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zoom RSS 早稲田のエンジンは、10年で2倍の燃費効率を実用化・・・その意味を考える。

<<   作成日時 : 2016/09/01 11:43   >>

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ちょっと前の記事である。

自動車会社を中心にいくつかの企業が、実際にこの実験に立ち会ったというが・・・。今回の実験は30ccの小型エンジンでの実験で成功したらしい。というのは、数日前にNHKなどが報じた。熱効率を60%以上にし、約1.8倍〜2倍という驚異的な燃料消費効率向上(燃料費の削減)を果たす実験に成功したというのは、凄いニュースだ。

ただ、それが製品化されて、2倍の燃費効率を達成できるかは今の時点では分からない。たぶん素直に受け取るのは、現段階では難しいと私は思っている。まあ、確かに画期的であり、一部技術は既存技術の改善に役立つだろうが・・・。数足を一気に飛ばして効率の圧倒的改善は、今の段階でそれなりの大きさのエンジンで成功していないと、相当困難だろう。何せ、SKYACTVEでも机上から研究レベルで数年、エンジン搭載のコンセプト発表から量産準備で1年半以上掛かっている。

各企業の技術者がどこまで、頭を絞れるかと、これの製造を支えるテクノロジーや技術者(製造技術者)が、10年で生まれ、量産できるかという問題もあるからだ。

<何故困難なのか?>

今回のエンジンは30ccほどだったと言われる。即ち、まだ本当に小さな実験なのだ。昔は、それも大きな一歩だったが、最近はなかなか、それが大きな一歩とは言えないケースも多い。最初にセルモーターで燃焼室を真空に持っていくというのは、燃焼室が大きく出力が大きくなればなるほど、容易ではなくなるからだ。

30ccのエンジンでは簡単に抜けても、これが660cc、1000cc、1500ccなどと増えていくとどうなるかは分からない。
https://www.waseda.jp/top/news/6476

また、仕組みが変わり、それがより細かな制御を必要とするとなると、燃焼室やピストン、噴射装置の精密さも求められるが、それは製造コストと大量に安く製造できるかどうかに直結する。あのマツダのSKYACTIVEでさえも、製造誤差を僅かな範囲に収める研究の方が、エンジンのプロトタイプを作った時より、大変だったと言われる。


<HDDやバッテリ技術などと同じ実用化量産の壁・・・>

理論では、確かに出来ても、実用化にはコストの壁や技術の壁があるというのは、既に家電やPCでは複数存在する。HDDは大容量化しようと思えば出来るが、熱揺らぎの問題や、寿命、製造コストの問題を考えると、大容量化には壁が多い。特にHAMRによる大容量化は、最初の製品化予定から数年遅れている。今では、もうHDDがさらに容量を劇的に増やせるという記事はほとんどないほどに、楽観視が減ったのである。ちなみに、HAMRに関する技術論では2008年〜2013年頃まで、数年から10年で100TBも視野に入っていた。
相当苦労しているということが分かる。

バッテリは、既に何年も前から電力の保持容量が増える理論はいくつも出ているが、突然2倍になったりはしない。

これもやはり、量産するには精度(製品性能のばらつき)とコストを勘定に入れないと、製品には出来ないからだ。だから、増える容量は体積に対して僅かずつになる。これらは、あくまで投資を引き込むためのアナウンスの面も大きいため、素直に信じることは出来ないのだ。


<官庁は、研究レベルに乗っかり税などを決める>

エンジンも上記と同じなのだ。

ただ、自動車など内燃機関を使う製品の場合は、こういう発表が増えていくと、一つ困った問題が出てくる。日本も海外の政府も燃費基準を数年に一度厳しくしているが、昨年VWで見つかった燃費偽装問題や、日本の三菱自動車などで今年見つかった燃費問題は、結局、技術の限界が迫っており、基準の方が追い付かないことを示しつつある。

結果的に、日本など車と言えばプリウスのような車ばかりが売れるようになり、それに追いつけないメーカーが不正を増やすわけだ。そして、車種が徐々に絞られるため、メーカー全体の売上げは最大手など一部を除いて、徐々に減っていく。デザイン性など、燃費以外の評価性は徐々に落ちていくからである。なんとも、厳しい現実である。

そこで、こういう燃費効率倍というのは、まるで凄いように見えるが・・・。それを、見て喜び、基準を変えるのが政府や官僚なのかもしれない。こういう技術があるから、燃費基準を徐々に引き上げる理由になるが、本当に市場がそれに合わせて進化していて、市場が拡大を続けているのかは・・・。消費者や現場で製造まで視野に入れた技術者は不在でどんどんこういうルールは決まる。ちなみに、日本では、2017年春からエコカー減税の基準が強化され、絞り込まれる。

日本での車離れは、少子高齢化もあるというが、少ない新技術に高い金を掛けた結果、車両の購買時単価が上がっている可能性もあり得る。いくら免税や減税でも、それ以上に車両費が上がり、車種も似たり寄ったりハイブリッドや流線型の車両になるのは、世界的に見られる傾向である。それを嫌う人は、徐々に車を買わず、カーシェアなどに移っているようだ。


<既に一筋縄ではいかない先端技術革新>

燃費効率が2倍でも、エンジンの製造コストが10倍なら、ガソリン代を出してでも既存の車を買った方がお得で良い。
製造したエンジンが2倍の効率を発揮できる走行距離が、普通は5万キロ保障なのに、1万キロ点検保守なら買わないだろう。そういう話は研究レベルでは今ではよくあることだ。完璧な1台をいくら研究室で作ることが出来ても、現場の工場で、安定して月産5000〜1万台作ることができなければ、普及自動車には使えない。

NANDフラッシュメモリーが3年前まで容量の壁を越えられないとしたのは、TSV(貫通ビア)技術の歩留まり改善策がなかなか崩せず、難しいとされていたからだ。それが、出来るようになって一気に容量が増えた。即ち、研究レベルより、製造コストや、効率、品質において既存技術がどこまで使えるか?使えない場合、ブレークスルーが予定した期間内に生まれるかが焦点となる。


10年後までにこの技術が製品化されるには、最低でも

・同じ性能の製品を、大量に生産できる技術がそのときにあること。
・製造コストが今のエンジンと同等程度(全体で徐々に普及)または2倍〜3倍程度(高級車に採用)に抑えられること。
・部品劣化による損耗寿命が、今のエンジンと同等程度に抑えられること。
・さらに、今課題としている問題の全てまたはほとんどが解決していること(特に大型化出来るかどうか)。


という4点が必要である。
たぶん、大学側が見ている実用化のめどは、4点目から見た特許上の完成がその頃ではないかと思われる。
現実に、製品として見る場合は、同時進行で一般開発も開始され10年目に3つのブレークスルーまたは既存技術での応用が確認される必要があるだろう。もし出来なければ10年はあくまで研究がほぼ終わる時期(煮詰まる時期)であり、そこを過ぎれば、一部技術の製品転用のみ、燃費を僅かに上げる程度に留まる。

必要なブレークスルーを突破できない限り、完全実用化は経済的または技術的に困難となるのだ。そして、ブレークスルーが見つからなければ、段階的に使える技術が採用されるようになり、最終的にそれに近い水準には達するかもしれないが、段階的であるが故に、6割に達したときにこの技術のお陰でとは世間は思わないということになる。

昔から、こういうことはある程度あったが、最近は見事に増えている。これは、それだけ小さな単位での微調整が必要であり、それが実用化の妨げになっていることが理由とされる。

10年で2倍は逆に言えば、10年で普及製品のプロトタイプが登場するか、ユニーク製品(コスト度外視の産業用のロケットなどで使われるだけで、一般に普及しない分野)や没製品(製品化不能)となり、特許の一部がばら売りされるかが決まる期間であると言える。


果たしてどういう結果になるのかは、分からないが研究レベルの技術を、広い世界で実用化するには、かなり多くの壁が立ちはだかる。私が思うに、これを短期間で証明するなら、スクーター(50cc)やバイク(数百CC)などの30ccの研究エンジンに対して延長線上にある製品を早期に実用化することと思われる。それらで集めたデータをもとに、段階的に大きくしていけば、製品成功から投資が増え、開発が加速することに繋がるだろう。








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島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑の原理をついに解明。名称はCCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後潤滑油の開発指針となってゆくことも期待されている。
欧州48Vハイブリッド対抗に朗報
2017/07/06 17:50

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