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zoom RSS テレビやXperia XZ Premiumに搭載されるHDRとは何者か?

<<   作成日時 : 2017/03/13 11:32   >>

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これは、個人的にいくつかの技術情報等を基に作った簡易資料である。基本的に例を書いて説明することだけに重点を置いており、正確な解釈とは言えないので、注意して欲しい。
尚、許可無く記事の一部、または全文の転載は禁止です。

<まずHDRとは何か>

まず、今HDRといえば2種類あるカメラ向けのHDR(以下カメラHDR)とディスプレイ向けのHDR(ディスプレイHDR)である。これらは同じHDRだがやっていることは違う。

HDRという単語を調べると、Wikipediaが上がってくるはずだ。High Dynamic Range(imaging)という一種の合成(imaging)だと書かれているだろう。厳密にはimagingは合成とは限らず画像の処理工程を(撮像や結像など)表す。たまたま写真から始まり、合成っぽいからimagingが合成になった(後述する)のだろうが、本来は結像か撮像だろう。カメラ系の技術なのでimagingとなっているに過ぎない。

頭の、ダイナミックレンジというのは、信号における選択値上下限の比率(数)を示す。端的に言えば、一つ箱があるとして、その箱に箱番号を与える役割があなたに与えられたとしよう。数字は1から100の中から選んで下さい。この選べる範囲がダイナミックレンジといえば分かり易い。日本語では直訳で動的範囲である。Highというのは高いという意味がある。今までが100番の中からしか選べなかった時に、200になればより高くなっているわけで、Highだ。ちなみにダイナミックレンジという言葉は、映像や画像に限らず、信号伝達関連において使われるため、これまでの仕様よりレンジが広がるとWideとかHighとかいろいろブランドや用途、目的によって頭に高低(広狭)を意味する語がつく。

−カメラHDR−

元々カメラHDRは、撮影時の露出設定などをいくつか変えて数枚撮影し、それを(主にカメラ内で)デジタル処理で1枚の写真データとして結像する技術である。たいていの場合は、露出補正をプラスマイナスでいくつか撮影して、暗い部分(黒つぶれした場所)と明るすぎる(白飛びした)場所を、見栄え良く表現するために、合成するケースが多い。

ハイダイナミックレンジとは言うが、厳密には複数のレンジで撮影した画像を、平均化(圧縮)して、結合、雰囲気に合うように最適処理し、一枚の写真に仕立てている。具体的には下の図のように、複数の同じ画像を、違う設定で撮影し、一つの写真として組み合わせ、色や像の質感を上げる訳だ。(以下図はイメージです-無断転載禁止です)

画像


この技術は、カメラセンサーが識別出来る暗い部分と明るい部分の範囲が人の視覚より劣っている(適当な言葉とは言えないが)からこそ、使われている技術でもある。端的に言えば、人の目だと少し暗い影でも、真っ暗にはならず、そこにあるものを見分けられるが、カメラだと撮影する全体の風景をバランスさせる都合もあり、影の部分の光量が不足して暗くなることがある。特に逆光(太陽など光源が被写体の先にある場合)などで撮影すると、顔が暗くなり誰が映っているか分からないといったケースがそれである。

もうちょっと砕いて説明しよう。
人の目ならば、逆光でも人を判別できるが、カメラでは逆光下で撮影した被写体(人の顔など)が、暗くなる経験をしたことはないだろうか。これは、人の目がカメラセンサーのダイナミックレンジより高い性能を持っていることと、常に意識したものに対して、ピントを合わせ最適化するため、周囲のより明るい無駄な光を取り込まないという点が影響している。

一方でカメラは、人ほど明るさと暗さの上限下限の範囲が広くない。その上、撮影した瞬間にセンサーが拾った全景の明るさの平均値を元に明るさを決めているため、どうしても少しの暗さが、命取りになることがあるのだ。

もっとバラバラに砕こう。これは例である。

人が明るすぎてまぶしくて見えないという状態から、暗すぎて見えないと判断する光(明るさ)の範囲が、地球で存在する光の範囲(1-1000)のうちの、任意に抽出した100という範囲だったとしよう。下限に達すれば、暗くて見えない。上限に達したら眩しくて見えなくなる。1-100でもいいし、101から200でもよい51〜150でもよい。89・・・でもよい。とにかく見ている風景で暗すぎて真っ暗に見える場所と、明るすぎて真っ白に見える場所の差(ダイナミックレンジ)が100だとする。
この範囲の輝度の差なら、明暗の差が大きくても、眩しいから、影の部分がよく見えないという状況にはならない。

あくまでこれは例だがカメラは、一度に感受できる範囲の上限下限が10-20ぐらいしかないと思えば良い。人が1-100の間を問題なくカラーで認識できても、カメラのセンサーは1-20まで、21-40から41-60までといった具合でしか明るさを識別出来ない。それを下回れば、真っ暗に、上回れば真っ白になる。そこで、撮影するときに、カメラに入ってくる光の量を調整し、1-20と21-40と数枚撮影して、一つにまとめて処理してしまおうというのが、カメラHDRである。


本来のカメラセンサーではすぐにオーバーしたり、不足してしまう部分を、複数の条件で撮った写真から、抽出することで、まるで目で見るものや、それ以上の再現性を実現するという点で、HDRと呼ばれる。

-カメラHDRの欠点−

尚この技術には一つ欠点がある。カメラHDRでは動きの速い被写体をHDR有効の設定で撮影するとぶれやすくなったり、僅かにボケたり、ノイジーになったり、虚像が出来ることもある。これは、コンマ単位で異なる設定の写真を撮影し重ねて1枚にするための欠点である。
HDRが効果的に機能するのは、三脚など、どこかに設置してのカメラ撮影や屋外などで増感が不要で一つの写真の中で輝度の落差(影と明るい場所との差)が大きい場所では効果的に機能する。特に逆行下での撮影などには有効である。まあ、最近は撮影画素が高く、センサーの処理性能も上がっているので、ぼけがあっても気が付かない人もいるが・・・。

また、シーンによっては原色(RGBの3色のどれか)が強調され偽色になることもある。これは、デザイン画のポスターなどを撮影する場合などカラーがきっちりしている物等に対して生じやすい。これも、シーンモードが優秀になりつつあり、生じることは少ないが、時よりどぎつく出てくることがある。

ここからが本命である。

<テレビやゲームのスマホディスプレイのHDR>

ここでは、ディスプレイHDRとでも呼ぶべきか?これが、Xperia XZ Premiumに搭載されるHDRである。

こちらは輝度を拡張し映像質感を上げる技術である。
端的に言えば、カメラHDRとは逆という発想も出来るだろう。白飛びが出るほどに、より明るくまたは黒つぶれのぎりぎりの範囲で、より暗く輝度の差を大きく細かく付けることを意味する。端的に言えば、明るさの枠が1-100万だったものが、0.1-1000万になったようなものだ。

ちなみに、BT.2020はHDRとは厳密には別物である。BT.2020はあくまで再現できる色の幅を広げることにある。
今使われている色域で言えば、BT.709とIEC 61966-2-4(xvYCC通称x.v.Color)というのがあるが、これらは使えるカラースペース(色空間)をより広げるためのものでしかない。

一方で、HDRというのは、ARIB STD-B67とSMPTE ST 2084で定義されている拡張である。
この輝度拡張の2つの違いは端的に言えば、

・ARIBはテレビ放送との機材互換性を考慮して策定された拡張。
・SMPTEは主にUltra HD Blu-ray などパッケージ向けに機材互換性より高品質な画質再現性を目指したもの

と言うべきだろうか?まあ、一般の我々が、あまり気にしても仕方は無い。
これらの伸張処理をするのは、一次チューナーやデコーダーと思われ、ディスプレイパネル側は、デコーダー側が一定の条件で処理したデータを、HDMI2.0aの定義に基づいて展開していると思われる。そのため、HDR受像器(モニター)で見る側が、互換性の差を考える必要は無いだろう。HDR対応機材なら、上記のどちらも再生できる。

尚、このHDRは既存のハイビジョン品質のコンテンツ(BT.709やxvYCC準拠)に対しても付与すれば使うことが出来る。4Kの放送でしか出来ないとか、BT.2020(REC.2020)でなければ、HDRが使えないという定義はされていないようだ。

ただ、放送等で使う場合は、H.265/HEVCが利用シーンの原則となっている。主に放送やAV仕様では、既存のMPEG2や、H.264/AVCは今のところはっきりとは、想定していないように見える。まあ、出来ないというわけではないと思うが、再生する際に互換性の問題が生じるケースもあるということだ。パソコンにおいて特にフリーのエンコーダーやオーサリングツールを使って、HDR映像を作る場合は、この考慮が必要になるかもしれない。
ゲームではリアルタイムにシーンCGが作成されるためこれは考える必要がない。

<ディスプレイHDRは必ず高画質で見栄えが良くなるのか?>

HDRがあるから見やすい映像になるとは限らない。HDRが使えると、輝度上昇するため、映像の質感という点で、幅が広がるだろう。しかし、一方で制作者の撮影や編集の仕方によっては、より見難く質が下がる可能性もある。即ち、技術も使いようということだ。

また、ディスプレイ側もHDRを使えば全ての機種で品質が上がるとは限らない。基本的に液晶ディスプレイの場合は、ローカルディミング(エリア駆動)がない製品やバックライトコントロールがない製品で、HDRを搭載し、有効にすると、ものによって真っ黒のシーンにおいてバックライト輝度が過度に上がり、白浮きしやすくなる恐れがある。
要は、明るくなる一方で暗くならないという症状が出る可能性は大いにあるのだ。あくまで、安いディスプレイの場合だが、こういうのは、普及してくるとよくある劣化である。端的に言えば、形として機能はあり、それが売り文句になるが、実質では品質を上げる役割は果たさないものという奴だ。

-根本的な欠点-

ついでに、言えばHDRそのものの欠点も書いておく。
ちなみに、HDRを有効にするとディスプレイによっては、表示電気代が1.3倍〜1.5倍に拡大するという点は、あまり知られていない。これは、ディスプレイ輝度をより高く上げるが故の欠点でもある。輝度拡張をするがゆえに、バックライトは通常より明るくなるように稼働する。そのため、ディスプレイで最も電力を消費する光源に高電流高電圧を掛けて明るさを高める必要が生じ、電力消費量が増えるわけだ。製品によってはこれに輝度拡張に必要な演算パラメーターが増えるため、パネル、ドライバー半導体全体の消費電力が増す。それが、約3割〜5割になるとされる。まあ、定格電力を越えることはないが、省エネ第一の人は、HDRテレビを買って輝度を落とす使い方より、HDRなしのテレビを買った方がよいかもしれない。

これが一つ気になる点で、スマホの場合は、バッテリー駆動時にHDRを有効にしてコンテンツを視聴すると、消費電力も増えることが予想される。Xperia XZ PremiumはZ5と同じように表示モードをいくつも持っているようで、HDRを使わない時には、消費電力が抑えられる設計のようだ。しかし、HDRを使って動画やゲームをするようなことがあると、予想以上にバッテリの摩耗が早くなるかもしれない。

この辺りは、製品が登場してみないことには分からないが、これがバッテリ電源で動くディスプレイHDRにとっては、不利な面となる。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000390126.pdf
http://home.jeita.or.jp/device/lirec/symposium/fpd_2016/pdf/6A-k16.pdf
http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B67v1_0.pdf


<光と色は奥が深いが、カメラとディスプレイHDRの名称は微妙>


一般に、色を見分けるには必ず光が必要だ。全く明かりのない部屋で隙間から光も入らない真っ暗な場所は、文字通りいくら壁紙がピンクや青やレインボー(虹色)でも真っ暗だ。光が差さないと人は視覚で、物体の色や場所を判別することはできない。

では、光があれば物体の色を必ず同じ色だと判断できるのだろうか?これも実は出来るとは限らない。
日本の6月〜7月は、北海道などを除けば、梅雨のシーズンである。そして、木々が若葉から青々と育つ時期である。この時期に、あじさいの花を見て、雨に濡れた、あじさいは鮮やかに見えることはないだろうか?一方で、晴れの日に雨の人は違ってあじさいが淡く見えた経験はないだろうか?同様に、晴天の木々の緑は強い太陽光を受けて、鮮やかな緑に見えるが、雨や曇りの日にそれを見ると、ほの暗く見えるということはないだろうか?

これが、光と色の関係である。
実はどちらも同じ色だが、光の強弱や光の成分(光が持つ色波長の違い)で、見栄えが変わる。要は、雰囲気を変えるのだ。しかし、その物体が持っている色は変わっていない。

ディスプレイが使うHDRは、端的に言えば晴れた夏の陽光をより正確に再現するためのものである。その差が大きいと思うかどうかは、ディスプレイにもよるだろう。


カメラHDRは実は全然違う。カメラで上記と似た再現をするのは、ホワイトバランスとシーンモードの2つである。
それに対して、HDRは晴天の日に日陰にいる人と日なたに居る人を1枚に収まるように撮影したときに、どちらかに雰囲気が寄らないようにするためのものだ。端的に言えば暗い方に合わせると、明るい方が白く飛ぶ、明るい方に合わせると暗い方が黒くなるという状況を防ぐ物だ。

個人的には、カメラHDRが先にあるのでこちらはHDRで良いと思うが、ディスプレイはHDRではなく、DRE(Dynamic range Expansion)など、別の名称の方がよいのではないかと私は思っている。同じライティングに関係するものでも仕組みや目指すものが異なるからだ。そういう点では、ディスプレイのHDR技術は名称をカメラと同じにしたのが勿体ないと思えてならない。



−LCDではハード設計が難しそう−

私自身BDより上の高画質というのを余り望んでいないのだが、HDRを調べて一つ思ったのが、この後に一体どこまで国際規格はこういう規格を作り続けるのだろうか?という点である。
目で実際に見るより美しい風景があるかというと、実は存在しないが、既にHD化で多くの人は満足しているなかで、4KよりもHDRは技術的に難しい印象がある。

LCD(液晶パネル)向きの技術かどうかも、ちょっと微妙だ。
そもそも、HDRは安価に大きな利益を生み出す技術にはなりにくいと思われる。むしろ、付加価値ビジネス向けの技術であろう。特に有機EL(OLED)など自発光型のディスプレイには差別化という点で都合のよい技術と言えそうだ。

これが、下の製品に使われたとしても、果たしてHDRとして真の価値を生み出しているかは微妙だろう。バックライトを使うLCD(液晶)の場合は、ディスプレイHDRで輝度を拡張しつつ、白浮きを防ぐのは容易ではない。シーンによってはローカルディミング(エリア駆動)を搭載していないと、色温度が変わるだけの、なんちゃってHDRになりかねない上に、HDRを常時有効にして、やっとこれまでの液晶と同じ並なんですけど、というディスプレイも出てきそうな悪寒(予感)もするのが、ちょっと心配な技術である。


少なくとも、名称をDREぐらいにしてもっと、カメラHDRとの違いがはっきり世間に出ていれば良いのだろうが・・・。
印象がカメラのHDRの延長にあるような形に見えるため、余計にカメラに当たり前に搭載されたHDR商法(カメラHDRは撮像機材のメモリーや画像処理性能が上がれば向上する)がまかり通りそうである。












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