程度サービスを付加して上げるのが一般的だが、やっていないなら、広告の始まりは失敗の連鎖に繋がる。

−広告は旅行客の分散も引き起こすことが−

ここからがさらに重要だが、広告を打つと、それに合わせてツアーを新設するケースが多い。端的に言えば広告の品を作るのだ。これを沢山作ると、今度は客が分散し、人件費も上がり、薄利多売が余計に機能しなくなる。この手の方法で怖いのは、売上げは伸びているとか、期の前半は僅かながら黒字がでて、次の期には大赤字が出るなど、シーズンの浮き沈みが見られるケースがあることだ。数打てば時々当たるが、年を通して見ると債務が増えていくことはあるのだ。

こういう部分は、新卒のエントリー採用意向などが続いていた辺りからも見え隠れする。新卒を増やすというのは、ある程度の拡大路線を見込むということである。


<てるみくらぶの現実>

まあ、社長は本当に人柄としては、いい人かもしれないが、経営センスはなかったのだろう。少なくとも一発屋でたまたま世間の流れが順風に吹いた時期に、起業できたということになる。しかし、変化にはとにかく弱い人だったのだろう。

そして、この会社の情報から見えるのは、成長を続けているように見えるという雰囲気だ。
外から見ると、売上高は晩年は頭打ちだったのかも知れないが、23年比で28年は60億以上増えている。これが示すのは、本来ならすべきリストラをせずに売上げに走った可能性があるという現実だ。

本来なら、広告を始めた辺りで、一度失敗している部分へのけじめが必要だった。それをやらなかったから、破綻した。そして、破綻の過程から見えるぎりぎりまでの焦げ付きも、結局、損切りをして責任を取るという発想が出来ないからこそ出てくる甘さであろう。ある意味では、自分で最後まで背負い続けた可能性あるが、大きな規模の取引をする経営者というよりは、町工場などの中小企業の経営者の発想だったのではないだろうか?
その結果、あらゆる方面で手遅れが出てしまい・・・という流れだろう。

これほどの、契約がある企業だ。ここまで状況が悪化する前に、受付業務を停止し少なくとも旅行中の顧客が戻ってくるまでの時間は稼ぐ手段があったはずだが・・・

割安というイメージを払拭する努力をせず、それに合わせて、リストラもしなかったと思われるこの会社は、きっとずいぶん前に破綻が確定していたのだろう。まあ、もし今この会社が生き残れているとしたら、1ドル=100円ぐらいの円高なら生き残れたかも知れない。













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